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超音速旅客機めぐり日仏共同研究 欧州と関係構築狙い 米牽制 存在感アピール
日仏の航空宇宙工業会が次世代の超音速旅客機(SST)をめぐる共同研究に合意したことを受け、日本の航空機業界に仏業界との提携を「欧州全体の航空業界との関係構築につなげたい」とする期待が広がっている。ボーイングに代表される米国メーカーへの部品供給を通じて拡大してきた日本の航空機業界は、欧州との連携を通じて米国勢を牽制(けんせい)しつつ、世界の航空機業界で存在感を高める道筋を探っている。(納富優香)
今回、日仏で合意したのは機体仕様や耐熱複合材、エンジン騒音対策関連といった基礎的な技術の共同研究。今後三年間をかけて研究を進め、その後に次の段階となる機体開発に着手するかどうかを判断する。
ただ、合意された事業規模は両国それぞれ年間一億円程度にとどまっており、「二ケタ少ない。実効ある研究をする気があるのか」(総合重機大手)と早くも疑問の声が上がっており、英仏共同開発だったコンコルド後継機に直結するとは言いがたい。
さらにSSTの需要が不透明で、計画そのものを疑問視する社もある。コンコルドは燃費の悪さや騒音が敬遠され、一九六九年の初飛行から十八機を製造しただけで二〇〇三年に運航を終了した。ジャンボジェットの開発では、欧州のエアバスが大型化、米ボーイングが省エネ化を通じてそれぞれコスト削減を競っており、次世代機に求められることは「速さよりコスト」(三菱重工業)という声が支配的だ。
むしろ各企業が期待しているのは、欧州有力企業との関係構築にある。
大型旅客機メーカーがボーイングとエアバスの二社に集約される中、日本の有力航空機・航空エンジンメーカー各社は三十年以上前からボーイング社と協力。現行の旅客機777では機体の21%、次期旅客機の787では35%の開発・製造を担当しており、ボーイングとの取引拡大が常に優先されてきた。
同時に、エアバスの次世代旅客機A380でも、貨物ドアや機内映像システムなどで日本企業二十一社が参画しており、米国一辺倒からの脱却を模索している。
こうした中で合意したフランスとの共同研究に対し、日本の航空産業界は、素材や部品の標準規格を知ることを通じて、エアバスにも食い込めると期待している。
フランス側としては、政府系のNEDO技術開発機構がマッハ5・5に相当する出力を実現したSST用エンジンを開発するといった日本の技術力に期待している。共同研究は二〇〇三年に仏航空宇宙工業会のフィリップ・カミュ会長が来日した際に三菱重工、石川島播磨重工業、川崎重工業など重工大手に協力を呼びかけ、これを経済産業省、仏運輸省が後押しする形で合意に達した。
SSTは実用化するとしても二〇二〇年前後をにらんだ長期プロジェクトで、どういう枠組みになるかまだまだ流動的だ。米航空宇宙局(NASA)もSSTを研究しており、今後、米の出方も注目される。
SSTの共同研究自体が収益につながる事業に育つかは不透明だが、日本と欧州との接近は、欧米が主導権を握る大型機市場で日本勢の浮上につながる可能性を秘めている。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/21kei001.htm