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http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/nuclear/news/06042101.htm
06,4.21
ファイナンシャル・タイムズ紙によると、先進国が構成する国際エネルギー機関(IEA)が、ロシアとイランからの天然ガスの不安定な供給に依存することを恐れて原発推進を目指すという。IEAは、ガス代替エネルギー源を見出す緊急の必要性が強調される動きのなかで、その結果がほぼ確実に原発依存を高めることになるであろう研究を支持することで合意した。これは地球温暖化の原因となる二酸化炭素排出削減も狙っているという。
IEA backs N-power amid gas concerns,Financial Times,4.21,p.1.
世界の天然ガス埋蔵量の半分はロシアとイランにあるが、どちらの供給者も信頼できないと見られている。今週、中国や北米の市場の開拓で輸出先の多角化を目指すロシアのガス独占国営企業・ガスプロムは、EUがこの多角化を阻止するならば欧州へのガス供給を削減すると脅かした。イランのガス田の大部分は、イラン政府の核開発政策をめぐる西側諸国との争いのために、なお未利用の状態にある。
IEAに加盟する26の全加盟国が、それぞれの核政策に違いはあるものの、研究を支持している。オーストリア、ドイツ、アイルランドは核燃料利用への反対があるが、スペイン、イギリス、イタリア、スウェーデンでは新たな原発建設が検討されている。アナリストは、IEAの動きは、20年前のチェルノブイリ事故を受けてのモラトリアムと原発計画の停滞の時代の終わりを示唆すると語ったという。
いまやロシアと中国は、大量の原発建設を計画している。
ロシアからの天然ガス供給の途絶を恐れ、二酸化炭素排出削減の至上命令を口実に、多くのヨーロッパ諸国が廃炉計画の見直しや新たな原発建設を模索している。ドイツにも、メルケル政権の下で原発政策見直しの動きがある。
米国ブッシュ政府も、石油価格高騰のなかで、スリーマイル島事故以来の新規建設凍結の解除に動いている。さらに、今年3月、途上国が核燃料物質を調達できるようにするグローバル核エネルギーパートナーシップを立ち上げた。核拡散条約未加盟のインドとも、原子力技術を供与する協定に調印した。
こうした動きの背景には、中国が石油やガスの供給源を世界中(中東、中央アジア、アフリカ、南米)に求め始めたこともある。中国の大量買占めで多くの国のエネルギー安保が危機に陥るだろう。この恐れは、事故やトラブル隠しで国民の不信を買い、低迷してきた日本の原発熱も高めている。頓挫していた使用済み核燃料を再利用する”プルサーマル”を始動させ、世界でも類例のない民間企業による大規模核燃料再処理に乗り出した(最近、英国国営企業の米民間企業への売却が決まったが)。
スリーマイル、チェルノブイリがもたらした惨禍などすっかり忘れられたようだ。IEAの動きは、こうした原発復活の世界的流れを強力に後押しすることになるだろう。
しかし、多くの機関の核安全問題の科学顧問を務める物理学者であるヘルムート・ヒルシュ博士は、最近のDW-WORLD.DEとのインタビューで、チェルノブイリ型原子炉のみならず、その後改良されたすべての原子炉に危険がある、「現在操業しているあらゆるタイプの原子炉が大規模な放射能放出による破局的事故の脅威を呈する。その可能性は東欧の古い原子炉で特に高いが、技術的失敗や外部からの影響ー地震や洪水、人間の悪意のある行為ーが最も近代的な原子炉にさえ危険を生む」と語っている。
彼は、原発は脆く、放射能放出が起きれば深刻な問題を引き起こす恐れがある一方、核技術は軍事的には重要でも国際政治レベルでの平和の達成も必ずしも助けない、核エネルギーの段階的廃止が最善の行動指針だと言う。
"Every Type of Reactor Poses a Threat",DW-world,4.20
http://www.dw-world.de/dw/article/0,2144,1974231,00.html
大量の放射性廃棄物の適切な処理の見通しもどこの国でも確立していない。さらに原発促進が温暖化防止やエネルギー安全保障にどれほど寄与するかも不透明だ。英国の独立政府監視機関は、英国は二酸化炭素排出を2050年までに60%削減の目標を掲げているが、研究は「仮に英国の既存原発能力を2倍にしたとしても、二酸化炭素排出量を2035までに8%(2010年前にはゼロ)減らすにすぎないことを確認した」と報告している(英国政府独立委員会 気候変動への挑戦は原発新設を正当化しない,06.3.7)。
フランスのル・モンド紙によると、フランス緑の党の国民議会(下院)議員・イブ・コシェットは、「世界の石油生産の4分の1を現在の平均的能力の原子炉に置き換えるためには、さらに2000の原子炉建設が必要で、その費用は3兆€[約430兆円]にのぼる」と計算する。また、フランス原子力エネルギー委員会(CEA)によると、2020年の世界一次エネルギー生産の87%が化石燃料に依存する。核エネルギーは全体の4%を占めるにすぎない。これは現在より少し少ないだけだが、エネルギー需要は60%も増加するという。
Nucléaire civil : la relance générale,Le Monde,4.15
大規模建設計画をもつ中国でも、電力供給に占める原発の割合を現在の2%から2020年までに4%に高めるにすぎない(中国大手電力企業 原子炉10基の建設を計画,05.7.15)。ロシアは今後毎年2基を建設、現在の16-17%の電力生産に占める原発の割合を2030年までに25%に高めるというが(Russia Aims to Build Two Nuclear Reactors Annually — Atomic Agency,MosNew.coms,3.1)、消費エネルギーに占めるその割合は2006年:4%から2030年:6%に増えるにすぎないといわれる(上記・ル・モンド紙)。
エネルギー安保で原発が演じる役割はどれほどのものだろうか。
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