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【中国】 “バブル”抑制正念場、上海市が新基準[建設]
上海市の不動産政策が“バブル抑制”に向けて大きく動き出した。市当局はこのほど「普通住宅」の基準を発表し、「高級住宅」売買の負担増を明確に打ち出した。不動産物件を高級住宅と区別することで、市民への住宅供給を進めると同時に、高級不動産への過剰投機を抑制することが狙いだ。不動産投資が加熱する中国で、上海市当局のバブル回避への取り組みが今後、どこまで有効なものとなるか。同市の新たな不動産政策が全国から注目を集めている。
■「普通住宅」は1万7,500元以下
普通住宅の基準は先月末に発表された「不動産税収管理の強化に関する追加通知」の中で明らかにされたもので、◇小区(住宅区)全体における建物の容積率が100%以上、◇1戸の面積が140平方メートル以下、◇実質取引価格が平均価格の1.44倍以下――の3点。特に価格については、内環線以内の市中心部では1平方メートルあたり1万7,500元以下、内環と外環の間では1万元以下などと細かに定めているのが特徴だ。
基準に該当する普通住宅は、購入から2年以降に物件を売却する場合、営業税が減免される。一方、該当しない住宅は実質上、高級住宅とみなされ、物件の売却収益に営業税が課されるほか、購入時にも取引税を収めなければならない。高級住宅の購入者に大きな負担を求める内容だ。
同基準は国務院が5月中旬に発表した不動産投機抑制政策で各都市に設定を促したもの。北京などが続々と発表する中、不動産投資加熱の“震源地”上海の発表が待たれていた。
■年収の54倍、消費水準とかい離
上海の住宅価格は急カーブで上昇している。市内の平均価格は昨年、1平方メートルあたり6,385元で、過去5年間で1.7倍に上昇。投資が集中する市中心部の新天地は3万8,343元と3.1倍になった。2年間で東京の平均地価が3倍にはね上がった80年代の日本のバブル期に比べればまだ安定しているとの見方もあるが、上海の場合、市民の消費水準と大きくかい離しているという問題がある。
国際的には平均住宅価格が平均年収の3〜5倍の範囲なら、住民の消費水準に合った相場とされている。しかし、1日付人民日報が伝えた世界主要都市の水準に基づくと、上海で100平方メートルの住宅を購入した場合、価格は実に年収の54倍。この値は東京の7.5倍、ニューヨークの3.4倍をはるかに上回っている。
しかも価格の高騰は、市民の実際の住宅需要を反映したものとはいえないようだ。中国社会科学院金融研究所の調査によると、浦東新区の住宅の4割がすでに売却されているにも関わらず無人の状態で、投資家が投機目的で住宅を購入している実態が浮き彫りとなっている。上海の住宅価格は、地域経済の実体からかけ離れ、バブル化が進行しているのは間違いないようだ。
■「危険水域」は3割下落
不動産投資は銀行融資への依存度が高いため、バブルが進めば金融不安が高まる恐れがある。特に中国では、人民元切り上げを見越し海外資本が不動産投資に殺到しているという特殊事情もある。このため、市と国は今春から一連の住宅投機抑制策を導入。上海の住宅価格は5月20日までの1カ月だけでも10.6%下がっており、政策の効果が認められる。
だが抑制策は市場暴落も招きかねない“もろ刃の剣”。上海申銀万国証券研究所のアナリストによると、上海の住宅価格は今年10〜12月には現在に比べ20〜30%下落する見通しだが、この範囲を上回った場合には金融リスクが発生する可能性が大きいという。今年末を乗り切れば長期的には2006年まで下落傾向をたどり、07年からはまたゆるやかに上昇に転じると期待されているが、安定下落と暴落の分かれ目は非常に微妙だ。
不動産のバブル傾向は、上海だけではない。例えば北京では昨年、平均可処分所得が約1万5,000元だったのに対し、住宅の平均価格は1平方メートルあたり5,000元だった。さらに上海が一連の政策を導入したことで、投機資本は北京などに流入するとの観測もあり、上海を中心とした動向は全国にとって目が離せない状況だ。
国家発展・改革委員会経済研究所の経済運行・発展研究室の王小広主任は、不動産のバブル現象を解決できなければ「中国経済のソフトランディング(軟着陸)すら難しい」としている。全国のテストケースともいえる上海の取り組みは、中国のマクロ経済調整力をはかるものともいえそうだ。<上海>
http://news.goo.ne.jp/news/nna/kokusai/20050602/20050602cny002A.html