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http://www.sankei.co.jp/news/050919/morning/19iti002.htm
インフルエンザウイルスを狙い撃ちして無力化させる「抗体酵素」を、県立広島大学生命環境学部(広島県庄原市)の宇田泰三教授(生物工学)のグループが十八日までに、人工的に作り出すことに成功した。世界初の成功例という。抗体酵素を使った治療薬の開発をはじめ、エアコンなどを使って空気中のインフルエンザウイルスを撃退することも期待できるという。成果は、十二月に米ホノルル市で開かれるパンパシフィック化学国際会議で発表される。
インフルエンザウイルスは、ウイルスの表面にある「HA(ヘマグルチニン)」というタンパク質によってヒト細胞に結合し、感染する。増殖には別のタンパク質「NA(ノイラミンダーゼ)」の働きも得て、一日で百万倍にも増える。
このHAはタンパク質の性質を決めるアミノ酸配列を自ら頻繁に変化させるため、毎年、新しいタイプのインフルエンザウイルスが生まれ、流行してきた。
宇田教授らは、多数の死者を出したスペイン風邪などのウイルスが、多様に変化するHAの中に変化しない特定のアミノ酸配列を持つことに着目。その配列を破壊すればウイルスそのものを無力化できると考えた。そこで、変化しないアミノ酸配列を持つ化学物質をマウスに注射。これに対してできた六種類の抗体を脾臓(ひぞう)から抽出したところ、このうち二種類の抗体がタンパク質を分解する酵素の働きも兼ね備えた「抗体酵素」であることを突き止めた。
実験では、五十万分の一グラムの抗体酵素を一ccのインフルエンザウイルスに混ぜたところ、十時間で数億個のウイルスのHAを無力化し、結合機能を失わせた。
今回作り出した抗体酵素は、過去に大流行したスペイン風邪とソ連A型(これらは同種)、アジア風邪の二種類のインフルエンザウイルスに有効である(無力化できる)ことが確認されている。さらに数種類のインフルエンザウイルスにも効果があるとみられている。
現在のインフルエンザ治療薬は、感染拡大は防げるものの感染そのものを防ぐことはできないため、感染とその拡大の双方に効く特効薬が切望されていた。宇田教授らはすべてのインフルエンザウイルスに効果のある抗体酵素の研究にも着手している。
宇田教授らは、平成十年にもエイズウイルスの抗体酵素を世界で初めて作り出している。宇田教授は「秋から始めるヒト細胞を使った感染実験でも同様の効果を確認できれば、インフルエンザの中で危険とされるタイプのうち、かなりのウイルス感染を防ぐことができる」としている。
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抗体酵素 病原菌などの特定タンパク質を見分けて結合する「抗体」と、特定タンパク質を分解する「酵素」の働きの双方を併せ持つ。従来、抗体と酵素は常に異なるタンパク質からできていて、独立して存在すると考えられていたが、その定説を覆し、抗体の構造中に酵素機能が存在することが突き止められた。これまでに、ぜんそくなど自己免疫疾患患者から天然の抗体酵素が発見されている。
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