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【米経済コラム】米金融当局が心配するグローバルリスク−J・ベリー (ブルームバーグ)
2005年6月2日(木)13時17分
6月2日(ブルームバーグ):世界情勢を見渡したとき、米金融当局者は
喜んでなどいられないだろう。
欧州とアジアの経済と政治はいずれも、米経常赤字を悪化させる方向に動
いており、どの国・地域にとっても貿易収支の調整がさらに苦痛を伴うものに
なりそうなためだ。その一方で、米欧間や米中間の貿易摩擦も激しさを増しつ
つあり、全関係国に打撃を与えかねない保護主義の脅威が台頭している。
米金融当局者にとって、こうした動向は世界金融危機に発展しかねない高
いリスクをはらんでいる。金融政策の問題ではないため、当局には残念ながら、
国際収支の悪化に対してなすすべはほとんどない。だから当局は、米国のイン
フレなき成長を促進することに集中し続けながら、連邦政府の財政赤字の削減
策を促ししている。ただこれは、若干の助けにはなっても問題解決にはほとん
どつながらないだろう。
赤字拡大
金融サービス最大手、米シティグループの新チーフ・グローバル・エコノ
ミスト、ルイス・アレキサンダー氏は5月27日付のリポートで、米国と主要
貿易相手国の一部との成長率格差の広がりを受けて「米経常赤字は今後数四半
期間、拡大する可能性が高い」との見方を示した。
同氏は、中国人民元の5%切り上げやドルの対ユーロ、対円相場の再下落
の可能性を加味しても、米経常赤字の対国内総生産(GDP)比率は昨年の
5.7%から2006年には7.5%に上昇すると予想する。
同氏は「国際収支の不均衡は、主にもう一段の為替相場の変動によって、
経済や金融の大きな混乱を伴わずに抑制されるだろう」としながらも、「ただ
短期的には、さらに赤字が拡大すれば2つの大きなリスクが伴うと当社は予想
する」と指摘。「一つ目のリスクは、米経常赤字の大幅な拡大が将来のある時
期にドルが急落する可能性を高めること」、「2つ目は、既に表面化している保
護主義の圧力が強まることだ」と説明した。
これらの問題こそ、まさに米金融当局が心配するリスクだ。当然、ドル急
落は米長期金利の急上昇の引き金にもなり得る。ドル下落は、外国人投資家の
ドル資産投資意欲が減退したことの結果であるとみられるからだ。今年の米経
済成長率はユーロ圏の2倍強となる見込みであるだけに、米国からのユーロ圏
向け輸出の回復は期待しにくい。フランスとオランダの国民投票で欧州連合
(EU)憲法の批准が否決されたのを受けた最近のドルの急上昇で、事態は悪
化するばかりだ。
アジア
民間航空機の生産・販売に対する政府補助金の在り方をめぐり、米国と欧
州は提訴合戦を繰り広げているが、最も深刻な保護主義の脅威は、人民元の切
り上げ問題をめぐる米中間の摩擦の方だ。
グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、人民元の米ドル・
ペッグ(連動)制は通貨供給量の伸びを制限することを困難にするため、中国
はいずれ、インフレ抑制のために人民元を切り上げる必要に迫られると指摘し
た。今のところ、目覚しい経済成長を遂げながら、中国は何とかインフレを抑
え込んでいるが、米議会の保護主義者らが中国製品に特別関税を課すことに成
功すれば、深刻な貿易戦争に発展して経済に混乱を招きかねない。
また、米国の対日貿易赤字も依然として大きい。日本の経済成長見通しは
欧州よりも幾分悪い。日本経済は成長しつつあるが、足取りは弱い。消費者物
価指数は引き続き下落しており、依然として緩やかなデフレに見舞われている。
やはり、米国の方がはるかに成長率は高いため、対日貿易赤字が縮小する可能
性はほとんどない。
シティグループのアレキサンダー氏と同じように、米金融当局もなお、金
融危機を引き起こさずに米経常赤字はいずれ縮小すると信じている。だが、赤
字が対GDP比でさらに拡大すれば、彼らの見方が誤りとなるリスクはさらに
高まるだろう。
(ジョン・ベリー)
(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。
このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Fed Worries About Increasing Global Risks: John M. Berry(抜
粋) {NXTW NSN
http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/mn_jbntext.html?id=02bloomberg12aO9Ej6HnhgvQ