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ユノカル買収騒動米議会猛反発
拡大する貿易赤字に不満を強める米議会で、中国脅威論が一段とエスカレートしている。中国企業が六月、米大手石油会社買収に名乗りを上げたのを契機に、対中批判は「米国の安全保障が脅かされている」との議論に発展。米産業界や識者の間では、対中強硬論が渦巻く議会の行き過ぎを懸念する声も上がり、ブッシュ政権の対中外交に微妙な影を落とし始めた。
(ワシントン・久留信一)
■突き上げ
脅威論に火を付けたのは、六月十七日付のブッシュ大統領あて書簡だった。
「大統領閣下。われわれは中国海洋石油(CNOOC)が、米国の石油会社買収の意図を持っていることに重大な関心を寄せております」
書簡の主は、米下院資源委員会委員長のポンボ議員と軍事委員会委員長のハンター議員。両議員は、CNOOCが米大手石油会社ユノカルを買収すれば、米国のエネルギー安全保障に影響を与えると強調。政府が買収の是非をめぐる調査に入るよう要請した。
CNOOCはこの書簡から五日後、ユノカルに中国企業としては史上最大規模の約百八十五億ドル(約二兆円)を正式に提案した。ユノカルは世界十四カ国で天然ガスを生産しており、アジア地域では最大の液化天然ガス(LNG)拠点を持つ。事実上、中国政府の傘下にあるCNOOCが買収に成功すれば、東シナ海での“エネルギー覇権”を国家戦略に据える中国にとって大きな魅力だ。
だが、米国にとっても石油産業は戦略部門。両議員に続き、大統領に買収反対の書簡を出したテキサス州選出のバートン下院議員は「ユノカルが買収されれば、アラスカやメキシコ湾の資源が中国に握られる可能性がある」と警告。書簡の中で同社が持つ海洋資源の掘削技術が、軍事技術に転用されかねないとの見方もほのめかした。
■不 満
米国の対中貿易赤字額は今年四月で約百四十七億ドル(約一兆六千百七十億円)と依然として高水準。米議会では「ドルに対して不当に安い人民元が赤字拡大の原因」として、中国製品に高関税を課すなど複数の経済制裁法案が提出されている。
「割安の通貨を持つ国の企業と、米国企業がまともな競争をするのは無理だ」。先月二十三日、上院財政委員会がスノー財務長官らを呼んで開いた公聴会。対中制裁法案の提案者であるシューマー議員はユノカル買収の動きを批判。中国が人民元切り上げに応じない限り、中国企業による大型の米国企業買収は認めがたいとの立場を鮮明にした。
一方、リー・レイモンド・エクソンモービル最高経営責任者は先月、ニューヨークで開かれた業界会合で「米国企業が中国で思わぬ規制を受けかねない」と発言。議会の強硬姿勢が中国政府による報復措置につながりかねないとの懸念を明らかにしている。
米シンクタンク、ケイトー研究所のダニエル・グリスウォールド通商政策研究センター理事は「安価な中国製品は米国の中低所得者層に恩恵をもたらしている」と指摘。「中国企業の直接投資や輸出を制限しても他のアジア諸国からの輸入が増えるだけ」と政策効果を疑問視する。
ブッシュ政権も中国との対立は避けたいのが本音だ。対テロ戦争や北朝鮮問題などで中国の協力は引き続き必要不可欠。米議会の動きに対する中国政府の反発が強まれば経済摩擦が外交関係に亀裂を入れることになりかねない。
ただ、二期目に入り、内政面に軸足を移しつつあるブッシュ大統領が最大課題に掲げる社会保障改革や税制改革は、いっこうに進んでいない。中間選挙を来年に控え、今は議会との良好な関係も維持したい時期で、政権のジレンマは深まるばかりだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050707/mng_____kakushin000.shtml