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2005年 06月 12日 日曜日 17:49 JST
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寺脇 麻理記者
[ロンドン 12日 ロイター] サミット財務相会合(G8財務相会合)での正式なテーマではなかった中国人民元の改革問題が、やはりロンドンでの主要な話題に浮上した。特に目を引いたのが果断な対応を求めた日本の主張。人民元の改革が中途半端に終わり、一段の改革実施の思惑が市場に残る場合、円の連れ高を招くおそれがあることを警戒したもので、日本は具体的な改革時期などには触れないことで、米国の強硬姿勢とは一線を画している。
「自らの政策自由度を高める意味からは(人民元改革は)早めに対応することが必要だ」、「ある程度果断に対応されることが必要ではないか」「市場では中国人民元が上がるときに日本の円も上がるとの見方があるが、そういうことはないと思っている」(谷垣財務相)──。10日の日米財務相会談で日本は、人民元改革における日本の立場について踏み込んだ発言を行った。
一連の発言について、財務相同行筋は11日に記者団に対し、人民元の柔軟性を回復するには、「いろいろなやり方があるが、少しやること自体はあまりいいことでない。市場でもっと(柔軟性の拡大が)あるかもしれないというスペキュレーションを生んでしまうことは、かえってよくないという趣旨。これを含めて果断に対応するということ」だと補足説明を行った。
為替市場では「人民元切り上げ観測が高まるとアジア通貨高を連想した円買いにつながる」(外資系銀行)との思惑がくすぶり続けている。2004年3月中旬以降、日本は円売り介入を停止しているものの、人民元改革を材料にした投機的な円買いが進めば、為替介入再開に追い込まれるおそれがある。そのため、日本側は財務相会談の場を利用して、外為市場や中国にメッセージを送ったものとみられる。
ただ、「早期に」あるいは「果断に」という言葉が一人歩きして、日本側が意図したメッセージは必ずしも上手く伝わっていない可能性がある。米国と歩調をそろえて中国に圧力をかける姿勢に日本は転じたのではないか、といった思惑も浮上している。
G8財務相会合終了後の会見で谷垣財務相は、「いかなる時にどういうことをするのかは中国自身の責任と判断で行われるべきことで、圧力をかけるとか、かけないとかいう性格のものではない。まずは中国自身がどういう方策が一番適切であるかを考えるべきだと繰り返し申し上げてきた。現在でもそのことは基本として変わりがない」として、中国が判断すべきとの日本の立場に変更はないと強調した。
米国は5月の「国際経済政策および為替政策に関する議会報告書」の中で、人民元改革への時間的猶予を半年と区切り、中国への圧力を高めている。
また、米国議会に提出された対中制裁法案は、人民元の過小評価の程度について、平均27.5%(上院提出法案)、あるいは40%以上(下院提出法案)と具体的な推計値を提示。一般的に人民元は安すぎるとの議論が主流だったそれまでの議論に比べ、法案の中に数値が盛り込まれるなど、米国内における中国に対する改革要求は、日増しに高まっている。
谷垣財務相は、G8財務相会合後の会見で、「中国があれだけの大きな経済的な変化をしていく時は、選択肢がいろいろあることが必要ではないかと思う。そのためには、為替レートの柔軟性が必要ではないか。それも遠い将来の話ではないのではないか」と発言した。
中国の過剰流動性やマクロ経済状況をふまえると、もはや人民元改革は政治的決断を待つ状況とみることができるが、米国と足並みをそろえて圧力を与えているとの誤解を与えないような、情報発信の手腕も財務省は問われている。
※(ロイター通信日本語サービス編集部 寺脇 麻理記者 ロイターメッセージング:mari.terawaki.reuters.com@reuters.net、Eメール mari.terawaki@reuters.com、電話:+44-7734-586483)
※(編集:田巻 一彦記者 ロイターメッセージング kazuhiko.tamaki.reuters.com@reuters.net Eメール kazuhiko.tamaki@reuters.com 電話: 03-3432-7363)
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