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暮らし接近、ICタグ
ICタグが導入された婦人靴売り場。タッチパネル式の情報端末は操作が簡単で、店員だけでなく来店者も使用できる=三越日本橋本店で
ICタグの仕組み
ICタグ(電子荷札)が、消費者の日々の買い物現場にも登場し始めた。これまでは一般の人の目には触れない物流段階が軸だったが、百貨店や回転ずしなどの店頭に進出。バーコードや台帳に代わって、業務の効率化に役立つという。ただ、本格的な普及には高コストなどの課題も多い。(五郎丸健一)
●デパート、回転ずし 在庫や鮮度管理
靴を平らな台に載せるとディスプレーに型番やサイズ、色などがさっと表れ、タッチパネル式の画面を操作すれば、在庫やサイズ違いの有無が簡単にわかる……。
三越の日本橋本店(東京)と阪急百貨店の梅田本店(大阪)は4月末、婦人靴売り場にICタグから商品情報を読み取る専用端末を設置。約1割の商品に識別番号を記録したタグをつけている。
以前は店員が奥の倉庫に走っていき、在庫を調べていたが、タグつきなら客を待たせることがほぼなくなったという。平均13分かかった1人あたりの接客時間も約半分に縮まった。
三越の担当者は「混雑時に販売機会を逃すロスが大きく減る」と期待する。導入後1カ月間ではタグつき商品の売り上げが1割伸びた。今秋には銀座店でも導入する。
アパレル大手のフランドルも「ル・スーク」など2ブランドの約60店のレジで、ICタグを使っている。毎月の棚卸し作業も、以前は3〜4日かかったが、導入後は1日で済み、店員の残業代を減らせたという。9月には導入店舗を200以上まで増やす予定だ。
外食産業で先行するのは回転ずし。全国で160店を展開する、あきんどスシロー(大阪府)は昨年末までに9割の店に導入。皿の裏側にタグをつけ、鮮度管理や販売データの収集・分析に使い、「ネタの仕入れにいかし、廃棄ロスを数%減らせた」という。元気寿司(宇都宮市)も「すしおんど」の一部で導入している。
●コスト・規格に課題
ICタグの長所は、広く使われるバーコードより情報量が格段に大きく、読み取りも簡単な点だ。この2、3年で工場の部品や図書館の蔵書、貨物コンテナなどの管理向けに実用化が広がり、食肉の生産履歴の追跡、交通情報の発信などの実証実験も活発だ。
総務省の研究会が03年にまとめた試算では、10年時点でICタグの普及がもたらす経済波及効果は9兆〜31兆円。半分強を、産業分野での売り上げ拡大やコスト削減がもたらすと見込まれる。
小売りや外食分野での効果は、品切れ防止、在庫圧縮、作業負担の軽減など幅広い。米ウォルマート・ストアーズが取引先にICタグの取りつけを要請するなど、欧米の流通大手が先行したが、日本でも実証実験に取り組む企業が増えている。
ただ、専門家の間では「本格普及は少なくとも数年先」との見方が強い。製造コストなど課題も多いためだ。
03年に実験を行った食品スーパーのマルエツは物流部門で近く実用化する方針だが、「店頭導入はハードルが多く、かなりの時間がかかる」。食品スーパーは1点数十〜数百円の商品が中心で、タグだけで1個あたり数十円する現状では、費用に対する効果が見合わないからだ。「1個5円以下」の開発をめざす官民共同プロジェクトも進んでいるが、商品化は来年後半以降の見通しだ。
もう一つの課題は技術の標準化だ。日本では推進団体が二つあり、読み取りに使う無線の周波数や情報の記録方式などが異なる。どちらの方式が主流になるのかははっきりせず、ある大手スーパーは「規格が統一されないうちは本格的に取り組めない」(システム担当役員)と指摘する。
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