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<英ローバー破たん>政府・与党に衝撃 景気への影響懸念も
【ロンドン藤好陽太郎】100年の歴史のある英国の老舗自動車メーカー、MGローバーが7日破たんしたことは、資本、開発力の弱いメーカーは、ブランドだけでは生き残れないことを象徴している。一時は日本のホンダと資本提携もしたが結局は解消し、戦略が不明確なことが最後まで足かせとなった。MGローバーは唯一残った英国資本の自動車メーカーで、英国製造業の一層の衰退を浮き彫りにしたともいえそうだ。
今後、買収者が現れない事態が予想され、市場関係者から景気への影響を懸念する声が強まっている。英国は総選挙を控えており、低失業率など好調な景気を前面に掲げる政府と与党・労働党にショックが広がっている。
ローバーの生産台数は03年に17万台と少ない。だが、ブランド力と高い技術力が評価されていた。一方で、規模のメリットが享受できず、生産性の低さが問題視されていた。
ローバーは過去、何度も経営危機に陥った。70年代には一時国有化され、80年代には、英航空機メーカー、ブリティッシュ・エアロスペースが買収した。ホンダとの資本提携もしたが、94年にはドイツ自動車大手BMWが買収した。
しかし、「一部のファンしか買わない」状況を改善できず、赤字を垂れ流し続けた。00年には、英国の投資家グループ、フェニックス・コンソーシアムがローバーをわずか10ポンド(約2000円)で買収した。それでも、自力再建できず、04年に中国の上海汽車集団と支援交渉を始めたが、今回、決裂し、破たんした。
ローバーはバーミンガムの工場に6000人の従業員を抱え、部品産業を含めると5万人規模の雇用を抱えている。英国には、製薬、航空機という世界トップレベルの高付加価値産業があるものの、自動車産業の足場がなくなれば、製造業を軸とした技術力の一層の衰退は避けられない。
英政府は引き続き、ローバーを支援していく構えだが、過去20年に所有者が3度も変わっているだけに、「救済者は現れない」との指摘も出ており、苦しい展開が予想される。
(毎日新聞) - 4月8日22時17分更新