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EU首脳会議 憲法批准先送りか 予算合意は困難な情勢
【パリ=山口昌子】欧州連合(EU)は十六、十七の両日、ブリュッセルで首脳会議を開き、フランス、オランダが国民投票で否決し、英国が凍結した欧州憲法の批准問題や、英国の還付金、共通農業政策(CAP)補助金問題で英仏が対立している中期予算(二〇〇七−一三年)を協議する。欧州憲法批准問題に関しては、来年十一月一日までの期限を先送りする可能性が出ているが、予算問題をめぐる合意は困難な情勢だ。
EU議長国、ルクセンブルクのユンケル首相は十五日、中期予算について合意は困難との認識を示した。
英国は一九八四年、補助金より分担金が大幅に上回っていたことから特例として還付金を獲得し、その額は年平均で四十六億ユーロ(約六千億円)だった。ところが、還付金はEUの予算規模と連動するため、EU拡大後の次の中期予算では七十一億ユーロ(約九千三百億円)まで膨れ上がるとみられており、他の加盟国から廃止の要請が出ている。
しかし、ブレア首相は十四日、ユンケル首相が妥協案として提案した「現状での凍結」を拒否。同日のシラク仏大統領との会談後の記者会見で、補助金をめぐる英仏の対立が解消されなかったことを認めた。
ブレア首相はまた、英国が分担金の支払いで財政的に苦しいことや、農業従事者が全加盟国人口の2%であるのにCAP予算がEU予算の40%に上ることを指摘し、還付金を問題にするなら農業補助金も見直すべきだとの従来の立場を示し、CAPで最大の恩恵を受けているフランスを批判した。
これに対し、シラク大統領は十五日、「英国はあらゆる財政的負担を負うべきだ」と反論。CAPに関しても二〇〇二年のEU首脳会議で二〇一三年まで現状維持とされた点を繰り返し指摘した。欧州憲法の批准否決や支持率の急落で国内基盤が弱まっているだけに、この問題で譲歩を示す可能性は少ない。
一方、欧州憲法批准に関し、バローゾ欧州委員長は同日、批准プロセスの「休止」を改めて訴えた。EU加盟二十五カ国のうち十カ国が批准手続きを完了したが、発効には全加盟国の批准が必要だ。今後、国民投票を予定しているデンマークなどでは否決される可能性が高い。議長国のルクセンブルクでも七月十日に国民投票を実施するが、徐々に反対が増えている。
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EU予算と還付金 EUは加盟国の分担金で予算を編成し、経済基盤の整備や域内農産物を買い支える共通農業政策の補助金などに支出している。だが、農業人口の少ない英国では分担金のわりに受け取る補助金が少ないことへの不公平感が強く、サッチャー元首相時代の1984年に「還付金」を特例として認めさせた。特例見直しを求める仏独に対し、英国は共通農業政策の予算規模そのものを問題視している。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/16int001.htm