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記者の目:米国・カナダ産牛肉輸入再開=高木昭午(科学環境部)
米国・カナダ産牛肉の輸入を巡る、食品安全委員会の審議が大詰めを迎えている。
厚生労働、農林水産の両省は5月に「輸入する牛肉・内臓のリスク(危険性)と、日本産の牛肉・内臓のリスクとの同等性」について同委に諮問した。つまりは「日本並みに安全か」との質問だ。同委プリオン専門調査会(吉川泰弘座長)は今月初め、答申のための資料集めをほぼ終えた。「リスクは同等だ」との答申を出せば、両省は輸入再開を決める。
だがBSE(牛海綿状脳症)問題には分からないことが多い。リスクの同等性の判断は、科学的には無理で、政治判断の領域だ。科学者たちが集まる調査会に政治判断をさせ「日本並みの安全が科学的に保証された」と輸入を再開すれば、消費者をだますことになる。調査会は科学的議論に徹してほしい。政府は政治判断を科学者に押し付けず、自ら責任を取るべきだ。
調査会は5月から8回の審議で、米国の問題点を次々と指摘した=表。項目数でみると米国の1勝7敗だ。カナダも畜産事情が米国と似ており、状況に大差はないとされた。
それでも調査会は6日に「輸出プログラムが順守されれば」との条件つきで「(両国の牛肉の)BSEプリオンによる汚染の可能性は非常に低い」との評価をまとめた。
調査会が示した米国の輸出条件である「月齢20カ月以下の牛」では過去、英国の1頭を除いてBSE牛は発見されていない。異常プリオン入りの餌を食べた牛でも月齢が低いと脳内での蓄積が少なく、検査で検出されにくいとみられるが、さらに「脳などの特定危険部位を除去する」との条件が守られれば、肉が汚染される率は下がる。調査会はこうした考え方で「1勝7敗」でも、危険性は緩和されると判断した。
さて、この評価から「リスクは同等だ」と結論が出せるだろうか。
調査会の吉川座長は6日の会見で「何をもって同等というか難しい。行政側に聞いても明確な返事はない」と困った様子をみせた。金子清俊・座長代理は12日の衆院内閣委員会で「リスクを数字で示すのは難しく、多い、少ないという(あいまいな)表現を使わざるを得ない」と証言した。
同等性の判断基準はなく、比較に使える数字もない。「科学的、客観的には同等かどうか判断できない」が正直な答えだろう。主観的判断や多数決はできるが、科学的とは言えまい。
しかもこの判断は、輸出条件の順守が前提だ。委員の一人は「米国の特定危険部位除去の実情は不明だ」と条件違反を心配する。別の委員は「日本のBSE対策の実績と、計画でしかない米国の輸出条件を比べるのがおかしい。米国が実績を積んだ後で比較すべきだ」と訴える。
私は輸入再開にはあえて反対しない。安全性に不明な点が残ることを消費者に伝えた上で、牛肉を安く食べる楽しみや、外食産業の利益、日米関係などを重視する判断もあるだろう。当然、この判断は政府の責任で調査会の仕事ではない。
今のところ農水省も厚労省も「同等だとの答申が出なければ輸入再開といえない。どうすれば同等と言えるか安全委に聞く」と調査会頼みの姿勢だが。
BSE牛を食べて起きる「変異型ヤコブ病」は、輸血でも人から人に広がるおそれがある。厚労省もこれを懸念し、80年から96年に英国に滞在した人の献血を禁止している。日本で変異型ヤコブ病の患者が出れば、牛肉を食べない人にも感染するかもしれない。こうした危険性も含めて政府は再開の是非を判断すべきだ。
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◆プリオン専門調査会が指摘した米国の問題点◆
<1>過去にBSE発生国から日本の6〜7倍の頭数の牛を輸入した。<2>BSE牛の異常プリオンが餌として他の牛に与えられ、BSE牛が増え続けているおそれがある。日本のBSEは減っているとみられ、日米の差は今後、開きかねない。
<3>BSEの広がりの調査が甘く、調査結果が信頼できない。健康な牛は調査対象外だし、BSE検査の感度も日本に劣る。
<4>食肉処理前の牛の健康状態を、1頭あたり約10秒で確認しており、異常の見落としを否定できない。日本は約80秒かけている。
<5>日本のような全頭検査がない。
<6>輸出する牛の月齢を肉質で判断する際に、21カ月以上の牛が1〜2%混じるおそれがある。
<7>米国では脳などの「特定危険部位」の除去を確認する責任を食肉処理業者が負う。日本は都道府県の監視員が1頭ずつ確認する。
◆米国の利点◆
<1>食肉処理時に異常プリオンで肉を汚染しかねない行為「ピッシング」を法で禁じている。日本は8割の牛にピッシングをしている。
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http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/kishanome/news/20051019ddm004070065000c.html
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