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衆 - 農林水産委員会 - 2号 平成17年10月19日
○ 稲葉委員長 次に、山田正彦君。
○山田委員 きょうは、プリオン専門調査会の吉川座長には、わざわざバンコクから、朝着いていただいて、この委員会のためにどうもありがとうございます。
早速質問させていただきたいと思いますが、十月十二日、同僚の民主党の川内議員が内閣委員会で質問しております。いわゆる牛肉系の肉骨粉、特定危険部位を入れた、これが約十六万トンアメリカで、レンダリング業界で生産されている、さらに、牛脂、タローと呼ばれるそうですが、これも特定危険部位が入って十六万トン生産されて、そのまま流通している、そういう事実が明らかにされました。
さらに、実は私の方で手に入れた資料なんですが、これは、二〇〇四年八月、FDAがアメリカの全国生乳生産者連盟、そこに諮問しているわけです、反すう動物の飼料に血粉とか、SRMを使った肉骨粉とか、食品残渣、養鶏場廃棄物などを禁止するとしたら、どういうふうな影響があるかと。ということは、今まで使っていた、使っているということなんですが。その中で、全国生乳生産者連盟の答えでは、一日一頭当たり四ポンド乳牛の乳量が落ちるというようなことを言っているようです。そういったことから、これをちょっと読んでみますと、いわゆる反すう動物によるそういったものが約七〇%はさらに反すう動物に対して主に酪農業界で飼料として利用されているということです。ということは、仮に今回もしアメリカからの牛肉の輸入が再開されて、酪農の牛肉、ミンチとかハンバーガーとか恐らくそういうものになると全く表示されないわけですが、そういったものがそのまま流通すると大変なことになると思うんです。
そういった意味で、今大事な、日本と同等のリスクの評価がなされているわけですが、早速吉川座長にお聞きしたいと思います。
アメリカにおいてSRM入りの肉骨粉とか牛脂、そしてまた血粉、そういったものが大量に使用されている事実について、既に資料を求めて食品安全委員会で十分な検討をなさっているかどうか、まずその点についてお聞きしたいと思います。
○吉川参考人 お答えいたします。
先ほど指摘のあった点に関しては、専門調査会で既に、米国において、牛由来の特定危険部位を含む肉骨粉、あるいはイエローグリースと言われる動物性の油脂が直接牛の飼料に回るということはないように規制をされ、また、その記録も残すようにされていますけれども、今おっしゃったように、牛以外の鶏とか豚といったものの飼料に使われる、また、その残渣あるいは残飯というものが牛の飼料に戻る可能性があるということについては、既に専門調査会で検討し、また、そういうことが行われる限り国内でのBSEの増幅をとめることはできませんということを専門調査会のたたき台の中で述べてあります。
○山田委員 今まで、牛には食べさせていない、豚とか鶏、そして鶏のふんをえさに食べさせているから、その残渣で交差感染、汚染のおそれがあるということは言われてきましたが、今私が言っているのは、そういった、十六万トンも使われていて、特に牛の血粉なんですが、そういったものが七割も牛のえさに直接使われてきている。そして、単にラベルに反すう動物に使ってはいけない、そのラベルを私も現地に行って見てきましたが、アニマル、それの云々と書いているだけですから、そういったものを使っていけないということになっているが、実態としては、ほとんど酪農業界では、反すう動物からできたえさを使っている実態があるというように、どうもこの報告では見えるんですが、そういった資料まで集めて、資料が手に入っているかどうか、そして検討しているかどうか。きょうちょっと質問がいっぱいありますので、端的に、集まっているなら集まっている、その点だけで結構です。
○吉川参考人 お答えします。
血粉に関しては使われているというふうに認識しております。ただ、BSEの生体内分布は独特のものがありまして、そのほとんどは中枢神経系を含む脳と脊髄に、ヒトのバリアントCJDと異なって、血液中にはほとんど出てこないというのがわかっております。
それから、もう一つ。個々の事例について、どの程度の農家でどういうふうに実態として使われているかという細かいデータはいただいておりません。そういう意味では、法規制とその遵守という、アメリカが調べたコンプライアンスデータをもとに評価をするという格好でやっております。
○山田委員 大変大事なところなので、十分にそういったデータ、資料を集めて、もう一度その点、この牛の血粉の問題も含めてプリオン専門委員会では調査していただきたい、そう思います。
さらに、一つ農水大臣にお聞きしたいと思いますが、アメリカでは、牛由来の肉骨粉約十六万トンができているわけですが、それが、会計検査院の報告によると、アメリカの国内の流通に回されている飼料、そういったものには牛その他の反すう動物への給与禁止という表示はなされるように義務づけられているが、輸出用飼料には課されていない。いわゆる日本向けの配合飼料、輸出飼料には肉骨粉という表示がないと米国会計検査院の報告がなされているわけです。
大臣、聞いていただきたいと思うんですが、これは、私も、ここのGAOというんですが、行って部長に会って直接話を聞いてまいりました。そうすると、当然のことながら、日本に入ってくる肉骨粉の中に、SRM入りのそういった肉骨粉が配合飼料として入ってきている。先般、農水委員会で肥飼料検査所、大宮に行ってまいりました。そこで、そういった配合飼料の中の肉骨粉について検査をしているのか、していないのか、肉骨粉が入っているかどうか、それをお聞きしましたら、今その肥飼料検査所においては、やっていないと明確なお答えでございました。
これは大臣として、農水省責任ありませんか。
○岩永国務大臣 御承知のとおり、日本では肉骨粉の輸入は完全に禁止をいたしておりますので、入っていない、このように思っています。
○山田委員 大臣、私が言っているのは、日本にアメリカから入ってくる配合飼料は、アメリカの方は、肉骨粉入りという表示をしていないと言うわけです。そして、このことは去年の九月、吉川座長も御承知のとおり、食品安全委員会でも指摘しているんです。本来なら、当然それについて検討して、早速そういった配合飼料に肉骨粉がないか検査させなきゃいけない。それを怠ってきている。まあ、これ以上いいです。大臣、その事実関係はよく調べていないようですから、よく調べて善処していただければ結構ですから。では、もう次の質問に移りますから。
○岩永国務大臣 先生の御指摘は十分踏まえて対応しよう、このように思っております。
○山田委員 それはわかっていたことですから、ぜひ早く対応してください。大臣、直接の指示を、早急な指示をお願いいたします。
それから、問題は代用乳。
BSE感染で、肉骨粉が原因だとも言われていますが、日本で発生した二十頭のうち一九九六年生まれが十二頭ありますので。これは全農系の高崎工場、ここにおけるミルフードAスーパー、代用乳ですね。私も牛の肥育をやっていたことがあるので、子牛のぬれ子にこの代用乳を、溶かしてですね、自分で飲ませておりましたからよく知っているんですが。
この代用乳について、日本の場合には、オランダの油脂とアメリカの豚の血粉、血漿製品、これが入っていたと言われていますが、私、先般アメリカに行ってUSDAでいろいろ話しているときに、この血漿製品といいますか、血漿たんぱく、これについて、豚由来のものか牛由来のものかレンダリング工場ではっきり分けられていない、そういう事実をお聞きして大変気になったんですが。そうすると、高崎工場の豚の血粉と言われるものが牛由来のものであったかもしれない。また、表示もどうなっておったのか。どうもGAOの調査の飼料の表示問題からしても、大変難しいんじゃないかという気がしております。
そうなりますと、この代用乳。特に小さい子牛にこのBSE汚染は非常に高いわけですが。陽性率というんですか。この代用乳の組成。例えばアメリカでどういう代用乳を飲ませているか。仮に牛の血粉、あるいは牛の骨粉、そういったものを使っているとしたら大変なことだと思うんですが、それについて吉川座長にお聞きしたいと思います。
食品安全委員会は、アメリカ、カナダに対して、若齢乳用種に給与される飼料に肉骨粉が含まれる可能性についてという資料の取り寄せを求めたようです。その求めた中で、カナダとアメリカからの回答、私も見せていただきました。
それを見ると、カナダについてはきちんと書いておりますが、アメリカについては、この代用乳の組成が書いてない。吉川座長、こういった資料はどうしても必要とするんだと思うんですが、必要としないで、もう既に、二十四日、三十日で結論を出すおつもりでしょうか。それだけお聞きしたい。
○吉川参考人 おっしゃるように、代用乳というか実際には人工乳という、乳を搾ってしまうために、かわりに子牛に初期に与える乳があるわけですけれども、この人工乳の中にSRMを含むプリオンがあると、確かに感受性期ですから大事なわけで、そういう意味では、明確な組成、日本の場合にも、農水省の方から出していただいたわけですけれども、先回か先々回、一応、アメリカ、カナダそれぞれ、スターターを含めてどういう組成になっているかという一覧表は確かにいただきました。
我々の見解としては、それほどアメリカとカナダで、フィールドでの育て方に大きな違いがあるというふうには考えておりません。ほぼ共通しているというふうな認識で考えております。
○山田委員 というと、カナダの資料があるからアメリカの資料は必要ない、そういうことでしょうか。
○吉川参考人 済みません。いや、アメリカの資料が要らないと言っているわけじゃなくて、カナダの資料もアメリカの資料も必要です。
アメリカの資料に関しては、委員会限りという格好で、事務局の方から提供されております。
○山田委員 取り寄せるということですね。
○吉川参考人 いや、委員会限りという格好で提供されております。
○山田委員 委員会に出てきた資料には、私の方で調べさせてもらった限りでは、アメリカについて、いろいろな若齢牛の飼料についての成分は載っているけれども、代用乳については載っていない。そういった大事な資料がアメリカについては欠陥している、資料が提供されていない。
私も、アメリカのプルシナー教授、プリオンの専門家の、ノーベル賞をもらったプルシナー教授の研究室でセーファー教授にお会いして、ことしの八月でした、アメリカのBSEの汚染リスクの評価を教授はどう思われますかと言ったら、こう言われました。吉川座長も御指摘のとおり、セーファー教授はイギリスの食品安全委員会の委員もしておられますが、日本とかイギリスとか各国のデータは全部、生のデータとかいろいろなデータはそれぞれ入ってくるわけだ、ところが、アメリカの、自分のいる国のアメリカのデータだけは入っていないと。日本の食品安全委員会は、アメリカのデータがないから評価できないはずだし、私も、山田さんから聞かれても、アメリカの汚染度はどれくらいか、リスクはどれくらいかということは答えられません、そう答えられたのがこの八月です。
そして、依然として、食品安全委員会で審査するについてのアメリカの資料はほとんどないんじゃないのかという気がいたします。
吉川座長にお聞きしたいんですが、吉川座長の方でまとめられた、プリオン専門委員会でのたたき台という資料がございます。その中には、定性的評価と定量的評価について書かれているようですが、この中には、余りにも不明な点が多い、十分な資料がアメリカから得られない、したがって、日本においてはもう全頭検査してきちんとした資料がありますから、いわゆる感染率を〇・〇一とか〇・〇九とか定量的な数字で示したようですが、そうすると、不明な点が多く十分な資料が得られないとしたら、日本と同等のリスクについては、もちろんこの同等性の評価というのは定量じゃなきゃできないと思うんですが、もともと、資料がない、不明な点が多いということは、定量的にも定性的にも評価できないんじゃないですか、吉川座長。
○吉川参考人 おっしゃるように、不明な点がないわけではない。特に分析を始めたときは、アメリカのデータは余りにも乏しくて、委員の中でも意見が分かれるというか、かなり難しいところがあったんですけれども、その後、何回か専門調査会をやってくる中で、このデータが必要である、あるいはこうした部分がどうなっているのかということを、政府間で資料を出して、かなりの資料をいただきました。
それから、アメリカがアメリカの評価をするという、ハーバードのもありますし、それからEUがGBRでアメリカについてあるいはカナダについて客観的にデータを評価するという、そのときの資料もあります。そういう意味では、万全とは確かに言いがたいですけれども、最初予想していたよりは随分とそれなりにデータをもらえたというふうに思っております。
したがって、一頭一頭まで全部の細かいデータとして出せるかといえば、それを評価するのは非常に難しいですけれども、どのくらいの汚染のリスクが当時のアメリカにあったんだろうか、それに対してアメリカも国内措置をとったわけで、それがどのくらいのコンプライアンスというか、遵守度で行われたものであろうか、どういう問題が現実に残っているんだろうか、そういうものを全部含めた上で、最終的にどういう表現で同等性というものを出すか、今まだ委員の中で案を練っているところですけれども、全く評価できないというレベルではないというふうに私は感じております。
○山田委員 前回のプリオン調査会の後の吉川座長の記者会見だったと思いますが、朝日新聞に、年内輸入再開かと、その載った記事の中で、日本では年間二、三頭発生するけれども、アメリカでは年間三十二頭だろう、そういう書き方がされておりました。したがって、アメリカは日本の十倍の、というか三千五百万頭ぐらいやっているわけだから、日本とほぼ同じかそれ以下のリスクじゃないかという気持ちで語られたかもしれませんが。
どうやら、たたき台の中の十七ページ、これを読ませていただきました。確かに、米国では三十二頭となる、そう書いております。ところが、私は統計学とかこういうことは苦手なんですが、この十七ページをよく読んでみますと、アメリカについては検査なしですから、日本の成牛九十万頭のうち二頭出たんだ、廃棄牛のうち十一万頭で三頭出たんだ、それをもとにして、アメリカでは、死亡牛がこれだけ、そして生体牛がこれだけいるから、日本のいわゆる陽性率というんですか、それを外挿して、当てはめて三十二頭と出したにすぎない。ただ、そう解していいかどうか、それだけで結構です、はいかいいえだけで言ってください。まだ質問いっぱいありますので。
○吉川参考人 はい。そこはそういうふうにしました。
ただ、一言だけ、同じようなことは、もっと大規模に、ヨーロッパのデータもあります、日本の二十頭についてのデータもあります。そのときに、そういう格好で高リスク牛と健康屠畜牛という比率をとったとき、母集団に直すと大体一対一、しかしそれは、屠畜場に来る健康牛は非常に多いですから、大体十倍から三十倍の間に入るというのが我々の今知っている状況です。そのときのデータとしては、日本のものを外挿に使いました。
○山田委員 そういうデータで、新聞でアメリカでは三十二頭と言うと、いろいろな資料を、食品安全委員会は科学的知見に基づいて、そして計算した上でこれを出したんだと一般国民はとってしまう、消費者もとってしまう。ところが、今言ったように、日本の検査の結果から推定しているだけだ。しかし、諸外国もアメリカのことをいろいろ気にしているわけだから、そういったものから推定すれば、十倍から三十倍ぐらいだと今言われましたが、それはどうしてそう言えるわけですか。何を根拠にそう言えるわけですか。吉川座長、科学的根拠を示してください。
○吉川参考人 二〇〇一年から、ヨーロッパがかなりの規模で、三十カ月あるいは二十四カ月以上の牛についてアクティブサーベイランスを始めたわけです。そこで数十万頭、最初の規模はそういうレベルから始まったわけですけれども、ヨーロッパ全体、共通のデータとして毎年公表しているわけですけれども、その中で、今言ったように、異常牛あるいはBSEを疑った牛、あるいは屠畜場で廃棄された牛、あるいは本当に食用に使われた牛といったようなカテゴリーに分けて、どのくらいの数に対してどのくらいのBSE陽性牛が出たか、それは日本の全頭検査と同じような格好でデータを出しております。その比率というのが大体、先ほど言ったような範囲に入ってくるということです。
日本の場合、たまたまそこは二頭、三頭と、あるいは二十頭の中の十一頭、九頭という比率になっていますけれども、大体その範囲に入るということで、このときは同じ年を比較するということでその数字を使ったので、それはヨーロッパの数字に直しても、日本の二十頭の全体に戻しても、それほど変わるものではないというふうに考えております。
○山田委員 ヨーロッパの陽性率をアメリカに当てはめる、これもまたばかな話で、アメリカのデータがないから、アメリカのリスクの同等性を調べようがないという、それで日本やヨーロッパの感染率で推しはかる、こんなばかなことはないわけで。
吉川座長、もう一つ大事なことは、ヨーロッパも日本も既に、二〇〇三年には当然に飼料規制をやって、もう一切、牛の肉骨粉は豚にも鶏にも魚にも、動物性飼料は牛には絶対与えちゃいけない、これをきちんと励行した上での陽性率なわけです、これは。
ところが、アメリカでは資料がわからない、不明な点が多いといいながら、いまだにSRMが飼料に使われ、牛の血粉が飼料に使われ、そして肉骨粉についても、牛には使ってはいけないという表示があるだけで、実際に、GAO、会計検査院の指摘もあるように、牛の肉骨粉がそのまま牛に使われたとしても、アメリカ農務省は警告すらしていないと。事実上、野放しになっている。これは前提が大きく違うわけです、日本とアメリカでは。それを同じように、今のアメリカ、ほとんど飼料規制もしていないようなアメリカについて、そういう適用をするというのは、科学者としてあるまじき行為である。どう思われますか。
○吉川参考人 先ほど述べたヨーロッパのデータ、今回使った日本のデータ、アメリカに外挿したデータ、おっしゃるとおり、日本は二〇〇一年から飼料の完全規制をしたわけです。その前はアメリカと同じように交差汚染が行われる規模で来てしまった。ヨーロッパも全く同じで、二〇〇〇年にとめるまでは同じような経過をとってきたわけです。
そこで、今見ている数字は、平均潜伏期六年、分析しているデータは、実は飼料規制前の状態をどこの国も読んでいるわけです。二〇〇一年の結果が出てくるのは実はこれからの牛で、そういう意味では、使っているデータというのは、基本的には、それぞれの国が交差汚染をとめる前のデータ。とめた後のデータは、実はまだどこの国もほとんど使えない。使えるのはスイスとイギリスだけです。そういう時間的なずれを考慮して分析をしなければならないというのがBSEの特徴で、我々が今知っているデータは、残念ながら、五年から六年前に行われていたデータを現在読んでいるということになります。
○山田委員 このたたき台にあるのは二〇〇三年のBSE検査データとなっているので、飼料規制はその前に、二〇〇一年からなっているわけだから、どうも潜伏期間を含めての話かもしれませんが。いずれにしても、日本は飼料規制をやった後のデータ。それをこれ以上話すつもりはありませんが。それくらいにアメリカについてのデータがない中で、無理な評価をするということは非常におかしいんじゃないかと思うのですが、その三十倍という根拠はどういうことなのか、一言で言えますか。十倍から三十倍のおそれがあると言いましたが。
○吉川参考人 十倍から三十倍の差があるというのは、ある年齢に達した、四歳とか五歳になった場合に、やはりBSEに汚染されている牛はどうしても異常牛とかあるいは神経症状牛の方に偏る。発症牛が入ってきますから当然そうなるわけで、したがって、健康な屠畜牛と異常牛の比率を求めたときに、どうしても異常牛の方にBSE牛がそういう比率で多いということになるということです。
ただ、先ほど混乱を起こさせて申しわけなかったと思うんですけれども、異常牛に対して正常牛というのは数十倍の量で殺されますから、基本的に見ると一対一に近い数になってしまう、それぞれのグループで見ると。それが、二頭と三頭になったり、十一頭と九頭になってくるという意味です。
○山田委員 要するに、いわゆるデータ不足なんだけれども、若い牛については、感知というのは限界があって、年とった牛については検査できるけれども、しかし、若い牛においても回腸部分に六カ月で出るわけですから、そのBSEの感染は同じなんで、そういった検査率が少ないから感染が少ないと、検査が難しいから感染が少ないと、そう言っているだけであることは間違いありませんか。ただそれだけ答えてください。
○吉川参考人 間違いありません。
○山田委員 そうすると、吉川座長、このたたき台なんですが、このたたき台の「結論」部分と「おわりに」と書いてある前のところに、リスクは高いけれども、若齢牛、若い牛に対しては、今まだ検査の技術がそこまで発達していないから、感染牛は感染牛だけれどもBSEだということが発見できない、リスクは高いけれども、若い牛で危険部位が除去されていれば、まあ何とか大丈夫なんじゃないかという書き方としかとれませんが、これは。
しかし、若い感染牛にしても、感染している事実は明らかで、ただ発見できないというだけで、これを、若い牛だと大丈夫だろう、リスクは高いと書いているんですよ、たたき台の一番最後の部分。リスクは日本よりもアメリカは高い、しかし若い牛だから大丈夫だろうという、こんなあいまいな書き方では、何度読んでもそうとしか思えないんですが、それでは科学的知見と言えるんですか、これは。
○吉川参考人 どの感染症にも潜伏期というのがあって、検出限界以下というステージがある。ただ、BSEの場合は、それが非常に長いということです。実際にリスクがあるのかないのかといえば、若い牛であっても感染をしているわけですから、リスクはあります。それは、日本の検出限界以下の若い牛についても同じことです。
ただ、本当に末期になって、強陽性という格好で検査で捕まる牛に対して、若齢牛がどのくらいの感染価を持っているのだろう、感染量を持っているのだろうか。これも正確にはかるのは確かに難しいんですけれども、ウエスタンブロットのようなもので半定量的な格好ではかれば、恐らく千分の一とか五百分の一というオーダーだろうというふうに考えております。それも、神経にはほとんどまだ検出できないレベルでしかたまっていないので、吸収される腸管のところをとれば、それ以上のところには広がっている可能性はほとんどないのではないかという意味で、若齢牛であれば、SRMを取れば、確かにその中にはある頻度で感染牛がいたとしても、それは日本の場合も同じですから、それほどのリスクは人に対する危害として考えなくていいのではないかというふうに解釈したわけです。
○山田委員 吉川座長、間違っているんじゃないかと思いますが。日本においては完全な飼料規制をやっている、SRMの除去もきちんとやっている。ところが、アメリカにおいてはそうじゃない。そうじゃない中で同じように比較するということは、これから将来のことについての、輸入の問題ですから、その前提を欠く。それを科学的判断だとかと言うのは非常におかしい、そう私は思うわけですけれども。
それはともあれ、一つ吉川座長に聞きたいのは、食品安全委員会の先生方にとって、今回いよいよ結論を出すときに来たという認識のようですが、その中で、SRMが完全に除去されていること、そして二十カ月齢以下の牛であること、それが大前提で、その上での結論になるのか。それとも、SRMの除去は非常にでたらめであるということ、月齢の判別もでたらめであるということを前提の上で判断するのか。どちらかを答えていただきたい。
○吉川参考人 それに関しては、専門調査会、最初のときから議論をしたわけですけれども、答えからいいますと、後者の方です。SRMが取られる、二十カ月が保証される、それが遵守されるという前提で評価をする。実際、A40の場合は九九%の信頼で一・九二%ずれるということがあって、それはそういう報告でしたので、それはリスクの計算の中に入れて評価をしてありますけれども、それ以外については、今おっしゃったとおりの前提で評価をしております。
○山田委員 完全にSRMが除去されているということ、そして二十カ月齢以下がきちんと遵守されているということ、それを前提で評価しているということでとらえてよろしいと、今うなずいていましたので、そうだということですが。
ところが、実際に、まずSRMの除去ですが、これはほとんどアメリカにおいてはきちんとしたSRMの除去はなされていない。既に御承知のとおり、アメリカの方で発表されておりますが、脊髄とか扁桃部分の除去は少なくとも五百件守られていなかった、そういう八月の報道があります。
そして、さらに、食肉検査官のペインターさん、全米食肉検査官合同評議会議長、米国農務省にあてた書簡ですと、ラインの後方にいるプラントの従業員と政府の職員は、多くの部位がSRMとして取り除かれなければならないことがわからず、これらの高リスク部位が食品供給に入っています。そして、プラントの従業員が、輸出条件に合わない製品をインスペクターが認識し、除去できる位置に置いて通過させたのを目撃しても、行動をとる権限もありません。
実際、私もデンバーのカーギル社を見てまいりました。その中でSRMが除去されているかどうか。牛の扁桃部分が、牛の舌が、タンがぶら下がっておりましたが、実際に扁桃部分を切っているところは見ることはできませんでした。そして、回腸部分についても、腸の中の回腸部分だけ取り除いているというところも私は見ることはできませんでした。これは、後でその部分だけ捨てるのか、あるいはその部分だけ切るのか、それはわかりません。私が見た限りでは、SRMの除去は不十分じゃないか、三十カ月齢の識別も、検査官がいるわけではなく、若い二十歳未満ぐらいの女の子が、一頭六秒ずつ流れてくるわけですから、口のところをしゃあしゃあと洗っているだけで、それで月齢識別をやっている、どうも別のラインに移しているような雰囲気は見えませんでした。
こんな中で本当にSRMの除去がなされているとは思えないし、また、食品安全委員会がいわゆる日本向けの製品についてはどうしているのかということについてアメリカに問い合わせたその報告が参っておりますが、その報告を私も読ませていただきました。そうすると、その報告書の中身では、事業所において日本向けのものとほかのところに向けるものとは仕分けられ、そして、それぞれの事業所でされるんだと、アメリカの回答は実に率直で、事業所に任せていますと、まさにそういう回答であります。
そういうことであれば、全くその前提を欠くわけですが、農水大臣、厚労副大臣、それでよろしいのかどうか。どちらかでも結構ですから、答えてください。
○岩永国務大臣 日本とアメリカとの約束の中でつくり上げたプログラムにのっとってきちっとやっておりますので、了解いただきたいと思います。
○山田委員 どうもプログラムで見ると、二十カ月齢の月齢の識別についてもそのようなことを言っているようですが、私が実際に見てきた範囲では、私も当時の山岡委員長も、そして二田筆頭理事も見てきて、三人が三人とも、これは現物を見てA40かA60か区別がつかないじゃないかと。案内してくれた工場長にあなたはわかるかと聞いたら、工場長も、私もわからないと言う。じゃ、これはだれがわかるのかと言うと、食肉検査官だったらわかるだろうと。
では、そのラインで、食肉検査官が確実にそれを識別するとしたら、実は、そのために倍以上の食肉検査官がこの工場に要るだろう、それは不可能である。実際、内臓そのものも非常に高い値段で、内臓でもうかっているんだから、内臓をそのほかのところに冷蔵保管して識別してやるということは不可能です。となると、実際に二十カ月齢でその遵守、いわゆるプログラムに沿った形というのは全く不可能なんです。こういったことがそのまま単なる日米の取り決め。
私が、この前神戸税関に行きましたら、輸出については、例えば産地証明とかいろいろなものは商工会議所に任せていて、輸出するそのものについてはほとんど国がきちんと関与することはありませんと。アメリカも、当然輸出物については本当に、率直に書いているように、工場に任せておりますよ。そこできちんとやってくれと政府は言っているだけなんです。
そんな中で、本当に日本に輸出をやるとしたら、当然のことながら、韓国がメキシコでやっているように、アメリカが日本でやっているように、工場を指定して、この工場のこういう背割りの仕方、こういうSRの取り方、こういう識別の仕方ならば二十カ月齢以下を日本に輸出してよろしい、そういう形をとらなければいけないんじゃないのか、そう思いますが、ちょっと時間がなくなったので、その回答は求めません。
それで一つ、吉川座長にお聞きしたい。吉川座長、この二十という数字が歩き始めたのは、あなたが、去年の九月六日、プリオン調査会でもって、記者会見の質問の中で、二十カ月齢以下のケースは困難であると考えられるという部分を、結論部分から削除するのか本文からも削除するのかと言ったら、本文からも結論部分からも削除すると言っている。ところが、その後出てきた取りまとめで、本文の中から削除されなかった。そしてこの二十カ月齢というのがそのままいった。これは、あなたは学者として座長として、なぜこういう不信義なことになってしまったのか。これはその後、食品安全委員会でも大変もめている。そしてまた、その後の食品安全委員会の中で、報告書の中で、さらにつけ加えられている。そういったものを、その後のBSE対策の行政にそれを活用する。
ちょっと正確な言葉を言いましょう。「今後の我が国のBSE対策を検討する上で十分考慮に入れるべき事実である。」と、二十という数字を消すと言いながら二十という数字を入れて、しかもそういう文言まで入れている。
この文言はあなたが書き上げたのか。なぜ、こういうことをしたのか。これがまさに、今アメリカから二十カ月齢どうかということにつながっている。これはあなたの重大な責任である。それをどう考えられるか。
○吉川参考人 国内の分析をしていく中で、全頭検査の成績を分析するところがありまして、それで日本がヨーロッパでほとんど見つけられなかった二十一カ月と二十三カ月の若齢の陽性牛を見つけたという、そういう科学的な成果が片っ方であったわけですけれども、もう片っ方で、日米のときにも問題になった検出、検査というのはやはりどこかで陰性、陽性が分かれてくるわけで、検出の限界というものが存在するわけです。それがどこにあるだろうかという議論を片っ方でしていくところがありまして、そのときに、少なくとも二十一、二十三カ月は日本はBSE牛というふうに診断をした、しかしそれ以下の牛については同じように調べているけれども一頭も出なかったという事実は事実として、三百五十万頭の結果と科学的に書いておくべきであるということで本文を終えたわけです。それをそのまま結論に書くかどうかということに関して最後の段階で異論があって、結論からはそこの二十カ月という明示はやめよう、本文の方については、その審議の記録として、事実として残そうというふうに考えたわけです。
○稲葉委員長 質問時間が経過しておりますので、まとめてください。
○山田委員 結論部分からそれを削除したのはわかるんですが、あなたは本文部分からも削除すると言いながら、しかもこれを大事な政策に云々するというのは、多分あなたが書き込んだのではなく、いわゆる事務局の方で書き込んだんじゃないかと私は思うんですが、その後大変問題になってきた。
公開のこの中間たたき台に、「おわりに」「結論」と。「結論」を書いて、そして「おわりに」を書く、これは両論併記ではない。ヨーロッパの食品安全委員会においても、データがそろわずに判別できないようなときに、もうこれは判別できない、いわゆる評価できない、アメリカと同等かそれ以下のリスクかどうかというのは、資料がそろわないし、定量的にも定性的にも、私が今いろいろ聞いた限りでは、本来ならば、科学者として良心があるならば、これは、判断できないになる、同等かどうかわからない、そういうことになると思うんです。
仮にそうでないとしても、両論併記は、決して「おわりに」という形の両論併記ではなく、きちんとした形での、そういう学者さんもいらっしゃるようですから、結論部分の中に、一、意見、二、意見といった形で、そうしないと、国民、消費者、これはまさに今回の食品安全委員会がどういう判断を下すか、その科学的知見の結果を待っているわけで、そして、総理も科学的知見を尊重すると言っているわけですから、その結果、将来アメリカの牛肉によってBSEが発生したら、あのエイズの安部さんではないが、吉川座長、皆さん方が責任を問われることになる。これを最後に申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
きょうは吉川座長、わざわざありがとうございました。
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