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金融庁と対立鮮明 「投資家の不公平感に配慮」
東京証券取引所が13日に金融庁に提出した報告書は、市場規律を優先する姿勢を強調し、金融庁が求めていた企業の上場審査などを行う自主規制機能の分離や上場廃止基準の見直しを最小限にとどめる内容となった。一方、大阪証券取引所が同日発表した改定案は、金融庁の求めに応じ、経営再建を目指す企業の上場維持を図る内容で、東証の方針とは対照的な報告となった。金融庁は東証の回答には満足しておらず、金融審議会(首相の諮問機関)などで協議を続ける方針で、両者の対決姿勢は一層鮮明になった。
■上場制度
金融庁が東証に上場廃止基準の見直しを求めたのは、産業再生機構の支援を受けて再建中だったカネボウの株式を東証が5月12日に上場廃止にすると決めたのが直接のきっかけだった。再生機構が送り込んだ新経営陣が粉飾決算を解明したにもかかわらず、上場廃止で再建作業に支障が生じれば、「旧経営陣の不正を暴くのに慎重になるケースが増えかねない」(関係者)との指摘があったためだ。
東証が今回の報告で、金融庁が求めた上場廃止基準の緩和を拒んだのは、「過去に粉飾決算を理由に上場廃止となった株式を保有していた投資家が不公平感を抱きかねない」(東証)との懸念から、市場規律を優先したからだ。
東証が示した再上場の緩和策は、経営再建中の企業を対象に、「有価証券報告書の虚偽記載がない」状態が2期連続で必要な現行基準を、経営体制や財務諸表の是正を見極めた上で期間を短縮し、直近の1期に虚偽記載がなければ、再上場を認める特例を検討する。
■大証の報告
一方、大証は、金融庁の要請に応じ、上場廃止基準を見直す方針を報告した。
大証内では、もともと、カネボウ株の上場廃止を議論していた5月に「経営が刷新された現状を踏まえ、上場が維持されてもいいのではないか」とする意見があった。
結局、大証もカネボウ株の上場廃止を決めたが、今回の報告には、そうした慎重論が引き継がれていると見られる。「上場廃止基準が時代遅れになっている」「東証と金融庁が対立する中で、どちらに味方するか考える余地ができた」(大証幹部)などの意見が相次いだ。
■監理ポストの内規
東証の上場廃止判断を巡っては、透明性を求める指摘も出ている。
有価証券報告書の虚偽記載が問題となった事例では、昨秋に発覚した西武鉄道の株式が上場廃止となった一方、2005年5月に発覚した小田急電鉄グループでは、投資家に上場廃止の可能性を知らせる監理ポストにも割り当てられず、市場からは「東証の判断基準はわかりにくい」との見方が出ているからだ。
東証は、西武鉄道問題を受け、上場廃止基準に関する内部規則を作成。小田急グループの虚偽記載問題では、名義借りした株式がグループ各社の発行済み株式数の数%にとどまり、親会社―子会社の関係が変わらなかったため、監理ポストにも割り当てなかったと説明している。
市場関係者からは「内部の指針でも公開すべきだ」との意見が強まっている。
写真(左)東証の深山浩永経営企画部長(左)と土本清幸上場部長
写真(右)会見する五味広文金融庁長官
「内容不十分」 金融庁は反発
金融庁の五味広文長官は13日の記者会見で、東証から受けた報告について、「議論をスタートできる状態になった」と述べ、今後東証と本格的に協議する姿勢を明らかにした。
金融庁は「東証の報告内容は不十分で、市場開設者として公正な審判役を務めるには、自主規制機能の切り離しが必要だ」(幹部)とし、東証の報告に強く反発している。今後、金融審議会(首相の諮問機関)などに議論の場を移し、機能分離や上場廃止基準の見直しなどに応じるよう東証に再考を求める見通しだ。
奥田経団連会長が機能分離論けん制
東証の社外取締役を務める日本経団連の奥田碩会長は13日の記者会見で、「(自主規制機能を分離しないと)泥棒が泥棒を裁くようなものといわれるが、(分離で)別法人にするのは屋上屋を作る話だ。シンプルに組織を考えるのが一番大事」と述べ、分離構想をけん制した。
(2005年6月14日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20050614mh06.htm