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ニワトリ血液検査拒否宣言 水海道・鳥インフルエンザ事件に思う 笹村 出 ( 月刊 現代農業 2005年9月号 )
抗体を作り、終息するのは自然のありようそのもの
茨城県水海道市の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出された問題で、農水省は29日、家禽疾病小委員会(委員長・喜田宏北海道大教授)を開き、ニワトリの抗体検査で過去のウイルス感染が確認された近接する養鶏場五施設について、合計約9万4000羽と鶏卵すべてを処分することを決めた。
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農水省は近く専門家チームをつくり、ウイルスが検出された養鶏場と近接五施設にヒナを納めている業者を含む全関連施設を対象に感染経路を調査。ニワトリの異常を把握するための全国のサンプル調査も対象を広げる。
(共同通信6月30日)
報道は以上のように伝えています。水海道市の養鶏場で検出されたような弱毒の鳥インフルエンザは、過去、繰り返しニワトリに感染が起きていると考えていたわたしにとっては、予想どおりの結果でした。
抗体を作り、終息する。これは自然のありようそのもので、それほど危険なことではありません。カモやガンがもつ抗体の状態からも想像されるところです。
問題が起きたのは、ウイルスの強毒化が頻繁に起き始めたためです。なぜ、ウイルスが強毒化するかのプロセスは確定されていませんが、感染の連鎖のなかで起きるということは確かです。つまり、薬剤でコントロールされた密室的環境のなかに、弱毒の鶏インフルエンザウイルスが落とし込まれたとき、何万という感染の連鎖のなかでウイルスの変異が起こる可能性が高まる。近年、アジアでの大規模養鶏業の広がりとともに頻発するようになった、と推測することができるでしょう。
「青天の霹靂」の淘汰命令
今回、水海道市で起きた「H5N2亜」型感染は、発見された経緯も、疑いをもって検査した結果、見つけたわけではありませんでした。そののち周辺五養鶏場で抗体保持のニワトリが発見された経過は、この病気のありようを表わしています。健全な経過のなかで、この病気は克服されようとしていたのです。もちろんこのあいだにウイルスが変異しなかったことは幸いでしたが、このまま過ぎていれば抗体を得て終息していくはずでした。
ところが、家禽疾病小委員会は、抗体を得たニワトリもすべてを淘汰しろと命じました。このことは、わたしたちのように自然と折り合いをつけ、生きものを飼育していくというしくみでもって養鶏業を営むものにとっては青天の霹靂です。
もし、このように理由もなく生きものを殺すことが正義とされるならば、すべての道徳は地に落ちることになるでしょう。淘汰することが必然なら、まずその理由が示されるべきです。ところが、さっそく問い合わせたわたしにたいし、農水省の担当官のA氏は、なんの理由も語らず、「家禽疾病小委員会の決定だから淘汰する」の一言で電話を切ってしまいました。
抗体を得たニワトリは財産
鳥インフルエンザの経過は、何十万、何百万と生きものをまとめて飼うことが困難であることを示しています。畜産は自然との折り合いの範囲で、できるかぎり小規模で行なうことが望ましいのです。日本の農水省の方向では、完全管理できる、密封養鶏だけにしてしまおうという、明らかに間違った判断をしています。ヨーロッパでは、大規模畜産への反省がなされ、ケージ飼育を禁止する方向です。
現在、県単位で血液検査をする動きが出てきています。その過程で、抗体をもったニワトリが発見されれば、また淘汰ということが命じられるでしょう。これは間違った選択です。
抗体を得たニワトリ、あるいは同じ場所にいながら感染をしなかったニワトリ、これらは価値あるニワトリなのです。強毒化した鳥インフルエンザウイルスにたいしても、相当の対応力があるはずです。わたしのように自然養鶏を営むものにとって、ありがたい財産となるニワトリです。将来、そこから素晴らしい品種の作出もできるかもしれません。それを見つけしだい淘汰では、自然養鶏の存続はあり得ません。
以上のように憤慨しておりますが、どこにもやり場がありません。この間違った進行をなんとしても止めなくてはなりません。が、自分の無力が残念でなりません。
わたしはニワトリ血液検査を拒否します。もし強制力をもって行なわれることになったときは、わたしの養鶏が終わるときです。
(神奈川県小田原市)
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