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アフリカ援助増、焦点 英G8サミット 前向きな欧米、日本は及び腰
主要国のアフリカ向けODA実績
アフリカの「重債務貧困国」
世界の成長から取り残され、貧困や飢えに苦しむアフリカ諸国。その支援問題が6日から英グレンイーグルズで開かれる主要国首脳会議(G8サミット)の焦点の一つとなる。6月のサミット財務相会合では「過去の借金棒引き」で合意したが、首脳会議は一歩進めて「これからの援助増額」がテーマ。積極的な米欧に対し、日本は政府の途上国援助(ODA)予算の削減を進めている事情もあって及び腰だ。(大滝敏之、バマコ=小森敦司)
「サミットでアフリカ支援の実のある包括策を合意したい」。ブレア英首相は6月27日夕、小泉首相に電話で要請した。アフリカ向け援助の大幅増額を主張する英政府は、サミットを前に首相自ら各国首脳と直談判している。
6月のサミット財務相会合では、アフリカ14カ国を含む最貧国の国際機関向け債務を帳消しにすることで合意した。このときは日本のほかにもドイツ、フランスが帳消しには慎重だった。
そのとき交渉のまとめ役だったのが英首相後継の最有力候補、ブラウン財務相だ。ライバル心を燃やすブレア首相としては、首脳会議で新しい成果を狙う。
英国には植民地時代のなごりでアフリカ移民が多く、ブレア首相が率いる労働党の支持基盤となっている。失業率の高いフランスでも、アフリカ移民の流入が政治問題になっており、欧州諸国にとってアフリカ問題は「国内問題」でもある。
過去の欧州でのサミットでアフリカはたびたび主要議題となった。99年の独ケルン・サミットでは最貧国への2国間債務削減に合意。日本の債権放棄額はG7最大の22億ドルに上る。
だが冷戦終結後、アフリカ支援で各国の足並みはそろわなくなった。東西両陣営の援助合戦が終わり、欧米は90年代初めから支援を減らした。
一方、日本はアフリカ向けODAを増やし続け、95年にはフランスに次ぐ世界第2位になった。ただ、ODA全体は頂点だった97年度を境に減らしており、アフリカ向けは03年にピークの4割以下の約5億ドルまで落ち込んだ。
逆に、欧米諸国は01年の同時多発テロを契機に、貧困防止を掲げてODA増額に転じた。中でもテロの温床撲滅のために安全保障政策の一環としてODAの大幅増額に踏み出した米国は、アフリカ向けも00年から3年間で4倍以上に増やす突出ぶり。
日本も遅まきながら積極姿勢を見せる。小泉首相はブレア首相との電話会談で「アフリカ支援を今後3年間で倍増し、感染症対策など保健分野でも支援を強化する」と伝えた。
国連安全保障理事会の常任理事国入りをめざす日本にとって、アフリカの支持取りつけは重要だ。とはいえ、外務省幹部は「欧州の関心はとにかくカネ。アフリカをどう自立させていくかという具体策の議論が欠けている」と指摘する。
日本は首脳会議で、農村支援や中小企業育成、感染症対策として蚊帳を1千万張り贈るなど、効果の見える具体策をアピールする。電話会談の翌日には感染症対策に5年間で50億ドル供与する方針を発表した。
ところがその直後に英国政府から外務省に問い合わせがあった。「50億ドルのうち、新規でアフリカ向けはどのくらいになるのか」。額の上積みも必要だというメッセージだと受け止められている。
●サハラ以南、成長遅々
マリの首都バマコの南部に広がるスラム。道路沿いに粗末な小屋が無秩序に立ち並ぶ。途上国支援組織オックスファムの同国代表モハメッドさんは「きれいな水はなく、多くの子供が学校に行っていない」と話す。
貧困はマリを含むサハラ砂漠以南の国々に広がる。世界銀行が「重債務貧困国」と認定して債務削減の対象とする37カ国のうち、32カ国がアフリカ。アフリカの人口は世界の約1割を占めるが、国内総生産(GDP)は約1%だ。
03年の1人当たりGDPは10年前に比べ、アジア・大洋州が7割以上伸びたのに、サハラ以南アフリカは8%の伸びにとどまる。アジアでは主要産業が工業に移った国が多いが、アフリカ諸国では今なお、綿花やコーヒーなどの農産物輸出に頼っている。
http://www.asahi.com/paper/business.html