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【経済面】2005年06月15日(水曜日)付
都市再開発ラッシュ ミニバブル懸念も
ビルの一部が建設され、再開発が進む東京・六本木の防衛庁跡地(手前)=6日、本社ヘリから
東京・六本木の防衛庁跡地再開発の完成予想図(三井不動産提供)
東京や大阪をはじめとする全国の主要都市で、商業施設やオフィス、マンションなどが集まる大型再開発が続いている。バブル崩壊で冷え込んだ不動産投資を呼び戻そうと、政府が進めてきた建築基準の緩和や税制の優遇策も後押ししているようだ。都心部の一部については、すでに「ミニバブルの様相」との声さえ出始めた。(橋田正城)
●ヒルズに対抗
東京の新名所、港区の六本木ヒルズから600メートル北にある防衛庁跡地で、3700億円を投じた再開発が進んでいる。東京一の高さ(248メートル)となるビルの上層階では外資系高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン東京」が開業する。別の建物にはサントリー美術館が入り、高級賃貸マンションもできる。
開発を手がける三井不動産は「10ヘクタールの敷地の4割が公園などの緑地となる。ヒルズとは全く違う都市型再開発だ」という。年間2500万人が利用するとそろばんをはじいている。
東京都心部ではほかにも、中央区の東京駅八重洲口で高層ツインタワーが建設中だ。今夏には日本橋口側でも37階建ての高層ビルが着工する。
湾岸部の江東区豊洲では今年、石川島播磨重工業の造船所跡地など広さ60ヘクタールの開発事業が本格着工した。新宿副都心級の地域に高層マンションやオフィスビル、売り場面積6万平方メートルの商業施設などが建設される。
●政策が下支え
開発ラッシュを下支えするのは政府の各種優遇策だ。4年前に小泉首相の肝いりで、内閣に「都市再生本部」を設置。その後、建築基準法の商業地域の容積率を緩和し、防衛庁跡地や東京駅八重洲口などを含む全国63地域、約6400ヘクタールを「都市再生緊急整備地域」に指定した。地域内の開発には金融支援(債務保証、無利子貸し付け)をしたり、不動産取得税の減額をしたりして促進してきた。
その中でも「都市再生特別地区」(13カ所)に指定した大型事業には、容積率や建ぺい率などを大幅に緩和した。
名古屋駅前でトヨタ自動車と毎日新聞社などが建設している「豊田・毎日ビルディング」は、容積率を従来の1000%から1420%に拡大した。06年秋には47階建て、高さ247メートルの超高層ビルが完成する。
大阪・心斎橋の「そごう心斎橋店」建て替え計画でも、容積率を1300%に。従来の8階建てが14階建てになり、売り場面積も1万平方メートル増の約4万平方メートルとなる。
●収益力が低下
日本銀行によると、04年度にはバブル期に匹敵する約8兆2千億円のカネが不動産市場に流入した。国内銀行の貸出金総額に占める不動産業向け融資の割合は過去最高の19・9%に達した。
法政大・本間義人教授(都市政策)は「都心部の地価は上昇に転じており、バブル再来が懸念される状況だ。急速な規制緩和で高層建築が無秩序に増えているが、国と自治体ははっきりとした都市の将来像を示すべきではないか」と指摘している。
一方で、「成約賃料が当初見込みより下がり、収益が低下している一等地のビルもある」(アナリスト)という。東京では丸の内と品川、汐留、六本木といった地区でテナントの奪い合いが激しさを増している。すでに、再開発が確実に成功するビジネスとは言い切れなくなっているようだ。
◇ ◇
◆主な都市再生緊急整備地域
都道府県名 地名 指定地域数 面積(ヘクタール)
北海道 札幌駅・大通駅周辺地域など 2 163
宮城県 仙台駅西・一番町地域など 2 125
東京都 赤坂・六本木地域、東京駅・有楽町駅周辺地域など 7 2,375
愛知県 名古屋駅周辺・伏見・栄地域など 3 428
大阪府 大阪駅周辺・中之島・御堂筋周辺地域など 12 1,072
広島県 広島駅周辺地域など 2 84
香川県 高松駅周辺・丸亀町地域 1 51
福岡県 小倉駅周辺地域、福岡天神・渡辺通地域など 5 451
(都市再生本部の資料から。指定地域数と面積は各都道府県ごとの合計値)
http://www.asahi.com/paper/business.html