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http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20050903ddm004040015000c.html
◇「ばく大な無駄」指摘の声も
原発などで燃やした使用済み核燃料から、ウランとプルトニウムを取り出して再利用する「再処理事業」を、政府と電力業界が急速に進めようとしている。少なくとも30兆円近い費用がかかり、一時は政府内でも批判が強かった事業だ。政府は現在、「エネルギーの安全保障や資源の有効利用に役立つ」と訴えるが「ばく大な無駄だ」と指摘する専門家もいる。
政府の原子力委員会の新計画策定会議は7月にまとめた「原子力政策大綱案」で、再処理を基本路線に据えた。経済産業省も二つ目の使用済み核燃料再処理工場の建設の検討を始めた。
費用は膨大だ。電力業界は現在、青森県六ケ所村に再処理工場を建設中だが、この工場の操業費は今後40年間で約19兆円。第2再処理工場にも、10兆円程度かかる見通しだ。
日本は、再処理で得た核燃料を使う高速増殖炉の開発を、70年代から計画してきた。「原発に比べ燃料の利用効率が約60倍」との触れ込みだったが、この炉は事故が起きやすい。かわりに従来の軽水炉でプルトニウムを燃やすプルサーマル計画が浮上したが、再処理費用がかさみ、経済的に引き合わない。このため再処理をせず、使用済み核燃料をそのまま埋める「直接処分」を選ぶ国が増えている。
大綱案の策定会議は、こうした事情を踏まえ、「使用済み核燃料をすべて再処理」「一部だけ再処理」「すべて直接処分」「当面は中間貯蔵(再処理も処分もしないで置いておく)」という四つの政策を比較検討した。その結果、コストは高いが、エネルギーの安定供給面や環境適合性などで優れていることを理由に「再処理を基本的方針とする」と結論づけた。
ただ、六ケ所村で再処理しきれない使用済み核燃料について「当面は中間貯蔵する」との方針を示し、将来は再処理以外の道を選ぶ余地も残した。
経済産業省は、原子力委員会以上に再処理に積極的だ。同省は7月、総合資源エネルギー調査会の原子力部会を4年ぶりに開き、約40年後の稼働を目指して第2再処理工場を建設する計画を議題に据えた。5月には、原発を持つ各電力会社に対し、再処理などの費用を無税で積み立てることを認める法律が成立している。積み立て額は約12・6兆円。原資は結局、電気料金に転嫁されることになる。
柳瀬唯夫・同省原子力政策課長は「全量再処理の路線は将来も揺るがない。現在の再処理工場の操業終了に備え第2再処理工場が必要だ」と語る。
しかし同省内にも再処理路線反対の声がある。「19兆円の請求書〜止まらない核燃料サイクル」と題する文書が昨年春、複数の国会議員に配られた。匿名だが、作成者は同省職員だ。
文書は▽建設中の再処理工場の操業費は、19兆円どころか50兆円にもなりかねない▽高速増殖炉が実用化できないと、再処理しても資源の節約効果は低い▽再処理すると放射性廃棄物の体積が大きく増す−−などと指摘。政府は政策の誤りを認めないために再処理にこだわるが、費用はすべて、結局は国民の負担となると訴えた。
県内に原発10基を抱える福島県も批判的だ。県は佐藤栄佐久知事名で原子力委員会に文書を送り「投資を無駄にできないとの理由で再処理政策に固執すれば将来を見誤らないか」と指摘するとともに、再処理の安全性にも疑問を呈した。
それでも経産省は「第2再処理工場にも資金手当ての法律を検討したい」という。これに対し環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は「電力業界に第2再処理工場を引き受ける余裕はない。やるなら国営だろう。六ケ所だけでも無駄なのに、さらに税金をつぎ込むなどばかげている」と話している。
毎日新聞 2005年9月3日 東京朝刊
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