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図1.浜岡近辺のトラフのM8以上の大地震(参考文献1、p45)
JANJAN
http://www.janjan.jp/living/0506/0506090143/1.php?PHPSESSID=62983a561eba7314e187ac87e62ab2b2
浜岡原発は自爆テロにさらされている? 2005/06/10
4月15日に「設計者からの諫言」を発表してから、早くも2カ月近くが経ちました。この間、「原発震災を防ぐ全国署名連絡会」や「原子力発電所運転差止請求」訴訟団の方々と何度かお会いでき、貴重な資料を頂きました。これらの優れた論文は数百名、数千名程度の学会等で発表されたもので、我々庶民の眼には触れないものです。これをインターネットで広く公表する必要性を強く感じ、まとめてみました。今回は、いつ起っても不思議の無い浜岡の原発震災について緊急レポートします。
◇ ◇
明日起きてもおかしくない東海大地震
図1に浜岡近辺のトラフを示す。フィリピン海プレートは年間数センチのスピードで西北に進行し、駿河トラフと南海トラフで陸側のユーラシアプレートの下に潜り込んで行き、陸側を圧縮するとともに下に引きずり込み、陸側のプレートは5〜6mぐらいは下がるが、それ以上になると変形の限界に達するので、海陸プレートの境界面で破壊が発生し、陸側のプレートは海側および上方に反発する。
このとき、溜まっていた歪エネルギーは一気に解放され地震の波となる。同時に海水も持ち上げられるので大津波となる。図1で1854年8月4日に安政東海・南海大地震が発生している(安政南海地震は安政東海地震の1日後、32時間後の発生が正しいと思われる)。
私の考えでは、南海・相模の両トラフでは約100年おきに大地震が発生しているが、駿河トラフではこの150年間大地震が起こっておらず近い将来の大地震の発生が予想される。しかも、発生が遅れれば遅れるほど歪エネルギーが溜まり大地震になると思われる。
東海大地震は直下型地震
図2は静岡県庁の地震対策研修資料から小村助教授(当時)が引用したものである。この図より浜岡はまさに駿河トラフのプレート境界(震源)の真ん中で真上に位置するのがわかる。
文献1(p96〜102)では、1976年8月に地震予知連絡会にオブザーバとして出席した石橋克彦氏(現神戸大学教授・当時東京大学助手)は、「古文書にある記述によって、安政東海地震(M8.4)の震源域が駿河湾奥にまで及んでいたと想定し、来るべき東海地震の場合にも、駿河湾が震源域になるであろう」と報告した(直下型でより危険になった)。
図1のように安政東海地震は、遠州灘のはるか沖合いで起きたとされていた「遠州灘地震説」を修正したものだ。同年11月29日地震予知連絡会は「前兆現象は見られないが、東海地震が発生する可能性は大きい」と発表し、石橋東海地震説を公式に認めた。
これにより、国は「大規模地震対策特別措置法」を制定し(1978年4月、想定震源域約6,000km2、対象人口約650万人)、2001年12月に東海地震を見直して(想定震源域1.5倍、対象人口約1240万人)震災対策を進めているが、経産省では原発はいかなる地震にも耐えられるという建前論から原発の震災対策はまだない。
1978年の特別措置法に基づいて図2が作成されたと思われる。静岡県では1993年に第2次被害想定を公表した(文献1:p178〜)。図2の駿河トラフを長さ130km、幅70km、傾き34°とした(プレート境界の面積が大きくなったので地震の規模は大きくなったと思われる)。プレートの上側(陸のユーラシアプレート)が水平のほぼ南北方向に1.3m、上方に3.8mずれ、静岡県のほぼ全域で震度6〜7になるとしている。
直下型地震の恐ろしさをHPで見よう!
文献3、北淡町のHPで「野島断層」をクリックすると、地震直後に現れた断層(縦ずれ断層、地割れ、横ずれ断層など)の写真が見られる。最後に「詳細はこちら」をクリックすると、説明が出る。
詳細な説明を要約すると、95.1.17AM5時46分明石海峡付近を震源とするM7.2、深さ17kmの阪神・淡路大地震が発生した。動いた活断層の総延長は後ほど45kmと判明した。地震後に、地表に現れた野島断層は10kmで、大部分は右横ずれ1〜2m、南東側隆起(逆断層)0.5〜1mだった。マグニチュードが小さい割には最大震度7を示し、直下型地震の怖さがわかる。
なお、神戸では、海岸線に平行な地下の断層が多く、横ずれ断層は地表に現れなかったが、やはり最大震度7を広い範囲で記録している。神戸市内の断層が地表に現れていたら、被害はもっと大きかったと思われる。内陸型の直下型地震だった阪神淡路大震災と違い、東海地震はプレート境界で発生する直下型地震であるので、さらに深刻な被害が出ると予想される。
浜岡1・2号炉は断層の真上に建てられた!
後ほど詳しく述べるが、小村論文(文献2:p454〜455)によると、浜岡1・2・3号炉のいずれにも段差15m以上の断層があるとそれぞれの申請書内で記述されている。特に1・2号炉では建屋内にあり、この断層を削って段差を無くし、平らにして原子炉を設置したと思われる。
石橋論文(文献4)では、東海地震は阪神大震災を1桁上回る広域大震災をもたらすと述べている。私は断層が地表面に現れれば、横ずれ1m、縦ずれ2m程度は十分あり得ると思う。
段差15m以上の断層があるということは、1回の地震で2mの縦ずれ断層が発生すると仮定すると、少なくとも過去の地震で7回以上動いたことになる。次の東海大地震でこれらの断層が動かない保証はない。
原子力の設計に係わったことのあるものとしては、万一にも原子炉圧力容器を支えているスカート(薄い管状のもの)の真下で、断層の横ずれ、縦ずれ、地割れが起きたら、スカートが破壊され、圧力容器を支えられなくなることを恐れる。万一このような事故があれば、原子炉圧力容器の転倒、破壊も考えられ、これに伴って、多数の配管の破断も引き起こされる過酷事故の発生が考えられる。
そんな事故は起きないと証明するほうが難しいと思われる。また、原子炉格納容器、建屋も断層部で破断し、放射能の外部漏れを止められない。原子炉圧力容器の真下でなくても建屋内で断層が動けば、原子炉格納容器、建屋が断層部で破断し、これに伴い、多数の配管の破断が引き起こされ、過酷事故に至れば、放射能の外部漏れを止められない。
このような状況を踏まえて、次節の石橋教授(文献4)の『「原発震災」が襲う』を読めば理解しやすいと思う。
浜岡の原発震災の恐怖
「原発震災」という言葉は、1977年に始めて石橋教授が使用したものだ。意味は、東海地震によって浜岡原発で大事故が起これば大量の放射性物質が環境に放出されて、通常震災と原発災害が重なった「原発震災」が生じる。この場合、近隣住民の放射能からの避難や原発の事故処理が地震被害のため困難をきわめ、震災地の救援や復旧が放射能のため不可能になる。その結果、莫大な命が見殺しにされ、震災地が放棄されるうえに、おびただしい数の急性および晩発性の死者と障害者を生じる。
図3の円A内はチェルノブイリ原発(100MW)の事故で旧ソ連が設定した長期避難領域で、円B内は現在の白ロシア共和国が設定したもの。浜岡で原発震災が発生すると、関東一円〜近畿地方まで膨大な人が長期避難しなければならない。100MW級の原発を1年間運転すると、広島型原爆の700〜1000個分の放射能が溜まるといわれている。
私が考えるには、これに比べれば北朝鮮の原爆などは問題でなく、原発推進側が無意識に仕掛けた自爆テロにより、唯一の被爆国である日本が、ほぼ壊滅状態になりかねない。
事故時に予想される長期避難領域(文献5)によると、浜岡2号炉(84MW)で原子炉圧力容器が蒸気爆発を起こし、大量の放射能が大気中に放出されると想定すると、東京方向が風下なら死者は176万人、名古屋方向なら95万人にのぼるとしている。晩発性の死者を考えたら、太平洋戦争での政府発表の戦死者350万人を軽く越えるのではないかと思うのは私だけだろうか。
自然の猛威に勝てる確たる見込みも無く原発を推進している官僚たちを見ていると、戦前に勝つ見込みもなく戦争に突入し日本を敗戦に至らしめた軍部と全く同じ道を辿っていると思うのは私だけだろうか。次の東海地震で、浜岡原発の真下で断層が絶対動かないことを証明できるか、動いても絶対に過酷事故が起きないことを証明できるまでは、浜岡原発はただちに運転を停止し、核燃料を浜岡以外の安全な場所に移すべきと考える。
さて、石橋教授(文献4)に戻ると、(1976年の石橋東海地震説の後に初めて)「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」が1978年に策定され、1981年に一部改定されたが、その後改正が無く、その前提が新しい地震学の知見に全然追いついていないことを力説されている(ここでは詳細は省略)。
M8級の東海地震の本震は図2のプレート境界で発生するが、この面でのズレ破壊は一様でなく、M7〜7.5の大地震が連発する「多重震源」になる可能性が高い。多重震源は原発に都合の悪い短周期の強振動を想定以上に激しくする。
第2にこのズレ破壊が陸側の複数の枝分かれ断層に抜けていくことである。これはまさに直下地震で、局地的にはプレート境界よりも激しい地震動や地盤の隆起をもたらす。前回の安政東海地震のように、枝分かれ断層だけが単独でM7〜7.5の大余震を起こすこともあり得る。
耐震設計審査指針では、最重要な施設はS2(およそ現実的でない限界的地震による基準地振動)に対して安全であるように設計することを要求している。しかし、原発は活断層の上に立地しないから、S2を策定する際、直下地震としてはM6.5を考慮すれば良いとしている。これは明らかに誤りである(私には、イラクの自衛隊がいる所は全て非戦闘地域であるというのに発想が似ているように思われる。この答弁も官僚の作文を読んだだけなのかも?)。
したがって、3、4号機の耐震設計は疑問である(その後造られた5号機も)。東海地震説と耐震設計審査指針が出る前に造られた1、2号機は、S2に相当するものが3号機の3/4しかなく、老朽化も進んでいるのでさらに耐震性が低い。
東海地震で浜岡は1m位隆起することが予測されるが、原発の敷地が一枚岩のように隆起するとは限らない(不等沈下と同じ効果をもたらすという意味と思われる)。原発にとって大地震が恐ろしいのは、重要施設の損傷もさることながら、いくつもの破損や障害が同時多発したり、多重の安全装置がすべて故障したりして、想定外の対処を迫られ、運転員が対処しきれずに一挙に大事故に発展する可能性が高いためである。
どの原発でも、制御棒や緊急炉心冷却装置ばかりでなく、多くの障害が複合して、核暴走や炉心溶融という過酷事故が生ずる恐れは強いと考えられる。それは、水蒸気爆発、水素爆発、核的爆発につながり、莫大な放射能が原発の外に放出される。
◇ ◇
今回は、原発震災の脅威について諸先輩の論文を紹介しました。次回は、小村論文を中心に浜岡原発1〜3号炉の申請書の疑問点を紹介し、原発震災が現実的な問題であることを申請書の地盤のデータから示したいと思います。
【参考文献】
1.力武常次(地震防災対策強化地域判定会前委員):『新版 日本の危険地帯―地震と津波』(96.5.25発行 新潮選書)
2.小村浩夫(当時静岡大学助教授):『東海地震と浜岡原発』(科学 1981.7)
3.北淡町HP:「〜あの日から・・・あしたへ〜 阪神・淡路大震災と北淡町」
http://www.town.hokudan.hyogo.jp/jisin/index.html
4.石橋克彦氏(神戸大学教授):『「原発震災」が襲う』(宇都宮軍縮研究所発行「軍縮問題資料」 1998.8)
5.「浜岡原発は大丈夫か?」(アエラ 2004.11.8)で京大原子炉実験所小出裕章助手の計算として紹介されている。
(林信夫)
◇
設計者からの諌言「浜岡原発は制御不能になる」
http://www.janjan.jp/area/0504/0504145797/1.php
ニュースなサイト「原発を考える リンク集」
http://www.janjan.jp/link/0505/0505100873/1.php
特集「原発を考える」
http://www.janjan.jp/special/genpatsu/list.php
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