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今週の日本債券:もみ合い、欧米金利高に伴う売り警戒−1.3%の攻防 (ブルームバーグ)
2005年6月20日(月)03時00分
6月20日(ブルームバーグ):今週の債券相場はもみ合いを予想する見方が
多い。先物市場での海外勢の売りが前週後半の相場急落を促しており、こうした
売りの引き金となった欧米の金利上昇や内外株高の持続性を見極める展開。もっ
とも、市場の景況感は金利が急騰した過去2年間の6月当時ほど改善しておらず、
10年国債の利回り1.3%台での潜在需要は根強いとされている。
新発10年国債利回りは前週後半に上昇した。米国の長期金利が10日の取引
で4%台をつけたことで売りが先行したが、週初には投資家の押し目買いが入っ
て1.2%台半ばでもみ合った。しかし、16日には20年債の入札結果がやや不調と
なるなか、内外株高を材料に先物売りが膨らむと、5月17日以来ほぼ1カ月ぶり
に1.3%台に乗せた。その後は1.3%台での需要で小戻ししたものの、結局は10
日終値より7ベーシスポイント(bp)高い1.29%で引けた。
市場参加者の多くは今週の10年債は1.3%の攻防と見込んでいる。債券先物
が欧米金利や株価にリンクするとの連想が強く、海外ファンドなどの売りが意識
される場面では1.3%台半ばが視野に入る。ただ、10年債の1.3%台のほか、5年
債の0.5%や20年債の2%など節目とされる水準では相応の需要が入るため、今
週に関してはレンジ相場を逸脱するとの見方には至っていない。
欧米金利や株価動向を見極め
欧米では6月はじめにかけて債券買いの勢いが加速したが、金利低下が当初
の見込みより進展したことからその後は上昇に転じている。
前週末の段階でも、米国では連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上
げの観測が残り、欧州中央銀行(ECB)の利下げ期待も後退しており、欧米市
場ではなお金利水準の低さを警戒する見方がくすぶっていた。
今週も欧米の金利がにわかに低下すると期待できないとなれば、国内債市場
は先物主導で崩れた前週後半の地合いを引き継ぐ公算が大きい。
市場では、「金利低下トレンドの支えになっていた米債券高に一服感が出て
きたことで、7月にかけての重要イベント前に買い手控えムードが台頭する可能
性が出てきた」(新光証券・三浦哲也債券ストラテジスト)と指摘されており、
現物取引が細る局面での金利上昇への警戒は怠れない。
また、前週末には米株市場でダウ工業株30種平均が3カ月ぶりの水準に達し、
国内市場の株価もじり高傾向が続いていることも、債券市場の買い手控えの要因
だ。「株価は毎年の株主総会後の展開を考えると一方的な上昇はない」(三井住
友海上火災保険投資部・高野徳義グループ長)との見方もあるが、株価堅調が持
続するようだと債券先物売りのきっかけとなりやすい。
景況感の改善期待は鈍い
もっとも、足元で株価が堅調なわりに市場の景況感はさほど改善しておらず、
過去2年の6月のように金利が上振れするとの見方には至っていない。
16日に発表された4月の機械受注が予想ほど落ち込まなかったことも、前週
後半の金利上昇の一因とされたが、それでも1年前に消費関連を中心に発表され
た指標が軒並み強かったほどの勢いは感じられないという。
景気動向を判断するうえで今週は注目度の高い経済統計の発表がないが、23
日の法人企業景気予測調査は、日本銀行が7月1日に公表する企業短期経済観測
調査(6月調査)の結果に影響するものとして関心が寄せられている。
「法人企業景気予測調査は、過去4回とも大企業・製造業の自社景況判断B
SIが指し示した方向感が、日銀短観の業況判断DIの動いた方向と見事に合致
している」(みずほ証券・上野泰也チーフマーケットエコノミスト)だけに、こ
の発表を受けて短観に関する市場のコンセンサスが固まりそうだ。
民間調査機関が17日までに公表した予想をブルームバーグ・ニュースが集計
したところ、日銀短観の6月大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス16
と、前回3月調査時のプラス14から小幅な改善となりそうだ。また、大企業・非
製造業のDIは前回より1ポイント改善のプラス12が見込まれるが、改善幅はい
ずれも小幅でほぼ横ばい圏内の動きとみられている。
現物需給は引き続き良好
長期金利が予想外の上昇となった前週末にかけて、市場では欧米の金利高や
株高など外部環境の悪化が意識されたが、現物需給は引き続き良好といえる。
実際、16日に行われた20年債の入札結果はやや不振だったものの、「投資家
の目線より少し低い金利水準で入札が行われ、これが海外金利高などの悪材料と
重なって、その後の市場が過剰に反応した面がある」(モルガン・スタンレー証
券・山脇貴史債券ストラテジスト)と指摘されており、利回りが上昇すれば相応
の需要が戻ってくるとの期待は根強い。
また、20年債の入札を通過したことで、長期や超長期ゾーンは7月5日の10
年債入札まで発行がないため、金利の「上昇余地に関しては株価、景況感、為替
など環境は悪化しているが、売り込む状況にはなく1.35%の手前だろう」(岡三
証券証券情報部・坂東明継シニアストラテジスト)とみられている。
予想レンジとコメント
6月17日の午後5時までに集計した、市場関係者の今週の予想レンジは以下
のとおり。新発10年国債利回りは270回債。
◎UFJつばさ証券投資戦略部・鹿野達史チーフマーケットエコノミスト
先物9月物=139円50銭−140円20銭
10年債利回り=1.35%−1.28%
「相場の上値は重い。投資家の押し目買いで一時的に戻りを試すものの、欧
米債券相場の調整で海外勢の利益確定売りへの不安が残る。法人企業景気予測調
査は日銀短観をみるうえでの材料。短観の業況判断では水準を聞いているのに対
し、こちらは方向感を聞くという違いはあるが悪化の可能性もある。収益見通し
の下方修正も考えられ、短観の弱めの推移を連想させるものとなる」
◎新光証券・三浦哲也債券ストラテジスト
先物9月物=139円30銭−140円30銭
10年債利回り=1.35%−1.25%
「方向感に欠ける展開。金利低下トレンドの支えになっていた米債券高に一
服感が出てきたことで、7月にかけての重要イベント前に買い手控えムードが台
頭する可能性が出てきた。上値買いが手控えられた場合、10年債は1.3%台での
推移も想定しておかねばならない。イールドカーブ上は10年が割安であることを
念頭に置き、堅調だった7−8年からの入れ替えが有効だろう」
◎大和住銀投信投資顧問債券運用部・伊藤一弥ファンドマネジャー
先物9月物=139円30銭−140円30銭
10年債利回り=1.35%−1.25%
「10年債の1.3%近辺でのもみ合い。今週は注目イベントや国債の入札がな
いだけに、欧米金利の動きを材料にした先物主導の展開が続く。国内の投資家は
10年債の1.4%までは断続的に買いを入れるが、勢いからは海外勢の先物売りが
やや優勢となる場面がありそう。一方、ここにきての株価の上昇はできすぎの感
があり、新たな材料がないなかで今週は横ばい圏で推移しそうだ」
◎三井住友海上火災保険投資部・高野徳義グループ長
先物9月物=139円40銭−140円30銭
10年債利回り=1.34%−1.26%
「しばらくもみ合いの展開。引き続き海外勢の先物売りが警戒され、短観も
意識されてくるが、ここから売り込んでいく状況でもない。中短期債の相場も総
じて安定している。相場がいったん調整したことで10年債の1.2%台半ばは上値
が重くなる一方、1.3%台は投資家の需要も底堅そうだ。先週堅調だった株価も、
毎年の株主総会後の展開を考えると一方的な上昇はないとみる」
◎モルガン・スタンレー証券・山脇貴史債券ストラテジスト
先物9月物=139円35銭−140円25銭
10年債利回り=1.34%−1.25%
「金利の上振れはなさそう。今週は特段の注目指標がないため景況感を判断
しづらく、上昇基調にあった株式相場も動きにくくなる。短観を本格的に意識す
るのは来週以降だ。このため、売り方にとってはもう少し踏み込んだ材料がない
と、相場が一段と崩れないといった意識が出てくるのではないか。10年債の
1.35%や20年債の2%といった水準での押し目買いはかなり強そう」
◎岡三証券証券情報部・坂東明継シニアストラテジスト
先物9月物=139円40銭−140円40銭
10年債利回り=1.34%−1.24%
「下値固め。先週後半に相場が崩れて10年債は1.3%台に乗せたが、押し目
買いも入った。相場が落ち着くと大半の様子見の投資家も動き始める。ただ、長
期金利の下限は最近までの上限の1.25%で、これを下回っても1.24%がせいぜい。
戻り売りのめどになる。逆に、上昇余地に関しては株価、景況感、為替など環境
は悪化しているが、売り込む状況にはなく1.35%の手前だろう」
記事に関する記者への問い合わせ先:
東京 赤間信行 Nobuyuki Akama akam@bloomberg.net
http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/mn_jbntext.html?id=20bloomberg13aUMlqcW1F8rI