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財政難のミニ自治体業務
青森・三戸町
学校給食の調理や公民館の維持管理など地方自治体が手がけている業務を、民間会社が一括して請け負う新ビジネスが東北地方で展開されている。企画立案や証明書発行など基幹業務以外の分野の無駄を民間の目でチェック。経費削減につながった分を両者で分け合う。地方交付税の削減で財政難に苦しむ自治体は多く、このビジネスモデルが全国に浸透する可能性がある。 (経済部・松本観史)
■黒字確保
東京駅から東北新幹線で三時間。かつて南部藩の居城があり城下町として栄えた青森県三戸(さんのへ)町は、リンゴと水田など豊かな自然が自慢だ。
企業役員の自家用車管理で知られる「大新東」(東京都文京区)が、同町から学校給食調理員や休憩施設「道の駅」の運営、歴史民俗資料館の管理など、二十四業務八十四人分の仕事を引き受けたのはことし四月だ。町の嘱託職員だった八十四人全員が同社の社員となった。
歴史民俗資料館では、二人の女性職員が入場者の案内や展示品の維持管理に従事する。笑顔を振りまきながらも、週に一日しか閉館日がなく常に超過勤務の状態という。
職員の労務管理などほぼすべての仕事を担当している大新東の三戸出張所長、本間昌治さんは「来年以降は一括受注のメリットを生かせば、(他の職員もローテーションに組み込めるので)二人の仕事の負担を減らすことが可能だ。わが社も超過勤務代を節約できる」と笑顔を見せた。
同社が町から受け取った八十四人分の年間委託料は約一億四千万円。給与は職員の昨年度の実績を保証した上で、同社の利益分を上乗せ。昨年度より少し割高になっている。
同社が取り組んでいるのは行政が苦手な「効率経営」。退職者が出ても補充しない方針で、同町から受け取る五年後の委託料も、現在より二−三割減る。しかし十分に黒字を確保できるという。
■思惑一致
大新東は一九六二年の設立。自家用車の管理のほか、企業の寮・保養所の管理や調理サービスを二十年ほど前から手がけている。だが、金融機関は支店の統廃合が進み、自家用車の管理も先細り。日光江戸村などの観光事業も赤字続きで昨年末に完全撤退。こうしたなかで目を付けたのが、地方自治体の行政サービスの肩代わりだった。
昨年四月、まず北海道のえりも町から二十業務の受注に成功。ここを訪れた三戸町の久慈豊町長が「財政難の一助になるうえ、民間の効率的なやり方を学ぶいい機会」と飛びついた。
現在は保育や医療事務サービスにも乗り出し、幅広い「社会サービス」の提供がセールスポイント。単発で自治体の医療事務などを行うニチイ学館や、保育業務のベネッセコーポレーションなどとはビジネスモデルが基本的に異なっている。
地方自治体の業務委託で業績立て直しを狙う同社と、平成の大合併の波に逆らい独立志向を強める小さな自治体との思惑は、見事に一致している。
■民間の力
歴史民俗資料館に近い「道の駅さんのへ」で目についたのは地元産のりんごジュースやニンニク類だ。以前はどこの観光地にもあるような菓子類ばかりだった。「これではいけないと思い商品の入れ替えを行っている」と同社の担当者は説明する。
この店は駐車場とトイレが接近しすぎて、客が店に立ち寄らないという構造的な“欠陥”もある。そこでBGMを流して客を店内に呼び込むなど躍起だ。
民間の力による「地方財政の立て直し」。新しいビジネスモデルは少しずつ芽を出しつつある。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050619/mng_____kakushin000.shtml