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揺らぐ米中経済への信頼:株安、債券高が進む−為替が冷静さの指標か (ブルームバーグ)
2005年4月18日(月)12時16分
4月18日(ブルームバーグ):週明けの東京金融・資本市場では、前週
末の米国株式相場が景気の先行き懸念から大幅安となった流れを受け、株安・
債券高の傾向が一段と強まっている。中国での「反日デモ」も継続し、日中外
相会談でも解決に向けた道筋は見えきれておらず、日本経済を外部から支えた
米中経済への信頼が揺らぎ始めたのが主因だ。
一方、外国為替市場におけるドル・円相場は、前週末の1ドル=108円台
半ばから一時107円台半ばまで円高・ドル安が進行。ただ、米国の景気不安に
よるドル安要因と、日中問題を背景とした円安要因が交錯しており、今後どち
らに振れていくかで、問題の所在を見極める市場心理のバロメーターになる可
能性がありそうだ。
日経平均は200日線割り込む
日本株市場では、日経平均株価が投資家の中長期的な売買コストの平均を
示し、当面の下値めどとして意識されてきた200日移動平均線(前週末段階で
1万1290円)を割り込んだ。ローソク足チャート(けい線)が完全に200日
線を下抜けていたのは、昨年12月22日以来。
昨年の相場を振り返ると、200日線を割り込んだ局面は、5月と8月に見
られた。5月は短期的に終わったものの、8月のケースでは12月までの調整
相場につながり、200日線が抵抗線として上値を抑える展開が続いた。
立花証券の平野憲一情報企画部長は「日経平均は200日線で抵抗すると思
ったが、先物主導の展開でヘッジ売りも出やすい。米国株は中期上昇の往来相
場になってしまった。金利上昇が始まったのは昨年6月で、その影響で過剰流
動性相場が終わったのは今年1月。現在はファンダメンタルズを反映した相場
で、期待はずれの経済指標が出れば、下がるのは当然」と指摘する。
米経済の先行き不安、日中の「長期化」懸念
前週末15日の米国株式相場は、米IBMなど主力ハイテク企業の決算や、
経済指標の低調が懸念され、主要株価3指標の1つであるダウ工業株30種は
2003年5月以来、約2年ぶりの下げを記録した。
同日発表された3月の米国の鉱工業生産指数は0.3%上昇と、ブルームバ
ーグ・ニュースが事前にまとめた民間調査機関予想の中央値と同じだったが、
製造業は0.1%の低下。自動車の減産が響き、マイナスは昨年9月以来のこと
となった。
米国株の先安観が強まっている上、日本には中国での反日デモという特殊
要因も重なっている。
16日の上海に続き、17日には中国北部の瀋陽、南部の深セン、珠海、香
港などで合計数万人規模がデモに参加。珠海では、国内電線大手フジクラの工
場付近に3000人が終結したほか、広東省の太陽誘電の工場では、従業員2000
人が参加したデモが16日に発生するなど、日本企業への直接的な影響も広が
りつつある。
市場でも「中国における反日暴動が日系企業の労働争議に入り、長引く見
通し」(三菱証券投資情報部・藤戸則弘シニア投資ストラテジスト)と、不安
感が一段と高まってきた。
債券先物は1年2カ月ぶりの140円乗せ
米国、中国経済好調の恩恵を受けてきた日本景気への期待感が後退してい
るため、この日の国内債券市場では買いが先行。長期国債先物の価格が、取引
時間中ベースでは04年2月以来、ほぼ1年2カ月ぶりに140円台に乗せた。
10年債利回りは2カ月半ぶりに1.3%を下回り、5年債利回りも新発債として
は昨年3月以来、0.5%の大台を割り込んだ。
市場では「緩やかな景気回復と、これに伴う金利上昇が見込まれていたが、
内外の株価が当初の想定以上に下がってきたことで、景気に対する見方を修正
し始めている状況」(日本投信委託・山田聡運用第2部長)という。
大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥ファンドマネジャーも「金利上昇リスク
に備えたヘッジ売りや、株式先物買い・債券先物売りの裁定ポジション(持ち
高)の相殺など、債先には買い戻しが膨らんだ」と見ていた。
前週14日に財務省から公表された4月第1週の「対外対内証券売買契約
等の状況」によると、海外投資家も新たな決算期に入った影響で、日本株を
3037億円買い越したが、それ以上に中長期債は6807億円の買い越しだった。
ここに、海外勢による株式から債券への資金シフトの兆しがすでに垣間見えて
いたとも言える。
リスクマネーの退潮
前月末まで鮮明だった原油などの商品相場高が、投資家の間で世界的な金
利上昇に伴う景気減速の観測を醸成した影響もあり、国際的な投資・投機資金
は欧米など本国市場に回帰した。リスクを取った資金の動向を探る上で注視さ
れる新興株式市場の推移を見ると、こうした動きは明らかだ。
ブラジルのボベスパ指数は3月7日に2万9584ポイントの高値を付けた
後、前週末段階ではほぼ2カ月ぶりとなる2万5000ポイント割れの水準まで
下落。経済成長への期待が大きいインドのムンバイSENSEX30指数も、3
月9日に高値6954ポイントを付けた後、前週末終値6248ポイントまで10.2%
下げている。
日本銀行による量的緩和政策の持続で流動性相場の側面が残り、堅調な企
業業績の改善が進む日本株市場は、金利動向に敏感な新興市場に比べて底堅い
動きが続いてきた。
日経平均は3月7日の高値1万1975円に対し、3月の安値は30日の1万
1506円で、この間の下落率は5%安。リスクマネーの本国回帰の影響が見られ
た米国株式相場も、ダウ工業株30種平均の3月の高値から安値までの下落率
は5.4%安と、調整幅は日本と同等の水準にとどまっていた。
ただここへきて、米国国内でも株式から債券へという安定資産への資金シ
フトが加速しており、前週末の米国市場でも株安が続く半面、長期金利(10年
債利回り)は7週間ぶりの水準となる4.24%まで低下。余波は、日本市場にも
到達している。
為替は日中問題、米経済双方に反応
こうした中で、18日の東京外国為替市場では、前週末に比べてやや円高・
ドル安が進行。米国景気の改善の遅れというドル安・円高要因と、日中問題の
長期化が日本経済に悪影響を与えるという円安・ドル高要因が交錯しているが、
やや日中問題とそれに伴う日本株安の影響が勝り、ドルの下落幅は限定的とな
っている。
ロイヤルバンクオブスコットランドの花生浩介外国為替部長は「中国の反
日デモは、海外でも深刻な状況が報じられており、日本株に対する不安が増大
している。日本の株価は対中関係の影響が無視できない状況で、一段の株安を
受けて、外国人投資家の資金回帰を促せば、円に売り圧力がかかる」と指摘し
ていた。
しかし、花生氏によると、週末の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G
7)を受けて、中国の元切り上げ問題に焦点が当たってきた上、米国景気の改
善期待に修正に伴う米国株安の影響などで、ドルも買い進めにくい状況になっ
ているという。
ドルベースで見た日経平均は、円安進行の影響で円ベースよりもひと足早
く前週段階で年初来安値を更新し、パフォーマンス悪化を懸念した外国人投資
家の売りが日本株を崩す一因になった。
円安は、国内輸出企業の採算改善というプラス面だけでなく、外国人勢の
売りを誘うというマイナス面もあるだけに、円売り、ドル売り双方の材料を抱
えた為替相場が今後どこに均衡点を見出していくかは、市場参加者の心理、投
資姿勢に影響を与える可能性がある。
記事についての記者への問い合わせ先:
東京 院去 信太郎 Shintaro Inkyo sinkyo@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:
開米 潤 jkaimai@bloomberg.net
BEN RICHARDOSON brichardson8@bloomberg.net
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