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米国産牛肉「輸入再開」これだけの疑問−BSE感染の危険
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投稿者 feel 日時 2005 年 9 月 01 日 21:40:51: /berAdga6DXu.
 

2005/09/06 週刊エコノミスト
米国産牛肉「輸入再開」これだけの疑問−BSE感染の危険
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/economist/

 米国産牛肉の輸入再開に向けて準備が着々と進む。だが、筆者は「米国産牛はBSE(牛海綿状脳症)感染の危険性が極めて高い」と警鐘を鳴らす。
山田 正彦(前衆院議員、弁護士)

 2004年8月、私は民主党の米国BSE(牛海綿状脳症)調査団団長として米国に出かけたが、驚いた。米国のBSE検査が実にずさんだったからだ。
 国際獣疫事務局(OIE)基準で実施が必要とされる起立不能のヘタリ牛検査が米国ではほとんど行われていない。4月にカナダの『エドモントン・ジャーナル』紙が報じたように、米農務省の元食肉検査官(獣医師)からずさんな検査が告発されている。
 衆院農林水産委員会の調査団メンバーとして今年6月に米農務省を訪問した際にも、折から2頭目のBSE感染牛が話題になった。同省はすでに32万頭の検査をしていると胸を張ったが、それでも年間3500万頭の米国産牛の1%に満たない。2頭目のBSE感染について当時はまだ英国での確認検査の結果を待っている段階だったが、検査方法も日本や英国などが採用しているウエスタンブロッド法を採用せず、顕微鏡で目で見る免疫組織反応法しか実施していなかった。
 「これでは検査にならない」と消費者団体も強く指摘し、農務省の監査官の請求によって初めてウエスタンブロッド法で検査し、2頭目の感染の疑いが明らかになったのである。当初から日本と同じような方法で検査すれば2頭どころではなく、少なくとも200頭以上のBSE感染牛が見つかっていたとみられる。
 私はさらに、「米国にはプリオンでノーベル賞をもらった世界的な学者が2人もいながら、BSE感染、ヤコブ病感染の判別機関に1人のプリオンの専門学者もいないではないか」としつこく指摘した。ジョン・クリフォード動植物検疫局次長はようやくヨルゲン・リックなる学者がいると答えた。しかし、プリオンの世界的な権威で英食品安全委員会委員のサーファー米カリフォルニア大サンフランシスコ校助教授によれば、リック氏は3年前からプリオンの研究を始めたに過ぎないという。
 また、米国の食肉解体加工業者(パッカー)で、脳、脊髄などの特定危険部位(SRM)が除去されているかどうかの検査も実にいい加減だ。米国食肉検査官合同会議長のペインター氏は米農務省に対し、SRM除去などの検査が事実上なされずに食肉に混入されていると主張。さらに米GAO(議会に属する会計検査院)は、米国の飼料規制がいかにいい加減であるか、まだ牛の飼料に肉骨粉が使われているのに警告すらしていない、と指摘している。私が米国で調べた際にも、「この飼料を牛に食べさせてはいけない」と表示されているだけで、東海岸ではまだ多くの乳牛に肉骨粉が使われているとの噂を耳にした。

米国で増え続けるヤコブ病死者

 米国ではBSEが原因とされるクロイツフェルト・ヤコブ病の死者は1人しかいないとされているが、実際には疑わしいケースが各地で集団発生している。これは、日本の厚生労働省疫学部のホームページでも確認できる。
 昨年、ニュージャージー州の人口1万1000人の小さな町で、一般に100万人に1人しか発生しないといわれるヤコブ病による死者が10人も集団発生した。競馬場のレストランで食べたハンバーガーが原因でBSEに感染したのではないかと疑われた。
 ヤコブ病には、BSEが原因とされる変異型、BSEに無関係で原因不明の孤発型、遺伝型、輸血・乾燥硬膜移植などで感染する医原型がある。
 私は、この集団発生を調べてきた計理士のジャネットさんにお会いしたが、「米厚生省疾病管理予防センター(CDC)は、孤発型か、変異型かという、脳細胞検査すらしてくれない」と嘆いていた。その後も『ワシントン・ポスト』紙などで4人のヤコブ病死者が出たと報道されている。
 孤発型と変異型のヤコブ病の境界について、日本の厚生労働省は「はっきりしている」と回答するが、前述のサーファー助教授は「クリアなものではなく、灰色の部分がある」と指摘している。
 日本でも先般、初めてBSEによるヤコブ病の死者が認定されたが、当初は孤発型とされていた。米国ではこの20年、孤発型ヤコブ病とされる死者が増え続けており、03年には142人とデータを取り始めた1997年(54人)の3倍近くに増えている。ロンドン大学のジョン・コリンズ博士は最近「孤発型ヤコブ病も何らかの形でBSEに関連がある」との学術論文を発表している。
 BSEの異常プリオンは0・1ミリグラムでも感染する恐ろしいもので、800度以上の高温で焼却しなければ消えない。特に幼児、子供が感染しやすく、しかも潜伏期間は10年とも20年とも言われている。
 さらに、米国産牛肉の危険性はBSEにとどまらない。欧州連合(EU)は98年から、米国では肉牛の生育を早めるため「成長ホルモン」を餌に混ぜているとして輸入を禁止している。成長ホルモンを餌に使った牛肉を食べると、男児の乳房が大きく膨らむなど幼児の成育に性的な異常が見られるとの理由からだ。EUは米国から世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)に訴えられ、十分な証明がなされていないとして敗訴したが、それでもEUは輸入禁止を継続している。米国から経済制裁や巨額の損害賠償を訴えられてもなお「食の安全は大切だ」として頑固に輸入禁止を続けており、最近、逆に米国を相手に経済制裁の解除を求めてパネルに訴えた。
 米国ではこの10年間にアルツハイマーによる死者が50倍に急増していることも、牛肉との関連を疑われている。ひところ騒がれた病原性大腸菌O157の真犯人についても、私は国政調査権で調査した結果、米国産の輸入牛肉であると考えている。

小泉=ブッシュの密約説

 米国産牛肉はこれほど危険性が疑われているのに、日本は着々と輸入再開に向けて準備を進めている。
 内閣府の食品安全委員会も、生後20カ月以下の牛は検査をしなくてもBSE感染の危険性は非常に少ないとの結論を出したが、「終わりに」を追加し、全頭検査を継続すべきだとしている。いずれにしても生後20カ月以下では異常プリオンを検出することが難しいというだけで、生後6カ月で回腸部分に異常プリオンが見つかることは確認されている。これで3年半続いた世界に誇る日本の全頭検査は終わった。
 すでに全頭検査の廃止を前提に米国との間では、輸入再開に向けて日米専門家会議が数回にわたって開かれ、「肉の色合いで生後20カ月か21カ月かの判別ができる」との結論が出されている。
 私はかつて、自分でも約300頭の肉牛を肥育し、肉店も牛丼屋も経験したが、米国ではアンガスやヘレフォードなど種類の違う肉牛がおり、しかも餌によって肉の色は違うので判別は難しいと考えている。
 今年6月の調査で訪問したデンバーにあるカーギル社のパッカーでは、背割りされて枝肉として吊るされた肉牛の背骨の骨化具合で見分けていたが、私には区別がつかなかった。工場長に「あなたは判別できるか」と聞いたら「私もわからない」という。「それでは誰がわかるのか」と聞けば「専門家ならわかる」という。
 農務省出向の食肉検査官しかわからないとしたら、人員を倍増させなければ追いつかないのではないだろうか。20カ月以下の月齢識別による輸入は現実的ではなく、やはり米国でも生産履歴によらなければおかしい。
 小泉内閣は、国民の食の安全のことなどお構いなしに、昨年の米大統領選前にブッシュ大統領との間で輸入再開の約束を内々にしたのではないかとの疑いが消えない。全米肉牛生産者団体(NCBA)は、かつての日本の「ノウキョウ」以上の強力な圧力団体とされる。共和党政権の長官とNCBAの役職とは「回転ドア」で、絶えず入れ替わっている。大統領選前に米農務省高官は「日本の権威ある筋の話からしても、数週間以内に日本への牛肉輸出は再開されるだろう」と述べている。
 しかし、米国からの牛肉輸入に関しては人の命の問題であり、輸入再開は慎重に過ぎるほど慎重であるべきだ。

メキシコ経由で既に流入の疑いも

 実は米国産牛肉の輸入ルートは米国からの直接輸入にとどまらない。メキシコとの自由貿易協定(FTA)交渉のころ、私はふと「米国からの牛肉がメキシコを迂回して日本に入ってきているのではないか」と不安になった。貿易統計を調べてみると、03年には0・2トンしかなかったメキシコからの牛肉輸入量が04年には1773トン、05年は6月までに既に2671トンと急増している。しかも危険部位である内臓、小腸、大腸が大量に輸入されている。
 ショックだった。このところ、屠場では内臓、牛のもつが不足し、業者間では取り合いとなっている。焼肉店では「ホルモン」は牛が一切れか二切れで、後は豚で賄われていると聞いていた。メキシコがきちんとBSE検査をしているとは思えない。
 米国とメキシコとの間は生きた牛が年間80万頭も行き来し、米国にBSEが発生してからも生後30カ月以上のSRMを除去した牛肉交易が行われている。
 最近、GAOが発表した報告書は「米国のBSEの飼料規制はずさんで、なかでもメキシコ向けの輸出牛にハイリスクのSRMが含まれている」と指摘している。韓国では昨年7月、米国産牛肉が交じっていたとしてメキシコからの牛肉輸入を禁止した。EUでは、カナダ、米国、メキシコもBSEリスク評価は日本の評価と同じレベル3とされていて、当然輸入されていない。米国から危険な内臓までもメキシコ経由で日本に輸出されている疑いが強い。
 私は国会で食品安全委員会の寺田雅昭委員長に質問した。
山田「メキシコがBSE検査をどのようにしているのか不明だが、日本はリスク評価しているのか」
寺田「これからです」
 中国からもこの1年、牛肉調製品の輸入が急増している。メキシコ、中国などからの牛肉の輸入に関してもリスク評価を早くしなければならないと私は大変心配している。

年内輸入再開へ

致死率が極めて高い変異型ヤコブ病の原因とされるBSEの感染牛が2003年12月末、米国で初めて見つかり、その直後から、米国産牛肉の輸入は全面停止されている。米国は輸入再開を強く求めているが、米国で7月に新たに感染牛が見つかり、ずさんな検査体制が改めて表面化。再開時期は早くて10月下旬、遅ければ年末近くにまでずれ込むとの見方も出ている。
 輸入再開の是非は、内閣府の独立機関「食品安全委員会」の下部組織で、BSE問題の専門家でつくるプリオン専門調査会が審議中。日米政府は昨年10月、生後20カ月以下の牛限定――特定危険部位(SRM)の完全除去――などの輸入条件で合意したが、これが妥当かどうかを科学的見地から判断する。


 専門調査会の審議次第

 仮に同調査会が「輸入条件は妥当」との結論を出した場合、(1)食品安全委が審議結果を公表、(2)期間4週間で国民から意見を募る、(3)問題がなければBSE安全対策を担当する厚生労働省と農林水産省に答申、(4)両省が輸入再開を関係機関に通達する――の段取りとなる。輸入再開は調査会の審議次第ということになる。
 両省が食品安全委に判断を諮問したのは今年5月下旬。政府関係者らは当初、早ければ9月中の答申と輸入再開を期待していた。しかし、米国の安全対策に関するデータ類が揃わず、審議はスタートからつまずいた。また、米国で2頭目のBSE牛が見つかった際、獣医が感染牛の検体(脳)を3カ月間放置していたことや、最近になってSRMの除去手続き違反が昨年1月以降1000件以上あったことも発覚した。
 今後の審議で焦点になりそうなのは、(1)主な感染原因である牛の肉骨粉が誤って牛に与えられる危険性への評価、(2)生後20カ月以下を肉の色や軟骨の硬さで判断する「肉質月齢判別法」の妥当性、(3)米政府が策定した「安全管理プログラム」の有効性――など米国の安全対策の信用性が問われるが、そのずさんさが相次いで露呈したことで、審議は慎重なものとなりそうだ。
 「食の安全安心」を大前提に掲げる政府は、輸入停止直後から一貫して米政府に「日本と同等の安全基準」に基づく輸入再開を要求。当初は「(昨年)夏までの再開」を目指し、米国にも全頭検査を要求したが、米政府は「非科学的な手法」と拒否した。次に政府は、米食肉業界による自主的な全頭検査に期待したが、これも米政府が拒否した。
 その後、食品安全委は国内BSE検査基準の見直しに着手し、昨年9月には「若い牛は検査しても感染が確認できない」として生後20カ月以下の牛を全頭検査から除外する方向性を固めた。これを受けて政府は、同10月に米政府と「生後20カ月以下の牛限定」などの輸入条件に合意し、直後に輸入再開の前提条件となる国内基準緩和の是非を食品安全委に諮問した。ところが、畜産農業を支持基盤としている与党が「拙速な基準緩和」に反発し、市民団体なども猛反発。このため、同調査会の審議は予想以上に長期化し、基準緩和を認める答申は今年5月にずれ込んだ。
 米国はこの間「米国産牛肉は安全」との主張を崩さず、経済制裁を示唆して対日圧力を強めている。ただ、日本では、食品安全委を軸とした食品安全行政が確立しており、輸入再開は政府の独断では決められない。
(望月靖祥・毎日新聞経済部)

輸入再開のための全頭検査廃止は誤り
山内 一也(東京大学名誉教授、内閣府食品安全委員会プリオン専門調査会委員)

BSE感染による変異型ヤコブ病は確実に死をもたらす悲惨な病気である。しかし、牛、人いずれでも発病のメカニズムはほとんど分かっていないため、世界保健機関(WHO)は感染牛を食卓にまわさないことを安全対策の原則としている。日本では全頭検査と特定危険部位(SRM)の除去という二重の対策で守られてきた。
 全頭検査は、病原体がもっとも早く蓄積する延髄の組織を検査する方法で、検出感度は高く、日本のBSE例はすべて発病前の牛であった。陽性になった牛は焼却され、いかなる部分も食用にまわらない。これはWHOの原則に従った対応である。しかし、感染間もない牛では延髄の中の病原体の量が検出限界以下のために陰性になってしまう。このような牛がもたらすリスクは、病原体が多く蓄積されるSRMを除去することで軽減されている。
 「すべての感染牛を検出できない検査は意味がなく、安全対策は完全なSRM除去で十分」と主張する人たちもいる。これは微生物学を正しく理解していないか、BSEリスクを過小評価する意見である。どのようなウイルスでも感染初期には検出できない時期がある。より早期に診断するために検査法の感度を高めるよう主張するべきである。また、「完全なSRM除去」は現実には不可能である。背骨の中の神経節はSRMであるが、日本では2004年までは除去されていなかった。一方、今後もSRM以外でも病原体が蓄積している組織が見つかるはずである。最近、日本では後肢の末梢神経でも病原体が見つかった。屠畜解体の際にSRMを確実に取りきれないケースも起こりうる。
 日本では01年9月にBSE発生が確認され、10月から全頭検査が開始された。もしも欧州と同様生後30カ月以上の牛のみを検査対象としていれば、トレーサビリティー(生産履歴の追跡)システムがなかった当時では、年齢確認の面で混乱が起きたであろう。前述のように、SRM除去の対策も当初は不十分であった。気絶させた牛の脊髄をワイヤで破壊する「ピッシング」と呼ばれる処理方法は、食肉に脳脊髄組織を混入させる恐れがあるため欧州では禁止されているが、日本では禁止されていない。これらの問題を全頭検査が解決してくれたのである。
 今回、この全頭検査が緩和されて生後20カ月以下の牛の検査をやめることになった。これは米国からの牛肉輸入再開のための措置であることは明白である。米国も全頭検査によって日本と同様に年齢確認やSRM除去の不徹底の問題が解決できることを認識すべきである。

 科学者の顔が見えない米農務省

 日本では我々科学者がBSEのリスク評価を行っている。検査結果の判定もBSE専門家会議により行われ、成績はすべて公表されている。一方、米農務省からは科学的データは示されず、発表も行政官が安全を強調するだけで、科学者の顔は見えてこない。日米BSE作業部会で痛感したのは、我々と議論できる専門家がいなかった点である。
 『ニューヨーク・タイムズ』紙(8月13日付)は社説で、生産者を擁護する立場の農務省から独立した食品安全局の設立を主張している。同感である。

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