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経済、具体策見えず イラン大統領に強硬派
【テヘラン=安東建】初の決選にもつれ込み、79年のイスラム革命いらい最も激しい争いとなったイラン大統領選。保守強硬派で低所得層の支持を集めたアフマディネジャド・テヘラン市長が制し、8年続いた改革派の政権は終わりを告げる。経済が失速の気配をみせるなか、補助金制度などの問題も山積。表舞台に躍り出た同市長の手腕が問われる。
03年 36兆リアル
04年 39兆リアル
05年 43兆リアル
政府の補助金の総額だ。かなりの負担増が年に1回、国民に支給する配給券が原因になっている。米、砂糖、食用油、チーズ……。80年代のイラン・イラク戦争中に始まった制度が、いまも続いている。ハタミ政権の8年間で富裕層が増え、配給券をさほど重宝しない中流家庭も目立ち、闇市場に流れている。
補助金の膨張とともに、財政赤字も急増。04年は3年前の2倍近い93兆リアル(約1兆1千億円)だ。好調だった経済も雲行きがおかしい。7%前後で推移していた成長率は昨年、4%台に減速。赤字の増大と景気の失速が重なれば、支持基盤の貧困層に定着した補助金制度に切り込む必要も生じかねない。
補助金は、ガソリン代を1リットル=約10円に低く抑えている。自由化を背景に車の所有者は増えているが、まだ低所得者には高根の花だ。「富裕層に恩恵を与える不平等な制度」との批判も一部にあり、改革の対象だ。
ハタミ政権は補助の廃止を試みたが、踏み切れなかった。ガソリン価格の上昇がインフレを加速させ、貧困層にしわ寄せがゆく可能性があるからだ。
イランの経済はハタミ政権の自由化とともに、民間資本や外資の導入、銀行の民営化などが進んだ。原油の高騰が追い風で、外貨収入も急膨張。余剰資金は農業や公共事業などに投資され、銀行融資を通じて民間経済に金が回った。
自由化は貧富の格差も広げたが、生活水準もよくなった。自由化路線を継続させるのかどうか。アフマディネジャド氏は「財を求めず質素な生活を」と、イスラムの倫理を強調するが、具体策は示していない。
●「茶番」、米は冷ややか
【ワシントン=石合力】米国務省当局者は24日深夜(米東部時間)、イラン大統領選を「茶番」と決めつけた。女性を含む千人以上の候補者登録がイラン護憲評議会から認められなかったことを批判し、「(中東民主化の)時流から取り残されている」。
改革派のハタミ大統領の政権さえ批判してきたブッシュ米政権にとって、「保守穏健派」と「保守強硬派」の対決となった決選投票は、そもそも一喜一憂すべき対象ではない。「判断するのは、イラン政府の政策決定と行動しだいだ。誰が勝つかは問題ではない」と別の米政府当局者。
米国はイランと断交して25年。核兵器開発疑惑のほか、国境警備など対イラク政策▽レバノンのシーア派武装組織ヒズボラなど過激派への支援▽国内の人権抑圧――などへの対応を非難する。
次期大統領アフマディネジャド氏についても「懸念を即座に振り払うような人物ではない」(オルタマン・米戦略国際問題研究所〈CSIS〉中東部長)との冷めた見方が大半だ。
英独仏による核交渉がうまくいかず、イランが対応を硬化させた場合、米国は新たな方策を迫られる。
◆確定得票が6割を超す
イラン大統領選の決選投票の確定得票率は、当選したアフマディネジャド氏が61・69%、ラフサンジャニ最高評議会議長は35・93%だった。投票率は59・72%。17日の第1回投票の62・66%を下回った。アフマディネジャド氏の大統領就任は8月上旬の予定。(テヘラン)
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