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http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05053101.htm
05.5.31
OIEの総会で、骨なし肉をBSEステータスと無関係に貿易できるとするBSEに関する新貿易基準が採択された。ただし、これにはいくつかの条件がつく。農水省やマスコミは、その条件の一つに「BSE感染牛又は感染の疑いのある牛由来でないこと」が入ったから、わが国の主張が通ったと言っている。
しかし、先日も述べたように（OIE／BSE新基準に合意の報 骨なし肉の未知のリスクは黙殺http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05052702.htm,05.5.27）、この文言はどうにも腑に落ちない。全頭検査をしたとしても、現在のBSE検査ではすべての感染牛を発見できるわけではない。感染牛のすべてを排除する方法がないのだから、このような「牛由来でないこと」を保証する方法がない。それにもかかわらずこの文言が入ったとしたら、基準は厳密さを欠く欠陥基準というほかない。そんなものをOIEが認めるだろうか。
そこで、OIE記者発表の英文でこれらの条件を確かめると、やはり農水省やマスコミが言う文言は不正確であることが分かった（ProMED情報：http://www.forth.go.jp/hpro/bin/hb2141.cgi?key=20050529-0020）。これが最終条文そのものであるかどうかは分からないが、この点については次のように書かれている。
”Cattle must have been subjected to an ante and post mortem inspection and cannot include suspect or positive BSE cases”
つまり、骨なし肉が由来する「牛は生前及び死後の検視を受けたものでなけばならない、またBSEを疑われるか、BSE陽性のケースを含んではいけない」ということだ。
これでも、このようなケースをどう見分けるは問題だが、BSEを疑われるケースは、ある程度までは生前・死後検視で見分けられるだろう。BSE陽性のケースはBSE検査で陽性反応が出た牛ということだろうか？それとも、検視でBSE感染が確かとされるものなのだろうか。これは不明だが、それでもある程度までは見分けられよう。見分けは全く不可能とは言えないから、必ずしも「欠陥基準」とは言えない。
これは「疑われる牛」や「感染牛」のすべての排除を保証するための規定ではないと考えれば、辻褄は合う。BSE検査は義務づけていないから、すべての「陽性牛」の排除を意図したものでもないだろう。骨なし肉が由来する牛は「30ヵ月齢以下」でなければならないが、検査を行うとしても30ヵ月以上の牛だけで十分とする国際的大勢からすれば、現実に検査を行う国は、（20ヵ月齢以上の牛の検査を実施する）日本以外に存在しないだろう。
この文言が「疑われる牛」や「陽性牛」が絶対に入ってはならないということを意図したものでないことは、他のすべての条件が「・・・でなければならない（must）」としているのに、この条件に限っては「・・・してはいけない（can not）」という柔らかな言い方になっているところにも表れている。
先日も述べたとおり、「BSE感染牛又は感染の疑いのある牛由来でないこと」という条件がついたと言うのは農水省（及びマスコミ）の曲解であり、この曲解の上に「我が国の主張が受け入れられた」（島村農相談話：http://www.kanbou.maff.go.jp/kouhou/050527daijin.htm）と思い込んでいるとすれば、甘いどころか間違いだ。これを盾に米国に立ち向かうことなどできないだろう。
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