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http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05091601.htm
05.9.16
英国環境食料農村問題省(DEFRA)が15日、生後30ヵ月齢以上の英国で生まれ・育てられた牛が人間の食料チェーンに入ることを禁止する1996年5月以来のルール(OTM rule=Over Thirty Month rule)をDEFRAが提案した高齢牛のBSE検査システムに置き換えるべきであるという食品規格庁(FSA)の勧告を受け入れると発表した(DEFRA News:http://www.defra.gov.uk/news/latest/2005/animal-0915.htm)。。
新たなシステムにおいては、すべての肉骨粉を追放する厳格な飼料規制が導入された1996年7月31日以後に生まれた英国の牛を人間の食料として利用するためにと殺し、販売することが許される。ただし、1996年8月1日以前に生まれた英国高齢牛は引き続き人間食料チェーンから排除され、これらの牛を人間消費用の肉を生産すると畜場に送ることを防止する新たな法的措置が設けられる。新たな検査システムは2005年11月にOTMルールに置き換わるが、輸出規制の変更の実施は2006年早期までないだろうされている。
ここに至る経緯は長い。OTMルールは、OTMの牛は公的監視の下で脱骨されねばならないという海綿状脳症委員会(SEAC)の勧告を受けて1996年に導入された。脱骨が実行不能と証明され、それに代わる手段として導入されたものだ。30ヵ月齢で区切った理由としては、SEACの勧告に先立つ2年間にBSEを発症した牛は3頭だけだったこと、スクレーピーの実験研究で中枢神経組織に感染性が検出されるのは潜伏期間の半ば以後であることが示され、これを牛に適用して30ヵ月が感染性現れる時期と判断されたこと、感染物質の牛への給餌の実験で最も早く症候が現れたのは32−33ヵ月であったことなどが上げられている。30ヵ月での区切りには、固体識別・トレーサビリティーが確立されていない状況のなか、外見(歯型の変化)で30ヵ月以上の牛が見分けられ、不正を防ぐのに好都合という便宜的理由もあったとされている。
しかし、FSAは2002年12月、30ヵ月で区切るのが最も適切だが、飼料規制の有効性が確認できるようになる2002年1月にはルールに従う必要のない牛の出生年を決定できるかもしれないとルール変更を示唆、ルールを緩める基準を特記してそれが満たされてきたかどうかのチェックを始めると報告した。そして2002年7月、SEAC委員長・ピーター・スミス教授を議長とし、外国の科学者も含むルール変更に伴うリスクの変化を研究し、中心的関係者グループに勧告するためのリスクアセスメント・グループを立ち上げた。2003年3月には、勧告に関する12週間の公式協議が始まった。
この協議の過程を経て、FSAボードは2003年7月、OTMルールを二段階でBSE検査に置き換えることが公衆衛生の観点から受け入れられると政府に意見を出した。それは、1996年8月以後に生まれた牛は、最も早くて2004年1月から、検査した後に食料チェーンに入ることが許され、2005年7月からはルールの完全な置き換えも可能になると言う(http://www.food.gov.uk/news/pressreleases/2003/jul/otmpress、英国:FSA評議会、BSE30ヵ月以上ルール廃止勧告に合意,03.7.16)。
しかし、この頃、飼料規制が強化された1996年8月以後に生まれた牛のBSEのケース(BARB)が続々と報告されるようになり、OTMルール変更への不安が高まった(英国:再燃するBSEの脅威―肉骨粉禁止後生まれの感染が急増,03.11.25)。変更には一層慎重なリスク評価が必要になった。しかし、2004年7月、FSAは、ルール変更は、消費者のリスクと現在のルールのコストに鑑みて正当化されると勧告した(http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2004/jul/boardupdatejuly2004)。
FSAボードは、過去に現れた新たな証拠を非常に慎重に検討した、新たな証拠が何を意味するのか、それらは検査への移行による追加リスクの以前の推計にどう影響するかに関する海綿状脳症委員会(SEAC)の勧告も受け取ったと言う。しかし、SEACが設定した悲観的仮定を考慮する新たな計算でも、OTMを検査に置き換える結果として今後50年にわたって追加される変異型クロイツフェルトヤコブ(vCJD)のケースは0から2.5の幅(中央値0.5)にとどまる。
FSAは、BSE検査の有効な実施の重要性に鑑み、独立グループが検査に関して必要なすべての取り決めが設けられたと認めるまで、政府はOTMルールを変更すべきでないと勧告した。BSEとvCJDの科学には、なお多くの不確実性がつきまとう。それにもかかわらず、FSAのリスク評価は、悲観的仮定に基づくものであり、SEACの裏書も得た。ルール変更の結果として追加されるvCJD死者がゼロならば、60年にわたり一人の死を防ぐ費用は24億ポンド(1ポンド=約200円)にもなり、追加死者が2.5としても、その費用は40億8000万ポンドになると言う。8月には、インペリアル・カレッジ・ロンドンのリスク評価が、FSAのリスク評価を裏打ちした。(http://www.food.gov.uk/multimedia/pdfs/otmriskassess.pdf)
かくして、2004年12月、政府は、OTMルール解除とその「堅固な」検査システムへの「管理された移行」の開始を発表した。同時に、FSAが検査システムが堅固であると認めるまでは、最終的変更はないとしていた。
2005年8月、FSAボードはOTMの牛を食料チェーンに入る前に検査する有効なシステムが成功裏に設計され、試験されたきたと認めた。そして、十分なと畜場の能力の確保、食肉衛生局による適切な監視、緊急と殺に関するルールの新たな指針の発行、高齢牛が食料チェーンに入るのを防止する立法の強化などが、ルール変更の前提条件とした。
今回の発表は、これらの条件がすべて整ったことを意味する。OTMの牛をと殺すると畜場はFSAが設定する厳格な基準を満たさねばならない。これらの基準には、二日間の試験や操業手続きに関する食肉衛生局との法的拘束力のある協定の実施などが含まれる。特定危険部位の除去は、引き続き食肉衛生局により厳格に執行される。BSE検査陰性のOTMの牛だけが人間消費用に販売される。
DEFRAのベケット国務相は、これは国内生産牛肉の供給をすぐにも増やすことができる朗報と言う。また、1996年以後に生まれた英国の牛ができるだえ早く輸出できるように欧州委員会に働きかけていると言う(http://www.defra.gov.uk/news/2005/050915a.htm)。AFPによると、食肉家畜委員会のケヴィン・ロバーツ会長は、これにより、来年は英国の生産の27%に相当する18万5000トンの英国牛肉が市場に戻って来る、これが英国牛肉産業にとってのグレートなニュースだと言う(Britain to lift ban on older cattle meat, introduce new BSE testing,AFP via Yahoo News,9.15)。
タイムズ紙によると、消費者団体・ Which?や全国消費者委員会はBSE検査を信頼しており、消費者の反発も予想されないという(http://www.timesonline.co.uk/newspaper/0,,174-1782537,00.html)。イギリス人は毎年58億ポンド相当の牛肉を食べている。
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