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■[為替に強くなるコラム]
仏・蘭で「EU憲法」批准ならず!ユーロ崩壊でマルクやリラが復活!?
by 松尾健治(リッパー・ジャパン シニア・マーケット・アナリスト)
ユーロが安い。
その理由として5月29日と6月1日に、フランスとオランダでそれぞれ行われた国民投票の結果、EU(欧州連合)憲法の批准が否決されたことが挙げられる。こうした流れを受けて市場ではユーロ崩壊説、はては流通が停止されたドイツマルクやイタリアリラの復活説までもが噂されたのだ。
そもそもEUとは、どんな組織なのか?その歴史はEC(欧州共同体)にさかのぼる。ECは、1967年7月1日に(1)欧州経済共同体(EEC)、(2)欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)、(3)欧州原子力共同体(EURATOM)の3つの国際機関が統合して出来たものである。そしてECは、93年11月1日にEUに改称された。ただしEUは、いまのところ未完成で国際機関ではないため、国際法上の権利や義務を持たない。
そこでEUを国際機関にし、さらにひとつの国家の様に強大にすべく、EU大統領職を設けようという気運が高まった。今回フランスとオランダで否決されたのは、そのために必要なEU憲法である。EU憲法は、加盟国政府間では04年10月29日にすでに合意されており、06年11月1日の発効を目指していた。
しかし、このEU憲法が発効するためには加盟25カ国の批准(国民投票をするかどうかは各国次第)が必要であり、今回のフランスやオランダの国民投票の結果を受け、振り出しに戻ったかたちである。なお、既に批准した国はスペイン、リトアニア、ハンガリー、スロベニア、イタリア、ギリシャ、スロバキア、オーストリア、ドイツ、ラトビアの10カ国(スペイン以外は議会承認のみの批准)である。
EUに突きつけられた今後の課題は、為替だ。ユーロ崩壊説やマルク・リラ復活説は現実的でないとしても、その不安心理で売り圧力にさらされることとなりそうだ。これまでユーロ相場は一方通行になりやすく、下落はまだまだ続きそうと考えるのが普通だ。
また、金利格差も売り圧力としてのしかかる。基本となる政策金利で見ると米国は3%と、2001年10月1日以来となる高さまで上昇した一方で、ユーロは03年6月5日以来2%のままだ。04年12月14日を境に米ドルに超えられ、今ではその差も1.00%まで広がった(01年3月以来最大の格差)。
この金利格差が埋まる時、つまりそれはユーロの政策金利が上がるか米ドルの政策金利が下がるかだが、その時がユーロ反発の良い時期となりそうだ。ただユーロの政策金利は今、上げるべきか下げるべきかで議論しているし、米国も利上げから利下げに転換する間は最低でも4〜5カ月かけてくるのが伝統なので、この夏中はまるでユーロ反発のきっかけはつかめそうにない感じである。
http://www.investor.reuters.co.jp/editorial/EditorialContent.asp?edid=120050607