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黒潮大蛇行1年、沿岸漁業に打撃
近海ではマグロ豊漁 カツオ・シラス水揚げ激減
本州南方の黒潮が東海沖で大きく離岸する十三年ぶりの「黒潮大蛇行」が約一年間続き、各地の漁業に影響が出ている。静岡では昨年、全国有数を誇るシラスの水揚げが例年の四割程度に落ち込んだ。和歌山では回遊魚の減少で沿岸漁業がダメージを受けた半面、クロマグロの豊漁が続いて明暗を分けた。気象庁は「黒潮大蛇行が終息する兆候はない。今後数カ月は継続する」と予想。漁業関係者の苦悩は続く。
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例年の水揚げ量が全国一−三位という静岡のシラス漁。過去十年間の平均水揚げ量は七千トンを超えていたが、昨年は約二千七百トンにとどまった。「時期により増減があるが、最近は三割近く水揚げが減っていた。昨年はそれを下回るペース」。県水産試験場は説明する。
同水産試験場によると、黒潮大蛇行が発生した場合、黒潮から派生した「内側反流」が沿岸付近に接近。沖合に比べて沿岸に発生しやすい餌のプランクトンが、沖合の黒潮の影響を受けた内側反流のため減少、不漁につながる。
シラスの不漁に伴って水揚げ価格は上昇した。例年であれば六月ごろで一キロ七百円程度が、今年六月には千円を超えた。消費者への影響も懸念され、「漁業関係者からは『いつまで続くんだろう』という声も聞かれる」(水産試験場)。
和歌山・勝浦漁協は、事情がもう少し複雑だ。カツオなどを対象にした沿岸漁業では、黒潮が離岸したため漁場も遠くへ。「五百キロから一トン取っていた漁船が五匹、十匹とか。とにかく魚がいない。燃料代も高騰したので、『経費倒れ』もある」という。
一方で、はえ縄漁のクロマグロは豊漁が続いた。例年五月ごろには大東島付近へ移動するクロマグロが、黒潮が東に張り出した影響で、紀伊半島沖にとどまっていることが原因。四、五月で二千三百三十二匹、昨年同時期に比べ八百五十六匹も多い結果となった。漁港への水揚げはあるものの、勝浦漁協に所属しているマグロ船は十隻程度で、残りは他県の船。「組合員のほとんどが沿岸の船なので『漁港の水揚げはよくても、組合員はよくない』状態」と漁協としては素直に喜べない。預貯金で食いつないだり、陸でアルバイトを探す組合員も現れた。
気象庁によると、九州南東で発生した黒潮の小蛇行が、大きさを増しながら東に進み、東海沖で安定して黒潮大蛇行になる。終息過程に入っても完全に「接岸型」に戻るまで三、四カ月かかり、まだ終息の兆候もない。気象庁は「今後数カ月は継続するとみられる」としており、今後の推移を見守っている。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/16iti003.htm