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重要な難問から逃げ続けながらいま強行されようとしている
「郵政のデタラメ民営化」は、これ以上の恐ろしい事態を招くだろう
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JR西日本福知山線の脱線大惨事は、「官から民へ」を繰り返し唱えてきた小泉首
相の“民営化信仰”を打ち砕くものだ。事故の直接の原因は、まだ推測の域を出ない
が、ハッキリしているのは、民営化によってもたらされたJRと私鉄各社のサービス
競争の激化が背景にあることだ。
「とりわけ『私鉄王国』といわれる関西は競争が激しい。JR西日本は京阪神を結ぶ
主要路線のほとんどで阪急、近鉄、阪神、南海などの私鉄と競合しています。そのう
え、乗客数は少子高齢化で年々減少。旧国鉄時代は殿様商売で済んだが、87年の民
営化以降は限られたパイの奪い合いに参加せざるを得なくなったのです」(国交省関
係者)
JR西日本は全運輸収入の4割を稼ぎ出す京阪神の競合路線を「アーバンネットワー
ク」と名付け、“速さ”を売りに、乗客の争奪戦を繰り広げてきた。車体を軽量化し、
高速化を急ピッチで進めてきたのだ。
「脱線事故が起きた福知山線もそのひとつです。沿線の宅地化が進み、並行して走る
阪急宝塚線に対抗するため、尼崎で乗り換えなしで大阪市内に入れるJR東西線(9
7年開業)と結び、増発を繰り返してきた。通勤ラッシュ時の快速列車は3〜4分間
隔という過密ダイヤを組み、『大阪―宝塚間で阪急より7分速い』ことを売りにして
いました。そのため、電車の遅れにはナーバスで、今月初めには全社員に『列車の遅
れはお客様の信頼を裏切る』と文書で通知。事故前の2週間は、福知山線から東西線
に入り、東海道線との乗換駅である尼崎駅の発着を1秒単位で調査していた。オーバー
ランによる1分30秒の遅れが、運転士と車掌にはかなりのプレッシャーになってい
たはずです」(JR事情通)
駅の乗降時間まで短縮してスピード化を図る一方、安全対策はお座なりで、福知山
線には制限速度を超えると自動的にブレーキがかかる自動列車停止装置(ATS)も
導入されていなかった。
脱線大惨事は、利益優先を強いられる民営化が生んだ悲劇でもあるのだ。
◆ 民営化で私鉄王国に放り出されたJR西日本 ◆
JR西日本は民営化ではハンディがある。膨大な人口を抱えるJR東日本、JR東
海の東海道新幹線という“ドル箱”がなく、赤字路線も多く抱えている。在来線の乗
客数は96年の18億4000万人から、03年度には1億人近く減少。加えて、旧
国鉄時代の長期債務1兆1000億円(連結ベース)が重くのしかかっている。
「新型ATSの導入が遅れたのもそのせい。利益確保が至上命令で、思うように設備
投資が進められないのです」(JR事情通=前出)
社員も大幅に削減され、現在3万2850人で、旧国鉄時代の3分の2にまで減ら
されている。事故を起こした23歳の運転士は、居眠りなどの“前科持ち”。運転士
の教育、質の向上はどうなっているのか、と言いたくなる。