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役員報酬増額ラッシュ 業績好調な電機・自動車メーカー
日産は平均2億6028万円
透明性向上、経営力アピール
今月末にかけて、全国で一斉に行われる三月期決算の上場企業の株主総会で、業績好転による増配などを背景に役員報酬の増額を株主に報告する企業が増えている。日本円で数十億円からときには百億円単位の巨額報酬を受け取る欧米経営者と比べるとまだまだその額は低いが、財務情報の透明性の向上という理由のほかに、経営陣の通信簿として、企業経営力を外部に積極的にアピールするという意味合いもある。
◆同業種で格差
十六年度(十七年三月期)に役員報酬を増やしたのは、電機や自動車など業績好調な企業だ。
突出しているのが日産自動車。十六年度役員報酬総額は十八億二千二百万円で、トヨタ自動車の九億三千八百万円の約二倍だ。役員の数は日産が七人なのに対し、トヨタ二十七人。単純に一人当たりの平均額で比べると、日産の二億六千二十八万円に比べトヨタは三千四百七十四万円となんと七倍以上の差となる。
十億円ともいわれるカルロス・ゴーン社長の報酬額(非公開)が影響しているとみられ、平均値で比べると「ゴーン社長以外の役員からはブーイング(反発)の声も上がりそう」(日産関係者)だが、それでも他企業に比べれば突出感はある。
デジタル景気に沸く電機業界も増額に動いている。三期連続増収増益の松下電器産業は、十六年度の一人あたり役員報酬を平均三千九百十四万円とし、前年度からおよそ一千万円増やした。同社は株主配当も前年度比二・五円増の年十五円とし、十七年度は年二十円の増配予想を公表。株主還元とともに役員報酬を引き上げた格好だ。
液晶テレビが好調なシャープも、十六年度は同三百九十万円アップの千六百三十六万円に。ただし、同じ電機・IT(情報技術)関連企業でも、平均報酬額はソニーが二千八百四十六万円、KDDI三千四十五万円、ソフトバンク四千三百四十万円と、企業間の差が大きいのも事実だ。
◆個別開示も
「人の懐具合まで探るのは不作法」(証券会社幹部)との声もあり、株主に対する情報開示は、役員賞与総額のみを公表した企業が大半だったが、トヨタやソニーなど日本の代表的企業に対し、より明確な情報開示の一環として、報酬の個別情報開示を求める株主の提案も多くなっている。
そんな流れを意識して、日興コーディアルグループは昨年、代表権を持つ役員の個別報酬額を初めて開示した。十六年度も「透明性を向上させる」(広報部)として、開示を継続。金子昌資会長が六千四百万円、有村純一社長が七千百万円−などと公開した。
ただし同じ証券大手でも、野村ホールディングスや大和証券グループ本社は当面、個別開示の考えはないという。役員報酬情報の開示のあり方については依然、企業の考え方によってはバラつきがある。
◆ささやか?
市場には大手の役員報酬の公表について、「額が大きいから公表できる」との見方もあるが、現実に日本の大企業の社長の報酬(賞与含む)で一億円を超えるのはごくごくまれだ。業績が必ずしもよくなくても、年間で数十億から百億円を超える報酬を得ている米大手企業経営者とは比べようもない。
日本最大の流通グループ、イオンは「経営の透明性を高めるため」と岡田元也社長の報酬を公表したが、金額は四千七百万円だった。むしろ、「(個別)公表したら『たったそれだけか』と驚かれる。恥ずかしい」(トヨタ)と、ためらう声も根強い。
ただ役員報酬額が、企業の経営力をアピールする効果も期待されている。
株主からの開示要求に「コストを判断するためなら総額開示で十分」(産業界)という経営者側の声もあるが、個別開示が広がれば、役員慰労退職金や名前だけの顧問や相談役に支払われる「不透明な報酬」が、なくなるという指摘もある。
一般従業員の給与も業績連動型に移行しつつある中で、役員報酬の高額化も当然の流れといえそう。ただし「痛くもない腹」を探られるよりは、正確な情報開示が求められそうだ。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/12kei003.htm