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http://www.jca.apc.org/~misatoya/narita/04.html
万博推進側にとって最大の悩みは国と愛知県の財政破綻状態である。しかし結局のところ最大の被害者は私たち県民なのだから、この問題が万博を中止させるための最大の鍵となるはずである。しかし多くの県民はこのことに気がついていない。
愛知県は1月7日に来年度予算案、2月14日に財政中期試算を発表した。予算案のほうは、762億円とふくらんだ万博空港関連予算と肥大化した公債費によって前年当初比1.8%増の膨張予算案である。公債費が急増して3465億円となり、歳出予算全体に対する比率が14.7%にもなったのは鈴木礼治前知事時代の箱もの中心県政で乱発された県債の返済期限が殺到しているからである。この返済のために前年当初比60%増の4438億円という過去最大の県債を発行する。そのうちの1157億円は借換債〔過去の借金を返すための新しい借金〕、まさにサラ金地獄状態なのである。県債残高は本年度でついに三兆円の大台に乗り、2002年度は3兆3272億円に達する。これは年間税収の三倍に相当する。万博空港関連総事業費1兆3168億円のうち県の負担額は2477億円、貸付金を加えると2922億円と新聞発表されているが、あくまで現時点での概算にすぎない。企業庁事業の前島埋め立てや名古屋空港買取、空港関連漁業保証金などを加えれば7000億円を超えるとされている。また、関空では最終的にかかった事業費が概算の二倍まで肥大化していることを考えれば、出費はさらに増えると考えるべきであろう。万博も赤字で終わればさらなる県費の投入となることは目に見えている。空港も完成後の赤字をどうするのであろうか。考えただけで恐ろしい。
財政中期試算のほうは、県税収入が2005年度以降3%程度ずつ上昇するとしているなど、ご都合主義と希望的観測で組み立てられている。それでも公債費のほうは厳然たる事実として確実にやってくる将来であり、2003年度に4000億の大台に乗り、2006年度には4400億、2008年度には4500億に達する。おそらく公債費比率は20%に近づくであろう。
さしあたって2002年度の収支ギャップ1900億円さえクリアできない可能性が高い。都道府県の場合、税収の5%の赤字が出れば財政再建団体転落(市町村は20%とハードルが低くなっている)である。愛知県の場合は500億円ちょっとであるから簡単に危機がやってくる。アップアップの旧東海銀行(UFJ)が県債を買ってくれなくなる可能性だってある。なぜなら、つい先頃UFJ銀行は、蒲郡に建設中の愛知県を最大出資者とするリゾート施設「ラグーナ蒲郡」への貸付金400億円のうち200億円を債権放棄し、残りをトヨタに肩代わりしてもらう決定をしているのである。
危ない企業庁会計
愛知県企業庁はかっての高度経済成長期には儲かっていた。海を埋め立てたり、里山を破壊したりして造成した工場用地が飛ぶように売れていたからである。それが今では塩漬け土地が228ヘクタール。これに空港前島157ヘクタールが加わる。これらの造成費用は借金でまかなっており、売れなければ金利さえ払えないことになる。
幡豆の空港造成用の土取り場買収費用も全額こげついている。空港造成に間に合わなかったからである。さらに、長良川河口堰の水を売って河口堰建設に出資したときの借金を返すつもりでいたが水がまったく売れない。借金返済どころか利子も返せない。そこで県の一般会計から返済金が支出されている。この例からすれば、企業庁赤字は結局一般会計から補填するしか方法がない。この隠れ借金の負担が数年後には顕在化しよう。ちなみに、大阪府では企業庁廃止の方向が打ち出されている。