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http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20051123ddm016040024000c.html
◇突然変異で直接との説も
新型インフルエンザの出現が心配されている。鳥のインフルエンザウイルスが変異して人間の間で広がる新型の「ヒトウイルス」となるのは時間の問題と警告する専門家もおり、そうなれば大流行して多数の死者を出すかもしれないという。鳥のウイルスがどう変異すれば、ヒトのウイルスになるのだろう。【高木昭午】
◇144通りの型、存在
インフルエンザウイルスの表面には、「へマグルチニン」(H)と、「ノイラミニダーゼ」(N)と呼ばれる2種類の分子のトゲが生えている。Hのトゲの型は全部で16、Nのトゲの型は9あり、このトゲの型の組み合わせにより、理論的には9×16で計144通りの型のウイルスが存在することになる。ウイルスはトゲの型で「H1N2」「H3N2」などと分類される。
144通りの型のウイルスはカモやアヒルなど野生の水鳥の間に存在すると考えられている。そのほとんどは水鳥には症状を出さず、人間に感染もしない。ただしいずれも、人間にうつるウイルスに変化する可能性を持つ。
鳥のウイルスが人間に感染しない理由の一つは、ウイルスが増殖に使う酵素「RNAポリメラーゼ」に、トリ型とヒト型があることだ。「トリ型の酵素は人体内では働かず、ウイルスは増殖できない」と国立感染症研究所の田代真人・ウイルス第3部長は話す。
もう一つの理由はHのトゲの違いだ。ウイルスはこのトゲで、鳥や人間の細胞に取り付くが、鳥のHは人間の細胞には取り付きにくい。
◇強毒型も現れて
東南アジアや中国では鳥の「H5N1」ウイルスが流行している。全身の臓器で病気を起こす強毒型ウイルスで、鶏を次々と殺す。通常のインフルエンザは人間なら呼吸器でだけ、鳥でも呼吸器と腸でだけ増殖するが、強毒型は全身での増殖能力がある。人間の感染者は各国合計で130人以上に達し、半数以上が死亡している。ただし、今のところはウイルスの酵素もHもトリ型で、人間社会で広がる力はない。
◇遺伝子再集合
だが、こうした鳥のウイルスが今後、ヒト型の酵素やHを持つようになるかもしれない。
それは鳥のウイルスもヒトのウイルスも、ブタには感染できるからだ。両方がブタの細胞の中で交じると、遺伝子の一部を交換しあって、新しいウイルスを作ることがある。これは専門用語で「遺伝子再集合」と呼ばれる現象で、鳥インフルエンザに感染した人間の体内でも起こり得るとされる。こうなると、病原性(病気の起こし方)はトリ型、酵素などはヒト型のウイルスが誕生し得る。鳥のウイルスがブタの中にいると、トリ型のHがヒト型に変わることもあるという。
実際に、57年に流行した「アジアかぜ」ウイルス(H2N2)や、68年に流行した「香港かぜ」ウイルス(H3N2)はブタの体内で誕生したとされる。香港かぜウイルスは、小さく変異しながら今も流行を続ける。
◇スペインかぜは別?
さらに、再集合がなくても突然変異で、鳥のウイルスがヒトウイルスになる場合があり得る。
18年に世界的大流行を起こした「スペインかぜ」は、鳥のウイルスが、ブタを経ずに突然変異して生じたとの論文が、先月、英科学誌ネイチャーに発表された。
論文によるとスペインかぜウイルスは、トリ型の酵素のアミノ酸が10個変化し、人体での増殖能力を獲得していた。Hはトリ型のままだった。
田代さんは「現在、死者が出ているベトナムの鳥ウイルスはすでに酵素のアミノ酸7、8個が変異している」と話し、ヒト型になるのは時間の問題だという。さらに「最悪の場合、全身で病気を起こし人体で増殖するウイルスが現れる。従来のインフルエンザと全く違う深刻な病気が起きかねない」と警告している。
毎日新聞 2005年11月23日 東京朝刊
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