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(回答先: 熱核融合炉誘致断念 【東京新聞】 投稿者 愚民党 日時 2005 年 6 月 29 日 14:42:42)
熱核融合炉誘致断念の内側
国際宇宙ステーションの建設と並ぶビッグプロジェクトとされる国際熱核融合実験炉(ITER)。その建設地が二十八日、南フランスのカダラッシュと決まった。誘致を争った日本の候補地だった青森県六ケ所村。最先端技術の国際的研究が行われる村−。その「夢」がかなわなかった今、同村の関係者たちは何を思うのか。
「あの盛り上がりを見て、私どもの願いは十分に政府や国会議員のみなさんに届いたものと思っていましたが…」。六ケ所村ITER誘致推進室の三戸明室長は東京で十三日に開かれた日本経団連など主催の「ITER日本誘致実現総決起大会」を振り返り話す。
同県ITER誘致推進室の担当者も「残念のひと言に尽きます」と硬い口調で悔しさをにじませる。「今後のこと? 軽々には言われんね」と津軽弁で語気を強めた。
元村長の土田浩氏(73)は「私が口火を切っただけにね…」と口が重い。南仏カダラッシュとの誘致競争について「どっちかが、いつかは降りなきゃならないのに、(事業費という)賭け金が高くなりすぎた。賭け金をこれ以上積めなくて負けた」とたとえる。
土田氏は一九八九年に村長に初当選、ITER誘致の旗振り役となった。「世紀の大事業。非常に壮大な計画でね。村が研究施設で埋まるんじゃないかという夢があった」。その胸中は複雑なものがある。
「村議の多くは土建業。事業が来ればおまんまの食いっぱぐれがないということしか考えない。生活環境や教育環境などでは、国内の競争相手だった茨城県那珂町(現・那珂市)と比べても見劣りする。あまりにもでかいものを望みすぎたんでないか」
元青森県企画部長の成田正光氏(64)も「核融合という最先端の研究をやることで、青森のグレードを上げる。それがわれわれの考えだった」と言う。
青森県民は国策に協力して、その都度裏切られてきた。六〇年代には、砂鉄を利用した「むつ製鉄所」計画、砂糖の原料となるビート(テン菜)生産計画。七〇年代には国家プロジェクト「むつ小川原開発」が進み、臨海重化学工業、石油コンビナートの誘致が行われたが不調に終わった。新幹線は長い間、岩手県の盛岡止まりだった。
「本州のはじっこというハンディキャップは、東京の人にはなかなか分かってもらえない」。成田氏はこれをはね返すバネとしての先端的研究ITERに期待したが、ITER地域経済振興という点だけが、県庁や経済界の中で話題に。
「新幹線が来たら経済波及効果がいくらあるかというのと同じ土俵でITERの話が語られるようになった。地域振興なしでは地元住民の合意が取れないが、そればかりになったら意義が矮小(わいしょう)化する」。成田氏はそんな危ぐを抱き、県が主張する「一兆二千億円の経済波及効果」にも懐疑的だったという。
もちろん、「残念派」ばかりではない。青森公立大の松山圭子教授(科学技術論)は「ITERが来なくて良かったと思う。県は夢物語ばかりを並べ立ててバラ色の未来を語るが、ITERとは何かについて科学的な知識はほとんどない。これを機に雪を資源とする水力発電とか、八戸沖の天然ガス開発とか、青森はもっと内発的な経済発展を目指すべきだ」と話す。
「夢」破れた今、ITER本体施設断念の見返りとして日本につくられる関連施設が、国内のどこに建設されるかが焦点。それは総額九百二十億円(日本が半額負担)の巨大事業だ。
「(本体の)誘致に協力していただいた青森県にまず相談したい」と中山成彬文部科学相。三村申吾同県知事は「非常に力強い言葉をいただいた。いろいろな意味で期待できる」。
前出の三戸室長は「損して得取れの気持ちもある。今までの流れを考えていただければ。何とか、何とかですね…」と声を絞る。
強力なライバルは、核融合関連研究施設がすでにある茨城県那珂市だ。同県の橋本昌知事は「(関連施設の誘致については)しかるべき活動は当然行っていきたい」と意欲を見せる。ただ、那珂市の担当者は「うちは一度、ITER本体誘致で負けた立場。六ケ所村が何らかの見返りを求めるのは当然だと思うし、六ケ所を押しのけ、全部の関連施設を取ろうなんてつもりはない」と話す。
国内で唯一の使用済み核燃料再処理施設を抱える六ケ所村だけに、この迷惑施設の見返りとしてのITER関連施設誘致という考えも県関係者にあるという。だが、土田氏はこう言う。
「核燃に協力しているからなんて通らん。国は表向きは青森県には世話になってというが、案外、大して気に掛けとらんだろう」
誘致国は実験炉の建設費五千七百億円の半額を負担する。今の日本は、計画が浮上したバブル時代とは違う。特に政府の財政が。
「ITER本体の建設地がフランスに決まったのは妥当な結果だ。フランスと日本では、構え方も意気込みも根本的に違った」
こう話すのは大阪経済法科大の吉田康彦教授(国際関係論)。ITER計画が発表された当時、国際原子力機関(IAEA)の広報部に勤務していた。
「国連大学がいい例。日本は目新しいものに理念や戦略なく、すぐ飛びつく。ITERも同じ。それに対し、フランスは電力の75%を原発に依存する電力輸出国で、欧州の電力はすべて引き受けようという意気込みだ。ITERは国益そのものだ」
核融合は重水素とトリチウムの核反応で、水爆や中性子爆弾にはこのトリチウムが必要となる。トリチウムの半減期(放射性同位体が放射線を放射し崩壊して別の元素に変わる際、元の質量の半分が別の元素に変わる期間)は十年。長期保存はできない。
名城大学の槌田敦教授(物理学)は「フランスはITERがある限り、トリチウムを確保し続けられる。ドイツの兵器会社であるシーメンスとフランスの原子力企業フラマトムが合併したが、両国はITERを名目に“欧州の水爆”製造に動く」とみる。
予定地選定では、米国が日本を支持し、中国とロシアがフランスの支持に回った。イラク戦争をめぐる大国の不協和音をほぼそのまま投影した形だ。ITERには、六ケ所村の人々が抱いた「夢」を超えた国際政治も透かし見える。
槌田氏はまた、「英国の情報機関は九四年、日本の核兵器開発に関し、内閣に『あとは高純度プルトニウムを組み込むだけ』という報告書を出した。これが世界の常識。中国も神経質になっているはず」とも。
■中ロ、日本の核武装懸念?
もっとも、吉田氏は「日本に核武装の思惑はない。米国が絶対に認めない」とし「中国やロシアに日本が核武装しかねないとの懸念があるのは事実だが、核融合開発と核武装は別問題と考えるべきだ」と説く。
誘致合戦は結局、関連施設と二割の常駐研究員ポストの確保などで日本が妥協した。吉田氏は言う。
「勝ち負けがはっきりしすぎると、禍根が残る。その意味では、妥当な線だったのでは。最初に面子(めんつ)ありき。結果もそうだ」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050630/mng_____tokuho__000.shtml
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