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伊ウニクレディトが独ヒポ銀買収へ――「欧州メガ銀」誕生には壁、国内保護エゴ強く。
【ロンドン=佐藤大和】イタリアの大手銀行ウニクレディトは十三日、ドイツ二位のヒポ・フェラインス銀行を買収すると発表した。欧州で国境をまたいだ金融再編が加速するきっかけになると同時に、有力な伊銀の海外進出意欲も浮き彫りにした。しかしイタリア国内では外資の参入が難航しており、各国が自国金融界を保護するようなエゴを排して「欧州メガバンク」の誕生に結びつけるには、なお壁がある。
これまでイタリアの銀行買収を実現した外銀はない。今年三月には、オランダ大手のABNアムロとスペイン大手のビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)がそれぞれ別の準大手銀に買収提案を出したが、いずれも難航している。
なかでも注目を集めているのは、ABNアムロによるアントンベネタ買収の行方だ。時価総額でアムロの十五分の一、アントンベネタよりもさらに小さい伊の地銀バンカ・ポポラーレ・デ・ロディ(BPL)が対抗買収に乗り出したからだ。
BPLの資本力の小ささを考えると、「対抗買収は無謀」というのが金融界の大勢。ところが金融監督当局を兼ねるイタリア中銀は、アムロよりも早くBPLに株式買い増しを認可。BPLが筆頭株主に急浮上し、アムロは劣勢に立たされた。「BPLは外資の買収を妨害するため、中銀が送り込んだ別動隊」との観測が浮上している。
イタリアは他の欧州主要国に比べて大企業が少なく、典型的な中小企業中心の経済構造になっている。「金融界を外銀の草刈り場にはさせない」というイタリア中銀のスタンスは、貸し渋りを恐れる国内産業界から根強い支持を得る。
もっとも、目を中東欧に向けると違った風景が浮かんでくる。中東欧諸国の政府は欧州連合(EU)の指導もあって旧国営銀行を相次ぎ民営化してきた。その機会をフルに生かして地元銀行を続々に傘下に収め、「草刈り場」にしたのがバンカインテーザなどイタリア勢。ウニクレディトによるヒポ銀買収も中東欧での勢力拡大が狙いだ。
EUの欧州委員会は通貨統合をテコに域内銀行の統合再編を加速し、米国勢に対抗できる複数の「欧州メガバンク」が割拠する将来図を描いている。しかし実際には、再編の主導権をめぐって各国政府や金融当局のエゴがぶつかり合い、迅速な再編を阻んでいる。
独政府は今回、業績が低迷するヒポ銀の身売りを冷静に受け止めた。だが、米シティグループによるドイツ銀行買収の観測が浮上した昨年には、政財界あげての反対運動が起こった経緯がある。