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欧州小型車膨らむ市場 燃費規制追い風/中東欧に需要
欧州の小型車市場が活性化している。温室効果ガス削減に向けた欧州連合(EU)の政策的な規制から燃費効率のいい小型車に追い風が吹くとともに、中東欧の経済水準が上がるにつれて小型車の需要が拡大するとみられるためだ。自動車メーカー各社は生産拠点を中東欧に移してコスト削減を進めつつ、これまで「もうからない」と敬遠してきた小型車市場に熱い視線を注いでいる。(ローマ 納富優香)
先陣を切ったのは、仏ルノーの「ロガン」。自動車が急速に普及し始めた地域で先駆けようと、中古車とも対抗できる五千ユーロ(約七十万円)の低価格帯を狙って開発された。昨年夏から中東欧を中心に販売したところ、顧客の反応が良かったため西欧でも年内に発売する。西欧では安全装備としてエアバッグなどを追加するため、七千五百ユーロ(約百五万円)程度となる見込みだ。
高付加価値・高価格路線で業績低迷を招いた独フォルクスワーゲン(VW)は「ルポ」を刷新し、価格を抑えた「フォックス」として夏から発売する予定だ。昨年発売開始した伊フィアットの「パンダ」や韓国・起亜自動車の「ピカント」なども好調を続ける。
競争が激化する市場に新たに投入されるのが、トヨタ自動車と仏プジョー・シトロエングループ(PSA)が共同開発・生産した姉妹車だ。
足回りなど基本性能部分は完全に共通化しながら、「外装はドア一枚を除きすべて別々」(チェコトヨタの生駒仁志社長)となっており、トヨタの「アイゴ」、プジョーの「107」、シトロエンの「C1」として大都市で先行販売された。値段は九千ユーロ(百二十六万円)前後と他社製品よりも若干高めだが、装備の充実などで魅力を訴えている。
もともと欧州市場は道路の狭さなどから、小さいエンジンで小回りが利く小型車の需要はあったが、単価が安いことから「もうけるのは至難の業。狙った台数を売り切る自信がないと参入できない」(内川重信欧州トヨタ副社長)という難しい市場だった。
転換点となったのが、地球温暖化対策からEU欧州委員会とACEA(欧州自動車工業会)が合意した平均燃費自主規制だ。二〇〇八年からメーカー各社が新車乗用車の二酸化炭素(CO2)平均排出量を一キロ当たり百四十グラム以下にすることを目標としており、一九九五年の平均燃費と比べ約25%削減というかなり厳しい内容となる。
メーカーにとって現在の車種構成で各車種の性能を改善して達成できる水準ではなく、各社とも燃費の良い小型車の比率拡大やディーゼル化などを急ぎ始めた。たとえば、アイゴのCO2排出量は約百九グラムと少ない。トヨタでは、アイゴやもうひとつ上のクラスの「ヤリス」(日本名「ヴィッツ」)などの台数を増やすことで、燃費は悪いが利幅の大きいSUVや高級セダンを売り続けながら、自主規制の目標達成を図る。
小型車の需要が増えるなか、各社は少しでも利益を増やそうと、生産拠点を中東欧などに移してコスト削減を急いでいる。中東欧諸国は残業時間の規制など労働条件が緩いうえ西欧よりも人件費が安い一方、EU加盟による関税撤廃の恩恵も受け、距離も近いため輸送コストも抑えられる。ルノーはルーマニアの子会社ダチアで、トヨタとPSAはチェコでの合弁工場で小型車を生産。VWはブラジルからの輸入により価格競争に臨む方針だ。
中東欧は自動車の普及が急速に進んでおり、市場としての潜在力も期待できる。今後も東欧への生産シフトは避けられそうにない。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/05kei001.htm