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米国のズサンなBSE検査サンプリング計画 怪しい牛はますます牧場や農場で埋め立てへ(農業情報研究所)
http://www.asyura2.com/0505/gm11/msg/230.html
投稿者 シジミ 日時 2005 年 7 月 09 日 05:40:59: eWn45SEFYZ1R.
 

http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05070401.htm

05.6.30

 米国産牛初のBSEが確認されたが、確認検査で陰性と判定されて長い間放置された後、農務省(USDA)内部監査局(OIG)の別の検査方法(ウエスタン・ブロット)による再検査の要請を受けて漸く陽性と確定されたことから、米国のBSE検査方法への批判が集中している。これでは、拡充検査計画によっても、米国のBSE汚染度は分からないという声が高い。適正な検査が行われれば発見されるかもしれない牛が陰性として見逃されてきた可能性が否定できないから、確かにそのとおりだ。USDAは、今後、迅速スクリーニング検査の結果が確定しないケースが出た場合には、免疫組織化学検査(IHC)とウエスターン・ブロットの両方による確認検査を行い、どちらかの検査で陽性が確認された場合にはBSE陽性と見なすように改善するという。しかし、それで汚染度が正確に測れるようになるとは考えられない。拡大検査計画の最大の問題はそれ以前のところ、検査の対象とする牛の収集方法にあるからだ。

 拡大検査計画の発表にあたり、USDAは、1)歩行ができないか横臥位から立ち上がることのできない牛、短時間は歩くことや立ち上がることがきるが、極度に衰弱した牛、すなわちダウナーカウ(へたり牛)、2)中枢神経組織異常の兆候を示す牛、3)瀕死の状態に陥って処分され、または安楽死させられ、または死亡した牛や怪我・歩行障害で衰弱した牛を含むBSEを疑われる兆候を示す牛、4)死亡牛などの年間44万6千頭になると推定される「高リスク牛」を標的に、できるだけ多数の検査を行うとしていた。目標頭数を明示しなかったのは、こういう牛がどれほどいるかも正確につかんでいなかったこともあるが、計画的な収集ができないことを承知していたからである。

 米国は、標的集団の牛の報告を奨励する獣医・農業者・と殺関係者などに対する啓蒙計画やBSEと合致する症候を示す牛の義務的通報と調査の制度を持っている。しかし、これがほとんど機能しておらず、むしろBSE隠しが横行しているという多くの証言がある。これは決して公的には認められたことがないが、検査計画自体が、検査サンプルは「(食用禁止とされたがなおダウナーカウが出てくる可能性のある)屠畜場、農場、レンダリング施設、獣医診断試験所、ペットフード用に動物を屠殺する屠殺場などの飼料用屠殺場、多数の狂犬病検査を行う保健所、獣医診療所、認可獣医が使用する可能性のあるその他の場所、家畜取引所など、あらゆる場所から集める」としていたことがそれを裏付ける。農家や獣医、と蓄場関係者が進んでこれらの牛を差し出すことはないと見たからこそ、このような収集計画となったのであろう(米国、BSE検査拡大へ、サンプル確保の保証はなし,04.3.18)。

 昨年7月のOIG監査はこの点を追及、「検査が法的に義務づけられ、当局の権限に基づいて標的とする牛すべてがサンプリングの対象として収集されないかぎり、サンプリングに恣意あるいは作為が働かないとは保証できない。ましてBSEの場合には、破滅的結果への恐れから、進んで検査を申し出る生産者や関係業者は少ないだろう」、「現在の計画では、APHIS(動植物保健検査局)が収集する牛は、地理的観点からして、米国牛集団を統計的に適切に代表するものとはならない。計画は任意で、高リスク牛の集団は識別・収集・検査が難しいから、サーベイランス計画は明快にされ、BSE発生率に関する結論も限定される必要がある。・・・APHISは高リスク牛集団を容易に識別・収集・検査できない。従って、BSE発見の機会は減少する恐れがあるし、BSE発生率の予測される最大限は信頼できないだろう」と批判していた。

 これに対し、ディヘイブン獣医主任は、6月1日から30日の間に農場、屠畜場、レンダリング工場、保健所や州獣医診療所、廃品回収所・家畜一時保管所などから1万1000のサンプルが収集された、収集されたサンプルの数に関しても、これらサンプルが収集された場所及び牛の種類に関しても、満足すべきもの、場所や種類に偏りはないと答えた。その70%は死亡牛からのもので、大部分はレンダリング工場、廃品回収所から収集されたということであった。だが、収集場所については未だに情報開示がない。収集されたサンプルの20%はと畜場、30%はレンダリング工場、40%は廃品回収所で収集したもので、死亡牛の大部分は農場外から集められたものだから、地理的偏りはないだろうと言う。だが、死亡牛の大部分が農場外から集められたということは農家が非協力で計画的収集が不可能であることを物語る。たまたま健康に異常はないと通常のと殺に出された牛の異常が発見されて検査対象に選ばれた、さもなくばこういうと殺場で受け入れを拒否されてペットフード用レンダリング施設に送られてきた(第2例目がまさにこれである)、あるいは農家が裏庭に打ち捨て、巡回回収業者により廃品回収所に集められた、そんな牛を漁って検査しているのだろう。おそらくそんなところだ。

 ここに出てこない多くの農場死亡牛は、生産者が自ら農場内に埋めてしまい、決して検査されることはないだろう。それでは適正なサンプリングは不可能だ。OIGが言うように、この検査計画は、サンプリングに作為が働くから、その結果に基づく発生率の推定も信頼できないのだ。

 検査の進行とともに、農家は高リスク牛をレンダリング工場に送るのもためらい始め、ますます埋め立てが増えているようだ。6月29日、コネチカット選出の上院議員・ローザ・デラウドがBSE対策で保健省とUSDAに一層の協力を求める書簡を送ったが、それは、「私は最近、高リスク牛の多くがと殺にもレンダリングにも出されれなくなっいると私に告げるレンダリング産業の職業人からの話を聞いた。彼らは、将来牛が草を食む牧草地がプリオンに汚染され、病気が発生するのを防ぐために、農場埋め立てを直ちに規制するよう要請している。不幸にして、APHISがサーベイランス計画に含めると主張する高リスク牛が、実際には国中の牧場や農場で処分されている証拠が山積みになっている」と述べる(DeLauro Calls on Agencies to Coordinate “Mad Cow” Readiness-Letters to HHS, USDA Outline Specific Actions to Increase Oversight –;http://www.house.gov/delauro/press/2005/June/BSE_letters_06_29_05.html)。

 念のために、APHISが週ごとに発表する検査数を見ると、検査開始後第32週(05年1月3-9日)から第44週(3月28-4月3日)まで、1万を上回っていた総検査数が週を減るごとに9000から8000、7000と減少、第56週(05年6月20-26日)には6304にまで減っている(http://www.aphis.usda.gov/lpa/issues/bse_testing/test_results.html)。USDAは、現在の問題あるサーベイランス計画さえ維持できなくなるだろう。多数のBSEの存在を疑われても、反論の術を失うときが近づいている。サーベイランスは意図するかどうかにかかわらず縮小に向かう一方で、米国におけるBSE拡散のリスクは、飼料規制の抜け穴や実施の不徹底のみならず、牧草地汚染によっても高まるだろう。

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