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OPEC生産枠50万バレル拡大…市場の反応は薄く 強まる原油先高観
世界経済に影響も
石油価格の先高観が強まっている。石油輸出国機構(OPEC)は十五日の臨時総会で、イラクを除く十カ国で一日あたり二千七百五十万バレルの現行生産枠について、七月から五十万バレルの引き上げを決めたが、ニューヨーク市況は高値を記録するなど、市場の反応は薄い。このため、OPECによる価格抑制策の手詰まり感は一層と強まり、世界経済への影響が本格化しそうだ。
OPECが五十万バレルの生産枠拡大を決めたのは、価格抑制効果を狙ったためだ。中国、インドでの原油需要の拡大に加え、北半球での観光シーズンを控え、ガソリンや軽油の需要が膨らむとの見通しが強まっており、増産によってこうした供給不安を打ち消す目的があった。
だが、OPECが増産を決定した直後のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は反発。指標である米国産標準油種(WTI)は十五日、一バレル=五五・五七ドルで引けた。一時は五六・七五ドルと二カ月ぶりの高値をつけるなど、市場への効果はなかった。
ただ、OPECの生産枠拡大による価格抑制効果は、総会決定の前から期待薄だった。サウジアラビアなど、イラクを除いたOPEC十カ国の実際の生産量は、すでに五月で生産枠を上回る二千八百十万バレルに達している。生産枠を五十万バレル拡大しても、実際の生産量の拡大にはつながらず、現状を追認するのにすぎないからだ。このため、渡文明石油連盟会長は「(増産効果が)あるとしても心理的効果」と分析していた。
その一方で、生産枠拡大の“逆効果”を指摘する声も強まっている。OPEC十カ国の生産能力は、一日あたり約二千九百六十万バレル。生産枠を拡大すればするほど、生産余力は限界に近づき、将来の需要拡大に対する対応力が弱まるからだ。業界関係者は「先行き不安が先高観を強めれば、投機資金の市場への過度な流入を招きかねず、原油高騰に歯止めをかけにくくなる」と懸念する。
OPECによる価格抑制策に手詰まり感が強まる中で、国内の経済界からは世界経済や日本経済への打撃を心配する声が強まっている。山口信夫日本商工会議所会頭は十六日の会見で「今すぐに影響が出るわけではないと思うが、このあたりで高騰が止まってくれないと、世界経済に悪影響が出る」と強い警戒感を示した。
原油高騰に伴い、日本では五月の大型連休にガソリン価格が上昇し、消費にも悪影響を与えた。このまま推移すれば、石油元売り各社は、七月にガソリン卸価格を一リットルあたり三円程度引き上げる方針であり、夏の行楽シーズンを原油高が再び直撃しそうだ。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/17kei001.htm