★阿修羅♪ > 国家破産40 > 738.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
(欧州乱気流)憲法・予算論点に 16日からEU首脳会議
批准作業が難航している欧州連合(EU)憲法条約の取り扱いを協議するため16日から開かれるEU首脳会議で、統合の今後を左右する論点として、EUの中期財政計画(EU予算、07〜13年)の策定問題が浮上してきた。EUへの負担と受益をめぐって、加盟国の利害が絡み合っており、予算の合意に失敗すれば、憲法をめぐって傷ついた欧州の結束をさらに損なうことになる。(ブリュッセル=岸 善樹、ベルリン=能登智彦)
焦点は、EUから英国に還付される「予算払戻金(リベート)制度」だ。サッチャー政権時代の84年、農業補助金の受取額が少ない「農業小国」英国だけに認められ、04年には約46億ユーロ(約6100億円)が払い戻された。
リベート削減要求を引っ張るのが仏独両国。スペインやイタリアも同調し、英国包囲網ができつつある。一方の英国は「農業大国」仏が恩恵を受けている農業補助金の削減に踏み切るなら、リベート見直しに応じる可能性を示唆している。
13日にベルリンで開かれた英独首脳会談でも、リベートの扱いをめぐる対立が鮮明になった。会談前の記者会見でシュレーダー独首相は「ドイツは拠出額の増減について公平に妥協する余地がある」と述べつつも、「既に合意済みの農業予算については、見直しには応じられない」と語り、英国を牽制(けんせい)した。これに対して、ブレア英首相は「欧州統合は大切だが、予算の支出や配分は全体を見て平等でなければならない」と反発した。
リベートは予算規模と連動するため、EU拡大で予算が膨らむのに伴って、07年以降は年間70億ユーロを超えるといわれる。EU議長国ルクセンブルクのユンケル首相は、リベートの額を当面は現状で凍結し、徐々に削減する案を示している。そのうえで英国が求める競争力強化のための資金を確保すれば、妥協は可能だとの見方も出ている。
こうした期待の背景には、EU憲法の批准作業が難航している事情がある。憲法をめぐって緩んだEUのたがを締め直すには、予算の合意に持ち込むしかないわけだ。
批准手続きの継続を求める仏外交筋は「国民投票を棚上げしたうえ、リベートでも一切譲歩しないという選択は、英国にはできない」との見通しを示した。
EU憲法を否決したオランダ国民投票の出口調査では、反対の理由で最も多かったのが「オランダはEUにお金を出しすぎる」だった。金額をしぼったうえでEU予算で合意することは、こうした不満を和らげるためにも不可欠だ。
◇ ◇
◆キーワード
<EU予算> EUは25の加盟国からの分担金などを元に予算を編成し、相対的に経済水準の低い加盟国の経済基盤整備や農業への援助などにあてる。政策執行機関である欧州委員会の予算案は、07年から7年間で1兆260億ユーロ(約135兆円)。これは年平均で域内GNI(国民総所得)の1・24%にあたるが、分担金負担が大きいドイツ、フランス、英国、オランダ、スウェーデン、オーストリアは、域内GNIの1%以内に抑えるよう主張している。議長国ルクセンブルクのユンケル首相は、1・06%である8710億ユーロに抑える案を示している。
http://www.asahi.com/paper/international.html