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原発:周辺の活断層 電力会社、想定される地震を過小評価
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060820k0000m040130000c.html
全国の原子力発電所周辺にある活断層のうち、規模が大きいため国の地震調査研究推進本部(推本)の調査対象になった17断層について、毎日新聞社が電力会社の調査結果と比較したところ、15断層で電力会社の方が想定される地震を小さく見積もっていたことが分かった。原発は電力会社の調査を基に、経済産業相が設置を許可して建設される。原発が想定外の地震に襲われる恐れのあることを示す結果で、原子力安全委員会が進める国の耐震指針の見直しにも影響を与えそうだ。
◇国の調査と比較
電力会社が推本の調査前に国へ提出した原発の設置許可申請書(耐震指針に基づく審査が始まった78年以降申請分)と、推本が05年3月にまとめた全国の主要98断層の評価結果を比較した。
17断層が7社9原発の周辺約50キロの範囲にあったが、電力会社の調査で推本と同規模以上の地震を想定していたのは2断層だけだった。
推本の調査でマグニチュード(M)8級の巨大地震が想定された長岡平野西縁断層帯、柳ケ瀬・関ケ原断層帯、中央構造線断層帯は、電力会社側の想定はエネルギーが約30分の1のM7程度にとどまっていた。
電力会社の調査は、国の耐震指針に基づいて業界団体「日本電気協会」が定めた基準で実施している。活断層研究者の間からはこの基準について「不十分な基準で過小評価につながる」との批判が出ている。一方、電力各社は「推本の調査結果に基づき検証したが、原発の耐震性に問題はなかった」と説明している。
原子力安全委は今年4月、耐震指針の見直し案を作成。近く、最終取りまとめをする方針だ。考慮する活断層の活動時期を、5万年前以降から「更新世後期(最大13万年前)以降」に広げたが、原発ごとに過去の地震や地質調査から想定される最大の地震を選び、それに耐える設計を求める点は従来と変わりない。
経産省原子力安全・保安院の佐藤均・審議官は「推本の目的は防災で、原発の調査とは観点が異なるが、一つの研究成果が示されたのは事実だ。耐震指針見直しを前に、電力各社は活断層の追加調査中で、結果を待ちたい」と話している。【鯨岡秀紀、中村牧生】
◇解説 活断層評価…電力業界、独自の基準
活断層が起こす地震の規模を巡り、国の地震調査研究推進本部(推本)の想定より、電力会社の想定の方が小さくなる傾向が明らかになった。電力会社の評価基準は業界団体「日本電気協会」が定めており、専門家からは「業界独自の基準が、活断層の過小評価につながった恐れがある」などの指摘も出ている。
国の耐震指針によると、活断層調査ではまず、空中写真から活断層の活動でできたとみられる地形を割り出す。活断層の可能性があればさらに詳しい調査をするため、空中写真をいかに判読するかが重要となる。具体的方法は同協会が基準を定めており、空中写真の判読については、直線的な地形のずれの読み取りが主体となっている。
これについて、広島工業大の中田高教授(地形学)は「原子力の世界だけが他の分野と違う方法で活断層を評価している」と批判する。活断層による地形のずれには、直線的でないものもあるためだ。中田教授は「我々活断層研究者は多様な地形の変化を読み取っており、直線的なずれにこだわっていると過小評価になる」と話す。
国の指針見直しに合わせ、同協会も基準の見直し作業を進めているが、鈴木康弘・名古屋大教授(地形学)は「現段階では、活断層を読み取る肝心な部分に改善が見られない」と批判する。
活断層は原発の耐震性にとって重要な要素であるにもかかわらず、国の指針の見直し審議には、一線の活断層研究者はほとんど加わっていない。協会の基準の検討会にいたっては、メンバーの大半が電力会社関係者だ。
電力会社の関係者の意向に従って指針や基準が作られたのではないか。国の指針見直しでは、こんな疑念をもたれない審議が求められる。【鯨岡秀紀、中村牧生】
毎日新聞 2006年8月20日 3時00分
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