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日米、株・金利下げ進む 原油６０ドル台
原油高が株、債券に与える影響の経路
日経平均株価と長期金利の推移
原油高が止まらない。世界経済への影響が避けられないと読んだ市場がこれに反応し、日本でも米国でも株安、長期金利の低下（債券価格は上昇）が進んだ。しばらくはそれぞれのマーケットで、原油市場の動向をにらんだ神経質な動きが続きそうだ。
●自動車など影響の恐れ
２７日のニューヨーク商業取引所で、国際指標となる米国産ＷＴＩ原油の先物価格が上昇。午前（日本時間夜）に一時、１バレル＝６０・６５ドルと８３年の取引開始以来の最高値をまた更新した。前週末２４日の終値に比べ０・８１ドル高。
２３、２４両日に市場で心理的な高値の目安となっていた６０ドルちょうどを一時記録。その後も大きく下げなかったため、投機筋が追加的な買いを浴びせた。イラン大統領選で保守強硬派のアフマディネジャド氏が当選し、中東情勢が不安定になるとの見方も買い要因になった。
ニューヨーク株式市場では、２３日から２日続けて、大企業で構成するダウ工業株平均が１００ドルを超える大幅下落を記録。２４日の終値は１万０２９７・８４ドルと５月１６日以来の１万０３００ドル割れまで落ち込んだ。ガソリンや素材価格が上昇し、個人消費や企業活動が鈍ることへの懸念が強まったためで、原油高の恩恵を受けるはずの米国際石油資本（メジャー）エクソンモービルまでが２日続落した。
２７日の東京株式市場も、ほぼ全面安の展開。東証１部全体の値動きを示すＴＯＰＩＸ（東証株価指数）は前週末比１２・０２ポイント低い１１６１・４４。日経平均の下げ幅は一時、１５０円を超え、一時１６日以来の１万１４００円台割れとなる場面もあった。終値は前週末比１２２円７５銭安の１万１４１４円２８銭。
原油が高止まれば電機や自動車など加工組み立て業を中心に企業収益を押し下げる、との見方が広がった。
日経平均は５月半ばからの１カ月で約７００円上昇。市場には「年内には日経平均が１万２０００円台にのる」と強気の見方が出ていたが、「原油高が長引けばボディーブローのように効いてくる」（大和総研の渡辺浩志エコノミスト）との懸念も出始めた。同総研の試算では、０６年度も原油の平均価格が１バレル＝６０ドルの水準が続けば、全産業で０・２％、１兆円の減益要因となる。
一方、債券市場では投資資金の「質への逃避」で債券が買われ、長期金利が低下した。一般的に長期金利は景気悪化局面で低下する傾向があり、この動きは市場が景気の先行きに弱気になっていることを示している。
２７日の東京債券市場では新発１０年物国債の流通利回りが１・２％をあっさり割り込み、１・１８０％と１年１０カ月ぶりの水準に下がった。米国でも１０年物米国債の利回りが下がっている。
グリーンスパン米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）議長は、米経済への原油高の打撃は「以前ほどではない」と繰り返し強調している。２９、３０両日に開く米国の連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）では短期政策金利の誘導目標が０・２５％幅引き上げられるとの見方が一般的だ。ただ、経済の腰折れ懸念の強まりで利上げ局面が「打ち止め」に向かうとの見方も広がり始めた。
◆高止まりに強い懸念 日銀審議委員
日本銀行の春英彦審議委員は２７日、北海道旭川市で記者会見し、原油価格の高止まりに強い懸念を示した。現在の量的緩和政策について「景気が踊り場を抜け出す前に（誘導目標となる日銀当座預金の）残高目標を引き下げるのは副作用のリスクが大きい」と述べた。
原油高についてはエネルギー利用効率が向上したことで抵抗力は強くなっているが、「米国や中国など海外景気が減速すれば影響を受けざるを得ない」と分析した。
http://www.asahi.com/paper/business.html
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