★阿修羅♪ > 原発 劣化ウラン フッ素3 > 377.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
空と海に放射能を放出する
六ヶ所村再処理工場が試運転を開始
日本は使用済み核燃料集積地になる
http://www.bund.org/editorial/20060415-1.htm
3月31日、日本原燃は青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場で、使用済み核燃料からプルトニウムなどを抽出するアクティブ試験を開始した。設備の稼動状況や、環境に出る放射能の確認をしながら17ヶ月かけて約430トンの使用済み核燃料を処理し、4トン前後のプルトニウムを抽出する。この試験運転を経て2007年8月に操業を始める計画だ。
だが再処理は放出される放射能汚染の問題や、40年間で19兆円という再処理コスト、取り出されるプルトニウムを消化するメドがたっていないなど、多くの課題を残している。
青森産の米は放射能が2倍に
再処理工場では、4月1日から使用済み核燃料を数センチに切断する「せん断」が始まった。「せん断」によって、高さ150メートルの排気筒から放射性物質の希ガス(クリプトンやヨウ素)が放出される。続いて行われる、ウラン、プルトニウム、核分裂生成物(死の灰)に分離する工程では、沖合い3キロの放出口から放射性廃液(トリチウムなど)が海中に排出される。
こうした放射能汚染の危険性に対し、地元や近隣自治体では、「(放射性物質の)放出量は計算上の目標値としてあるのみで、これが守られる保証はない」として、運転の即刻中止を求める声があがっている。青森県や日本原燃が主催した試運転の説明会でも、参加者から「健康への影響はないのか」と、大気や海洋に放出される放射性物質の影響を心配する声が多く出た。アクティブ試験が行われれば、青森県産の米は他県の米より2倍の放射能が出ると県は予測している。青森県産農水産品のイメージダウンはまぬがれないのだ。
同様に三陸沿岸の漁業者らも、放射性物質の拡散について風評被害の危惧を抱いている。岩手県議会は、昨年の9月定例議会で「三陸の海を放射能から守ることについて」との請願を全会一致で採択した。試運転前に青森県と日本原燃に対し、県民への説明を求めている。これに対し日本原燃は、3月24日に六ヶ所村の現地で視察・説明会を開催することを岩手県側に提案したものの、「説明を聞きたければ出向いて来いという不誠実な回答に驚いている」(熊坂義裕宮古市長)と岩手県側の反発をかっている。
すでに再処理事業を行っているフランスとイギリスでは、再処理による放射能が体に悪影響を与えていることが明らかになっている。子供たちを襲う白血病は、イギリスの再処理工場付近では通常の10倍、フランスでも6倍と高い発病率だ。六ヶ所村再処理工場が1年間稼動すると、長崎原発1000個分ものプルトニウムが生み出される。プルトニウムの毒性の半減期は2万4100年。環境や健康への影響が半永久的に続くことになってしまうのだ。
米国が再処理推進へ転換
日本の核燃料サイクルの根幹をなす再処理政策は、核の不拡散=核兵器の独占をめざす米国の思惑によって翻弄されてきた歴史をもつ。1977年、カーター民主党政権は、米国から技術や核燃料物質の提供を受けている国に対し、再処理や高速増殖炉などプルトニウム利用に関する技術開発を中止するように求めた。その背景には、74年にインドが研究炉の使用済み核燃料から抽出したプルトニウムを使って核爆発実験を行うという事態があった。そのときには米国自身も、核不拡散政策として使用済み核燃料の再処理を放棄し、直接地下に埋めて処分する方針をとった。
日本に対しても、プルトニウムを「使え」から「使うな」に変更された。カーター大統領の声明がでた77年には、茨城県東海村に高速増殖実験炉「常陽」と再処理試験工場が完成したばかりだったが、米政権はその稼動に待ったをかけたのだ。その後の日米交渉によって日本は、プルトニウムを単体で取り出さず、ウランを混合した状態で抽出する技術を開発することを条件に再処理が認められた。
以来、米政権は共和党、民主党を問わずカーター政権時の政策を踏襲してきた。ところがブッシュ政権になり、これまでストップしていた原子力発電所の増設を決定し、再処理技術開発についても再開すると宣言した。
これを受けて米議会は、2005年11月に、「使用済み燃料統合リサイクル計画」立地選定調査活動に5000万ドル(約60億円)、「先進的核燃料サイクル計画」に8000万ドル(約96億円)を拠出することを盛り込んだ、2006年会計年度エネルギー・水資源歳出法案を承認した。
日本は核燃料供給国になる
米国が再処理を再開する背景には、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の立地が難航、廃棄物の量をできるだけ減らす必要に迫られているという国内事情がある。同時に、原油高に象徴される世界のエネルギー情勢をにらむと、原子力利用の推進と核不拡散の枠組みを再構築せざるを得ないという背景がある。
そのことを象徴するのが、今年2月に米エネルギー省が発表した「世界原子力協力計画Global Nuclear Energy Partnership(GNEP)」という政策だ。その政策目標は、@米国と世界のエネルギー・セキュリティの向上、 A世界中のクリーンな開発と環境の改善の促進、B核拡散リスクの低減というものだ。計画では、化石燃料への依存を減らし、温暖化対策を進めるためには原子力を不可欠なものと位置付けている。
その上で、核不拡散対策として、世界の国々を核燃料供給国と原子力ユーザー国に二分し、再処理や燃料製造は限られた核燃料供給国でのみ行い、ユーザー国はこれを購入するという枠組みを示している。
この中で日本は、米国・カナダ・英・仏・ロシア・中国と並んで核燃料供給国として位置付けられている。これが実行に移されれば、台湾や韓国、インドなど原発を稼動させている国々から日本に使用済み核燃料が運び込まれ、それを再処理して海外に輸出することになる。
だが、六ヶ所村再処理工場が本格稼動したとしても、処理能力は最大で年間800トンである。国内の原発から出る使用済み核燃料は年間約1000トンだ。海外どころか国内分すら処理しきれないのである。このため青森県むつ市に、使用済み核燃料を一時的に中間貯蔵する「リサイクル燃料備蓄センター」が建設されている。この中間貯蔵施設は、使用済み核燃料の永久処分場になるのではないかという地元の懸念を考慮して、「50年以上は置かない」ことが条件になっている。だが、核燃料サイクルの先進国フランスでさえ、再処理しているのは使用済み核燃料の3分の2で、300年に及ぶ使用済み核燃料の保管すら検討されているのが現状だ。
米国のGNEPに従い日本に海外から使用済み核燃料が集まってくれば、青森県はフランスのように使用済み核燃料やプルトニウムの貯蔵場所、核のゴミ捨て場として固定化してしまう。青森県が満杯になれば、さらに別の自治体に同様の貯蔵施設がつくられるなど、日本国内に「核の拡散」がすすむことになりかねない。
「信用ならない。信用しろという方が無理なのではないか。原子力に関する問題は、今までもその場限りの返答で、はぐらかされてきた例が多い」(野坂庸子・いらない! 下北の会代表)という地元の反対の声は、核燃料再処理計画をとめていくことを求めている。
--------------------------------------------------------------------------------
http://www.bund.org/editorial/20060415-1.htm
▲このページのTOPへ HOME > 原発 劣化ウラン フッ素3掲示板