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日経金融新聞ホームページ
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【ロンドン=田村篤士】欧州連合(EU)の上場企業の会計基準が国際会計基準(IAS)に一本化され、欧州企業の財務内容に大きな影響が出ている。IASベースでのデータを開示した主要企業をみると、有利子負債などから手元資金を差し引いた純負債は従来の会計基準に比べて平均で二割近く膨らんだ。負債の範囲が幅広くなったためで、企業の配当や投資余力を直撃する例も出始めている。
IASの義務化は二〇〇五年度の連結決算からだが、前倒し開示が広がっている。二〇〇四年度末の財務内容を開示した主要五十社のデータを、独投資銀行のドレスナー・クラインオート・ワッサースタインがまとめたところ、平均で純負債が一六%増えた。
主因はIASの負債の範囲が各国の基準に比べて広いこと。仏食品大手のダノンの純負債は仏基準では十三億八千五百万ユーロだったのが四十五億三千八百万ユーロと三倍強になった。グループ会社の少数株主に対し、同社に株式の買い取りを請求できるオプションを発行しており、それを時価評価して計上したため。
スペインの石油大手レプソルYPFは、発行する優先株三十五億ユーロを負債としてくくり直す結果、純負債がスペイン基準の四十九億二千万ユーロから八十八億千四百万ユーロに八割膨らんだ。ほかにもリース会計や、資産の証券化のためなどに設立した特定目的会社を厳密に連結決算対象に加えることなどが、負債の増加要因として大きいという。
IASの負債の範囲が広いのは「隠れ負債」を開示し、企業の実態の透明性を高めるのが狙いだ。今回の純負債集計には含まれていないが、IASは企業年金の積立不足も貸借対照表に計上するよう義務付けており、ドレスナーのカレン・オルネー・ストラテジストは「積立不足を負債に加えると増加率は三割に迫る」と指摘している。
欧州市場ではIAS導入の影響の大きさに困惑の声も広がっている。四日には英航空大手BAが年金の積立不足を貸借対照表に計上する結果、株主資本が十四億ポンド前後圧縮されると発表。市場では「配当原資が吹き飛び、今期は配当ができなくなる」(欧州の投資銀行)という見方が広がった。BAの株価が上値が重い一因となっている。