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http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm
4月15日(金)
たった1日の新聞でこれだけの不祥事
私の「世界」が狭かったようで、すかさず一橋大学の加藤哲郎さんにチェックされました。4月11日付のHPで私が、「憲法第9条は世界中に広く知られており」と書いたことに対して、加藤さんは、ご自身のHP「加藤哲郎のネチズン・カレッジ」で、「日本研究者の狭い世界ならともかく、学者の世界でも、日本国憲法第9条はそんなに知られていません。日本の非戦・非武装理念を知っている普通の民衆は、世界にはほとんどいません」と、指摘されています。
その通りです。私が海外で接したのは「日本研究者の狭い世界」で、そのとき「意外に知られている」と感じたものですから、あのように書いてしまいました。
あの部分は不正確ですので削除したいところですが、そうすると加藤さんのご指摘の意味が分からなくなってしまいますので、あのままにしておきます。よく知られていないからこそ、「憲法第9条に沿った『平和の国』としての姿が、世界中の普通の人々にしっかり認知されること、例えばかつてスイスが『中立国』として世界中で広く知られていたような実績作りが、何よりも大切」だという加藤さんのご意見にも大賛成です。
さて、朝起きてテレビを見たら、またも、背広姿の人が頭を下げている光景が目に入りました。「まだドラマの時間じゃないのに」と思いましたが、これはドラマではありません。本物のニュースです。
謝っていたのは、JAL(日本航空)の幹部です。JALはこのところ事故や不祥事続きで、これらの幹部も頭を下げるのになれたでしょう。
今回は、成田に到着したジャンボ機の主翼の一部が脱落していたというものです。主翼に異常があれば飛行機は飛べません。大きな事故につながる可能性があります。
JALは緊急点検の態勢を取ったそうですが、それは当然です。昨日、この間の事故などについての再発防止策をまとめた報告書を出したばかりで、その日の夕方にまたも大きな問題が生じています。背景には、山崎豊子さんの小説『沈まぬ太陽』(新潮社)に描かれたような異常な労使関係や企業体質の問題があるのではないかと考えるのは、私だけではないでしょう。
そう言えば、4月13日付の『日経新聞』は企業不祥事のオンパレードでした。一面に大きく「カネボウ粉飾決算2000億円 99−03年度過去最大規模に」「旧経営陣 刑事告訴へ」という見出しが躍っています。
対抗社会面のトップにも、「三菱自 不具合届け出、3年半後 18万台『対応甘かった』謝罪」があり、その横には「フジチク 5億5000万円資産隠し 容疑で会長ら5人逮捕」とあります。
さらに、隅の方に小さく「UFJに9億円賠償命令 東京高裁逆転判決」という見出しも見えます。さすがに花の季節です。企業不祥事花盛りという風情です。
『日経新聞』の一面で大きく報道されているカネボウは、経営不振に陥って、現在、産業再生機構によって再建中の企業です。ここでは、旧経営陣による不正経理が判明し、化粧品事業での仮装取引によって2000億円もの粉飾決算がありました。
この粉飾決算を主導していたのは、旧さくら銀行からカネボウ入りした宮原卓元副社長、生え抜き社長として経営を統括していた帆足隆前社長、当時の常務の3人です。カネボウはこれら旧経営陣の刑事告発を行う考えだというわけです。
三菱自動車の「不具合届け出」の遅れには、「またか」と言いたくなります。三菱自動車とそこから分かれた三菱ふそうトラック・バスには、このような問題が多すぎるからです。
昨年の3月には、三菱ふそうトラック・バスが、02年のトレーラーのタイヤ脱落による死亡事故について部品のハブの欠陥が原因だったことを認めて、トラックやバス11万台をリコールしました。5月には、02年横浜市で起きた三菱自動車製トレーラーの車輪脱落による母子3人死傷事故について,三菱ふそうトラック・バス前会長ら7人が業務上過失致死と道路運送車両法違反容疑で逮捕されています。
6月には、クラッチ系統のリコール隠しも発覚し、三菱自動車元社長ら4人が逮捕されました。さらに、つい最近、三菱ふそうトラック・バスが過去に行ったヤミ改修実施率が、平均でわずか2.2%だったことも判明しました。欠陥を隠しただけでなくヤミ改修もせず、死亡事故を招くなど、重大な社会的犯罪を犯していたということになります。
5億5000万円の資産隠しが報じられている「フジチク」という名前に見覚えのある方がおられるかもしれません。これは牛海綿状脳症(BSE)対策事業で政府の助成金をチョロまかした大手食肉卸「ハンナン」と同様、助成金を不正に受給したとんでもない会社です。
「ハンナン」については、浅田元会長らが逮捕されました。不正にかすめ取った助成金は総額約50億4000万円になり、この事業で国が交付した総額の約4分の1に達するほどの巨額です。
同じように、「フジチク」グループでも、会長の藤村芳治容疑者ら7人が補助金適正化法違反の疑いで逮捕されました。助成金約3億2200万円を不正に受給した疑いですが、お金をチョロまかしただけでなく資産隠しまでやっていたというわけです。
東京高裁で9億円賠償命令の逆転判決がだされたUFJも、悪質な不正で逮捕者を出しています。この判決は、旧三和銀行から相続税対策を進められ、お金を借りて不動産を購入した男性の妻が、説明義務違反で損害を被ったとして約11億8000万円の損害賠償を請求したものです。判決はこの言い分を認めて9億円の賠償を命じたというわけです。
逮捕者が出ているのは、この事件ではありません。金融庁の検査を誤魔化そうとして資料などを隠した不正行為に対するものです。
昨年12月、銀行法違反(検査忌避)容疑で当時の副頭取だった岡崎和美容疑者ら3人が逮捕されています。一昨年に金融庁が行った検査の際、財務内容の実態を隠して、資料の入った段ボール箱など110点を別室に移動し、パソコンに入力してあった約3万5000件のデータを、使用停止になっていた大阪のサーバーに移し、検査官にうそを言って検査を忌避したという疑いです。
たった1日の新聞の紙面に出た記事に、これだけの不祥事が詰まっているというわけです。でも、現実はこんなものではありません。
もっと凄まじい不祥事のオンパレードです。それには、どのようなものがあるのか、皆さん良くご存知の有名企業を中心に、これから紹介させていただくことにしましょう。
なお、年度が改まったばかりだというのに、内外ともに問題山積となっています。国外では日中関係をめぐる大きな混乱が生じており、国内でも郵政民営化をめぐって混迷の度が深まっています。
いずれも、問題の根源は小泉首相にあります。どちらの問題も、責任を取って小泉さんが辞めれば、たちどころに解決するでしょう。
自分から辞めないのであれば、辞めさせればよいのです。そのための第1歩は、4月24日投票の衆院補欠選挙で山崎拓候補を落選させることです。
4月16日(土)
企業不祥事はこんなにあるのか
春の1日、研究所周辺の仲間と共に、山梨までバスハイクに行ってきました。八王子からモンデ酒造、ほったらかし温泉、一宮桃源郷、御坂峠、河口湖、山中湖、道志道と回り、桜、桃、スモモ、芝桜、レンゲツツジにミツバツツジ、菜の花、花ズオウ、レンギョウ、雪柳などの花と、淡いモスグリーンのパッチワークのようになっている新緑を堪能してきました。
残念ながら富士山は雲に隠れて見えませんでしたが、雨に降られることもなく、一面ピンクに染まった桃の花の絨毯は絶景でした。ほったらかし温泉から帰る途中、山の上から眺めた甲府盆地は、桃色に霞んでいました。
さて、企業不祥事の続きです。先月の25日、関西電力は昨年8月に5人の死者と6人の重軽傷者を出した美浜原子力発電所事故の責任を取って、藤洋作社長が辞任すると発表しました。秋山喜久会長は1年間現職にとどまり、その後、退任するのだそうです。
死傷事故を起こした経営トップが責任もとらず、半年以上もその地位にとどまっていたということに驚きました。しかも、会長はまだ辞めません。
事故そのものだけでなく、このような居座り自体が一つの不祥事ではないでしょうか。事故に対する自らの責任を全く自覚していないといわざるを得ないでしょう。
電力会社トップには、世間知らずのとんでもない人間が多いのかもしれません。中部電力の太田宏次会長の例もありますから……。
中部電力は02年までの4年間で約5億8000万円の古美術品を購入し、このうち鑑定書があるのは1割だけで、購入先は太田会長が個人的に取引していた古美術商でした。これとは別に、太田さんは約500点(約1億9000万円相当)の古美術品をこの業者から預かっていました。
これらを会社の金で購入したのは公私混同であり、このような取引を特定の業者としていたのは癒着です。会社の幹部に黙って損害を与えたというのであれば背任になります。
そもそも、電力会社にどうしてこのような中国古美術品が必要なのでしょうか。太田会長は、昨年の7月28日に辞任していますが、それも当然でしょう。
美術品といえば、自分が死んだらゴッホの「アイリス」の絵を棺の中に入れて燃やしてくれと遺言した斉藤了英大昭和製紙元会長のことを思い出します。この絵は83億円も出して斉藤さんが買ったものですから、斉藤さんのものには違いありません。
しかし、それは同時に人類の宝ではありませんか。それを自分と一緒に燃やしてくれなんて、何という思い上がったとんでもない了見かと驚いたものです。
幸い、生前に斉藤さんは借金で首が回らなくなり、この絵は借金のカタに取られて焼失を免れました。この絵は今、銀行の貸金庫で大切に保管されているそうです。よかったですね。
最近の不祥事として良く知られているのは、西武鉄道とコクドです。土地取引を装って総会屋に利益供与し、親会社のコクドも持ち株比率を実際より少なく有価証券報告書に虚偽記載するなどの不正行為を働き、堤義明コクド会長は西武グループの全役職を辞任しました。
その後、05年3月3日、堤義明コクド前会長は証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載、インサイダー取引)容疑で逮捕されています。株の不正取引にからんで、2人の関係者が自殺するという痛ましいおまけまで付きました。
また、西武鉄道は今年の3月30日、堤義明コクド前会長の弟である堤康弘豊島園社長を解任しています。「経営上の不正が疑われるうえ、調査に協力しなかった」ためというのが、その理由です。
嘘をついてだましたという点では、三菱グループの不祥事も同様です。昨年10月、大阪市北区のマンション・商業複合施設「大阪アメニティパーク」(OAP)の地下水と土壌から環境基準値を超える重金属類が検出された問題で、大阪府警はマンションを分譲していた三菱地所の支店と「三菱マテリアル」の支社など4カ所を宅建業法違反(重要事項の不告知)容疑で家宅捜索しました。
土壌汚染の事実を意図的に隠し、客に説明せずにマンションを販売していたというわけです。商売人としての倫理も何もあったものではありません。
今年になってから、大阪府警は三菱地所の高木茂社長と三菱マテリアルの前社長の西川章会長ら当時の両社幹部計10人と、法人としての両社を宅建業法違反(重要事項の不告知)容疑で書類送検しました。
イヤー、すごいもんですね。「企業不祥事はこんなにあるのか」と思われたことでしょう。
でも、本当はこんなものじゃありません。企業や経営者に関わる不正や不祥事はまだまだあります。
ということで、これはまだ続きます。