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以下の論考は
http://www.asyura2.com/0505/dispute21/msg/844.html
を基礎としています。読み合わせていただければ幸いです。
米国は産業基盤としての河川交通システが破壊され、国内および世界経済へのインパクトが一定の範囲で長期化する可能性あること、ニューオリンズが元の姿に戻ることはきわめて難しいこと、そしてそのかわりそれは全く新しい、しかし大企業だけが喜ぶ性質をもつ土地に変貌させられる可能性があることを以下に論じます。
あらためてカトリーナの被災者の方々にお悔やみ申し上げます。私たちの命は一つにつながっております。
【堤防は、この機に乗じた大王陣営に爆破されたのか。そしてそれは強権体制への手続きか】
オーストラリアのテレビ放送局SBSの報道チームが被災1週間後、ニューオリンズに乗り込み、ボートで冠水被災地を取材した報告は母国とニュージーランドで放映されており、かなりの衝撃と義憤の反応だという。その番組を見たオーストラリア人がネットで報告しているが、非常に興味深い。米系メディアの報告と彼らオーストラリアメディアの報告はあまりにギャップがあるということだ.つまり、実際はもっとひどい状況らしい。要するに報道管制が敷かれているのではと訝っている。
http://www.rense.com/general67/spin.htm
この報道チームの目にした限りでは、依然多くの人々が水も食料もない状態で救助を待っている状態だという。冠水しているところで、一週間医療活動している現地の米国人医師に取材したが、この一週間に、医療チーム救援活動は一人として目にしていないのだそうだ。
また、確実にいえることとして、堤防の一つは、爆破されたものだ、と語った.誰が犯人かについては、口に出しては言わなかったものの、ボディランゲージで示し、これで分かってくれと示唆した。ニューオリンズにハリケーンが到達したとき、その強さのカテゴリーレベルは実は2だった(最高が5)。救援のボートが100隻ぐらいいるのかと思ったら、たった一しか見なかった。おそらく何千人のアメリカ人がボートで救援に来たのに、緊急事態管理庁から、追い出された。食料など救援物資も当局から突き返された。オーストラリア人が家を無償で現地に送りたいと申し出たところ、管理庁から断られたと別のラジオ番組で不満を語っているという。この報告から得た印象では、緊急事態管理庁自身が、救援を妨害ないし遅延させ、ホワイトハウスは、初期の調査を一貫して妨害しているようだと推認されるとのこと。
興味深いのは、堤防爆破された可能性があることと、水害の規模の大きさは、このことと関連がある可能性が報告された点だろう.これが真実なら、あまり衝撃的な意味をもつ。しかしこれは情報としては慎重に扱うべきだろう。もう少し多くの被災者の方から目撃証言を積み重ねなければならない。しかし、現地の医師が断言していることに一定の重さはある。
オーストラリアのこの報道チームの得ている印象は、なぜか当局の救援活動は消極的、また妨害的ですらあるとのことだが、確かにこれと、防波堤爆破の証言とは、諧調を保っている。911の時と非常によく似ているというわけだ。不気味なものを感じないわけには行かない.(日本の報道チームもの乗り来んで自力で取材して欲しい)
では、米国の論者はどう言っているか。レーガン政権時代の財務省の次官だったポール・ロバーツがアレックス・ジョーンズの番組で一昨日重要な発言をしている。
http://prisonplanet.com/Pages/Sept05/060905brainwashed.htm
州や市の自治体は権限を剥奪され連邦政府が現在一貫して指揮している,と(つまり戒厳令が施行されているということをいっているようだ)。緊急事態管理庁は意図的に救援活動を控え、かつ緊急コミュニケーションラインを切った、そうすることで混乱が増している印象を与え、もって強権行使の正当性・言い訳を獲得するためと見える、と主張。そしてどうも、この強権的な動きは、大統領その人とは無関係に、政権内部の警察レベルの奥底から来ているようだ、と。むしろ大統領自身は実際何が起きているかわかっていないのではないかという。(先刻私自身も彼は「人形」に過ぎないと指摘している)。
"It does look like there is a push coming from inside the bowels of the police authorities and it seems to be independent of whoever the President is or who or whatever party is in office.”
当局は、「意図的に」何もやっていないのではないか、その目的は混乱と無秩序状態を促進し、そうすることで、ほらすべてがメチャクチャなんだ、これじゃわれわれとしては、君たちの自由を制限し街に軍隊を配備するしかないじゃないか、そういう納得をさせようとしているのではないか、と。
”Furthermore they did nothing ON PURPOSE in order to provoke the resulting chaos and anarchy so they could say "look how out of control everything is - we have to have limits on freedom and troops on the streets."
軍隊は被災者に銃を突きつけており、敵軍捕虜のような扱いをしている、と。
the military was turning on the people, treating them as subjects,
どうも、この機会を最大限利用して、強権的警察国家に移行させようとしているのではないか.今、この動きを止めなければ、放置をすれば、その方向にどんどんと傾斜していくだけではないか、と懸念を表明している。
オーストラリア報道チームの観察と、符号する印象は拭えない。
【大王陣営はいかなる法的環境の準備を進めているか】
ニューオリンズは、アフリカ系住民が、アメリカを代表する音楽ブルースを生んだ街として、歴史的文化的に非常に意味があると一般には理解されている.しかし、今回のハリケーンで、この都市は、根こそぎ引き抜かれた.そして来るべき都市再建計画について、政権内では急速に手を打ちはじめていると推量される.私自身は将来このエリアは、歴史の根を持たない、完全に新規新興の都市ゾーン、異質の商工業都市へと姿を変える可能性が決定的に高くなったとみる。なぜそう考えるか説明しよう。それはその方向に舵を取るための法的環境が、目立たない形で着々と整備されているからだ。特に、以下の@Aに関しては米国でもそのあまりの重要さに比し、限りないほどにメディアでカバーされて報道されていないことに、かえって深刻なリアリティーを覚えざるを得ないのだ。
?ことし6月、実は米国の法的環境において、劇的かつ本質的に危険な兆候が出ている。とりわけ米国の憲法原理、ひいては西洋近代の憲法原理にとって、あまりに破壊的な現象が。
ある地域の自治体がある企業から、その地域の特定個人に所有された土地建物を取り壊して自分たちの好む建物を建てたいという再建計画の提出を受けたとしよう.そこで、自治体が、この計画を受け入れた方が、自治体に税金がより多く入ってくる、また雇用が増える、と判断した場合、その自治体(各市のレベルで出来る)は、その私的に所有された土地建物を幾ばくかの補償金支払いにより強制執行できる.こういう趣旨の最高裁判決がこの6月に出た(5対4で審決。Kelo氏 対City of New London (ニューロンドン市、コネチカット州)(ケース番号04-108) 。
http://www.capitolhillblue.com/artman/publish/article_6926.shtml
http://www.rense.com/general66/cities.htm
これまで、飛行場,鉄道,高速道路など公共の利益を増進する必要があれば、このような強制代執行があくまで「例外的に」できる、というのが、日本国憲法も含め、西洋近代憲法の考えかたになっており、米国憲法でも、私的所有所有権絶対の原理を基礎としながら、憲法修正条項にその修正規定が織り込まれている(第5条)。ところが、この米国最高裁は、これを根本的に否定する判決を出してきた。つまり修正第5条に見える「公共の利用(public use)」という概念に拡張解釈を与えた。
私的所有された土地や建物を取り壊し、代替施設を建ててその結果、その自治体の税金収益が増え、雇用が増える場合も、「公共の利用」を増進する、という解釈を与えたのだ。これにより、不動産開発を手がける企業(中小もあれば多国籍大企業もある)が、商業ビル,高級マンション、工場地区などのプランを自治体に提出した場合、自治体は、事実上、個人によって私的に所有される土地建物を強制執行で、剥奪し、プラン提出側に、その土地を明け渡さなければならなくなった。
これは、近代憲法が根源的原理とする、私的所有権の原理を否定してしまったことを意味する。政府が、極めて容易に、私的所有権を否定できることになってしまった。この判決により、アメリカ市民は、なけなしの頭金でローンを組み,家を所有した、そして30年かけてローンを払い終わり、やっとこれで、末代までの永世の住処になったと安心していた人々であっても、今後いついかなる時でも、その家を取られ追い出されるかもしれない、という不安の中で暮らさなければならなくなった。また、土地建物を購入するときに、これは、いつ強制執行され、当局に差し押さえ・没収されても仕方がない、という不信と不安をもちながらの判断をせざるを得なくなったことを意味する。
これが、カトリーナ後のニューオリンズ市などの再建計画に影響を与える可能性があることを、この段階で直感していただけると思う。
近代憲法の根源的原理、人権原理の中核、「私的所有権(城の法理含む)の絶対性」が否定されてしまった。このインパクトはあまりに甚大だ。「公共の使用」概念を新自由主義経済政策を推進する側が料理すると、巧みなレトリックにより「私的利用=企業の利用」という概念へと倒錯・置換してしまっているわけだ。本当は「強者の自由」、「弱者の不自由」、「弱肉強食」にすぎないものを「自由」主義と呼び、かつ、それに新しいという言葉をかぶせて、「新自由主義」と美称するそのレトリック・詐術には、ほとんど天才的で悪魔的な狡知狡猾さがあり、その才能がこの裁判でも十二分に見せつけられている。かなわない。「郵政民営化なければ構造改革なし」このレトリックをキツネ目にたてがみ振り乱して千回テレビで絶叫されれば、ナイーブ過ぎる主婦が若者がだまされる。大王の爪の垢を煎じて飲まされただろう。
もう一つ決定的なことを。
?実は、米国財務省が最近下した先月8月12日の声明だ。これは、今後非常に大きな意味を持つ。
http://www.rumormillnews.com/cgi-bin/forum.cgi?read=77129
米国において、非常事態が発生した場合、つまり、戒厳令ないし非常事態宣言が大統領において発令された場合、金銀など貴金属、及び、その他のいかなる経済的価値物について、連邦政府は、所有者から強制的に没収できる、という法的判断を打ち出したことだ。2つの古い法律を持ち出して来て、それを根拠にこの判断を打ち出した。金(ゴールド)利害団体(GATA)からの問い合わせに対し、6ヶ月と言う時間をかけての文書による回答であるため、連邦政府各部局の法律家と十分検討しすりあわせた法律判断であることが推測される。
文書回答の核心部分
The government's authority to interfere with the ownership of gold, silver, and mining shares arises, Thornton wrote, from the Trading With the Enemy Act, which became law in 1917 during World War I and applies during declared wars, and from 1977's International Emergency Economic Powers Act, which can be applied without declared wars.
つまり、声明の根拠として第一次世界大戦中の1917年にできた、the Trading With the Enemy Actという法律、1977年にできたInternational Emergency Economic Powers Actと言う法律を持ち出してきた。本来、ともに時限立法だが、ぜ大統領の非常事態関連の宣言で、この時限立法を、議会にあらためて許可を得なくてかまわないという最高裁判例が出ており(この判決は問題が多いと批判されている)、これらに基づいての法解釈を財務省が宣明したわけだ。後述する通り、共和党系が多数を占めることになる最高裁判事構成では当然同じ判断となる。
これにより、早い話、政府当局が非常事態を起こすことで、その名において金銀などふくめ市民の財産を勝手に奪取することができることになる。これでは、当局が、非常事態が招来されること(ないし招来すること)への誘惑が起きることになる。それ以上に、所有権が弱体化させられたことに重篤な意味がある。
?と?により、近代憲法の基礎原理、私的所有権の絶対性が著しい限界付けを受けたことになる。
?先の7月1日,最高裁の中道派オコーナー判事(女性,)が、自主引退したため、その補填が必要となり、ブッシュ政権はジョン・ロバーツ(判事)を最高裁判事に指名し、秋の議会の承認を受ける準備に入っていた.彼はハーバード大学、及びその法科大学院卒で判事経験自体が非常に少ない、弱冠50歳。共和党の番犬的な政治経歴を持つ判事で、人権を攻撃し、マイノリティー、女性、貧困層、そして災害被害者に一貫して、厳しい判決と政治傾向をしめしてきた共和党の筋金入り番犬である。
http://www.truthout.org/docs_2005/090605Y.shtml
しかし、追い打ちをかけるようにリーンクイスト最高裁長官がこの9月3日癌で亡くなった(80歳)。71年ニクソン政権で最高裁入りし86年レーガン政権で長官指名。つまり最高裁判事を34年間、そのうち19年近く長官を勤めた。9人から構成される最高裁判事のうち過去20年間で、2人が空席になる初めての事態となった。ブッシュ政権は、この空席二人を指名し、秋の議会で承認をもらわなければならない。しかし、議会は、共和党が多数.つまり、ブッシュ大統領の指名がほとんど自動的に、判事を決定してしまうことになる。
2席が空くまえは、保守4,リベラル4,中道1だった。
それが、共和党系つまり、保守が多数派になることになった。判決結果はこれで、5対4で多くの場合に共和党に同調したものになる。
しかも、絶望的なのは、ブッシュ政権がオコーナー判事(唯一の女性)の代わりとして上記のロバートソン裁判官を、最高裁長官指名へと切り替えた(9月5日).これで、最高裁長官の歴史の中で最も若い(50歳)人間が長官に就任することがほぼ確実になった(議会公聴会の査定は弱冠厳しいが)。そして、日本と違い米国最高裁判事には定年がない、終身の身分だ。個人的事情での退任以外、基本的に身分は剥奪されない。最高裁長官代理に臨時就任した最高裁判事が現在最高齢で85歳(リベラル系なので、ブッシュ政権は次の選挙前にこの人が逝ってくれたら幸いと、これも共和党系で入れ替えて、6対3にしたいと考えているだろう)。
米国医学界は、21世紀米国での寿命は150まで伸びるというのが基本的スタンスだ.この新長官が、三浦敬三氏(101歳),日野原重明氏(94歳),中川牧三氏(102歳、指揮者)並に、50年後には100歳バリバリ現役で、そのあと30年は持つなどという状況すら考えられる。50年後科学は相当進歩しており、100歳の人をあと50年持たせることなど容易に出来ている可能性がある。新長官が80代の半ばから90歳ぐらいまで、つまり、2040年ぐらいまで任官を続ける可能性が十分あるのだ。悪くすればDNA調整技術で2080年まで行かないとも限らない。確実にいえることは、米国最高裁が今後20年ぐらいは、共和党よりの判決を出すことはほぼ確定的だということだ。これだけでも十分悪夢といえる。
?と?の法的環境が?により、20年以上固定されることになったこと.つまり、人権の原理の決定的な軸である所有権絶対の原則が、計り知れない打撃を受けている。この点が決定に重要だ。
米国の戦時・非常体制強化を含め、強権国家化・独裁化が着々と進められていること、その意味で外堀が着々と埋められていっていることをしっかり意識することが必要だ。非常事態・セキュリティー強化・新自由主義経済政策(市場原理主義・競争原理・規制緩和・民営化、小さな政府論)の推進の結果として、私的所有権及びそれを中核とする人権が次々と制限され異常なほどに危殆に瀕している現状にわれわれは危機感を持って臨む必要がある。これらの法的環境は、米国支配層下の小姓である小泉ら(自民公明)が、今後日本に持ち込むことは疑いがない。
来る日本の総選挙は、この大王陣営の波に同調することになるかを決めるものなのだ。自由も人権も返上したい人、財産を削られ奪われ、奴隷になりたい人は、小泉に投票すればいい。小姓小泉は言葉の真の意味で親分と同様、血も涙もなく、文字通り悪魔的だ。テレビは悪魔群をも輝けるスターにしてしまう大王の装置である。刺客などは権力の糞を喜んで食べて肥える雌豚と雄豚でしかない。
【ニューオリンズから住民を除去。大王陣営のドリームランドが新生するか】
さて、上記@ABというファクター・法的環境が、カトリーナ後のニューオリンズの運命にいかなる影響を与えるか考察しよう。
結論から言うと、この地は2R大王の「ドリームランド」になる可能性が圧倒的に高くなった。
その前に、カトリーナが米国に与えた経済的なインパクトを分析する。
A.ニューオリンズ港=米国の心臓部
これは、以下の記事を基礎としよう。
http://www.stratfor.com/news/archive/050903-geopolitics_katrina.php
ニューオリンズ港は、米国と世界にとって、あまりに大きな意味を持つ港である。
どういう意味か。
この港こそ、米国物流システムの基幹中の基幹・センターだということだ。つまりそれは、世界の物資集配の基幹・ハブなのだ。米国最大の港湾システム(世界で4番目に大きい)。上記の元財務省次官である、ロバーツはニューポート港は米国の石油と天然ガス25%が通過する、最大で最も戦略的に重要な港なのだ、と以下のようにいっている。まったくそのとおりなのだ。
”it has caused the US it's largest and most strategic international Port through which 25% of all our oil and gas comes... look at the price of gasoline, this is a tremendous impact... ”
この港のホームページに行く。
http://www.portno.com/
一年間に6000隻の外洋船が行き交い、70万人の人々がクルーズをここから楽しむ。鉄、コーヒー、ゴム、銅,木材、コンテナ貨物が海外から水揚げされる(スチールなど日本、ブラジル、ロシア、メキシコなどから来る)。米国産の穀物の75%がここから輸出される(秋の収穫シーズンがに入るが、これが難しい状況)。鉄道、50の船会社、16の飛行機貨物会社、75のトラック運送会社がこの港に結集している。この港を支える労働人口は、11万人近く。
http://www.portno.com/facts.htm
物資の一番安い運送方法は、なんといっても河川を利用したものだ。ニューオリンズ港(サウスルイジアナ港含む)には、米国を各方面に分枝して縦走する巨大なミシシッピ川が流れ込んでいる.ここが理解の最大ポイントだ。この河が、実は米国運輸体系の基幹になっている。ミシシッピ川のお陰で米国の商業と農業が発展して来た歴史は極めて重い。米国発展の最大の理由の一つが、実はミシシッピ川の存在で今もそれは変わっていないということ。この港で海外から水揚げしたものを船で北上して運び、途中さまざまなところで降ろしてはそこから、トラック,航空機に積みかえ各地の最終目的地に向かう。また、全米各域から、この河のどこかのところまで、陸空輸送して、そこから船に乗せて、楽に川下りしながらニューオリンズ港まで運び、そこから、主に外洋船に積みかえて海外輸出する。米国内の閉じた自己完結した運輸システムの基幹というより、米国各域と世界各国を結ぶグローバルサプライチェーン(食料、鉄など工業基幹素材)の、超巨大センター・ハブだということなのだ。物価を構成する運送費は、この河を利用することで最低限に抑えられている.いってみれば、今の国内と世界の各種の物価は、安い運送費を可能にしたミシシッピ川利用を前提として決められている。
(*網野善彦などの研究で明らかになったが、実は日本は縄文時代から徹底して、河川交通システムを使い、日本列島、エトロフなど全域を縦横無尽にカバーし、文物や情報を運んでいた、河川交通体系の大国だ.陸地内の河川と海を結び(北米大陸にも到着している)、極めて高度な運輸交通体系を持っていた。日本の発展のためにも、やはり、河川交通が決定的だった。)
地球の物流の根源的センターが、ニューオリンズ港ということ.ポイントはここだ。
ここがダメになれば、米国内の物資の流通が滞るだけではない、世界各国への物資の流れが滞ることを意味する。港が機能できないことによる米国経済と世界経済に与える影響は計り知れない。トヨタホンダなどの自動車生産の基礎となる鉄鋼などの調達が困難になることは間違いない。ジャストインタイム方式で在庫をもたないトヨタなど、今真っ青になっているはずだ。
他国が戦争で米国を破壊したいと思った場合、最も効果的な場所はニューヨークでも、ワシントンでもましてやサンフランシスコではない、ニューオリンズ港だ、ということなのだ.これがつづけば商工業全体が麻痺する。ここに今回の問題の深刻さの理解おいて決定的に重要なポイントがある。米国の心臓部がやられたということなのだ。そして、この場所が失われたから、では、別のところで代替しましょうとは行かない、他の港や交通の要衝では代替性がないというほどに、この水運システムはライフラインになっている。グローバル・サプライチェーンの基幹の基幹としてニューオリンズ港に変われるところはいわば世界にどこにもないということ。世界の産業を支える心臓部の一つともいえるわけだ。
米国はこの心臓の機能を取り戻すことができるのか。
B.都市としてのニューオリンズは全体としてもとに戻るだろうか。仮に元に戻るとしてどのくらい時間がかかるのか。そしてニューオリンズ港の自体の回復は一体どうなるのか。
まず、45万人から50万人の人口のほとんどがこのエリアからいなくなった。現在自宅等に残っている人々は1万にから1万5千人(食料も水もない)。死者は最終的に数万人(最悪で10万人に上ると見られていると見られている)、生き残った人々(おそらく35万人から40万人)が、避難のため、異なる州に移動して、避難生活に入っている。
まず被災地のクリーンアップにどのぐらい時間がかかるか。
クロアチア出身の海洋生物学者でルイジアナ州立大学の教授(海浜生態学研究所長)ジャスティック博士は、クロアチアメディアからのインタビューに、9月4日、こう答えている。
http://www.rumormillnews.com/cgi-bin/forum.cgi?read=78088
「水抜きに1ヶ月、化学物質洗浄に数ヶ月かかる(ちなみに彼らの大学のコンピュータモデルの分析では、ニューオリンズの海岸に到達する72時間前に、上陸時の高潮の高さも間で、正確に計算を終了していたという)。」
水抜きだけで1ヶ月から3ヶ月(当局は最長80日説)。化学物質・バクテリアなどの洗浄数ヶ月。ここから、各種のインフラの修復がやっと始まる。この秋も当地にハリケーンがいくつも来るそうだから、ここまでに達するのになんだかんだと少なくも半年ぐらいはかかるだろう。
問題はインフラ修復だが、これには修理する人々のマンパワーが必要だ.しかし、ニューオリンズの住人はほとんどいなくなった訳だから、修理を業とする人もあわせていなくなった。では、被災とは関係ない他州の人々を数年がかりの修理に借出せるのか.だがよく考えてみると、この修復を担当する人とその家族が住む場所、生活インフラ自体がないのだ。家族が毎日の食料を買い、子供を学校にやらせ、健康管理する病院インフラなども必要になるがそれがないのだ。生活インフラを修理するためには電気・通信・水道・交通・下水道・食料・学校・病院などあらゆる基礎的生活インフラがなくては不可能だ、という根本的な自家撞着に陥ったというわけだ。修理が終わり、新規に建築する段階でも同様だ。家を建ててくださる方々の住む場所とそれを支える総合インフラがないわけだ。この自家撞着の点こをが911事件の被害の構造や意味と決定的に異なるのだ。911では2800人の方が亡くなり数本の高層ビルがなくなった.しかし、システムとしてのニューヨークの機能、生活インフラにも物流システムにも影響を与えていない。つまり、修復に当たる人々の生活インフラが無傷であるため、復興は急速だ.しかし50万人の人口が、ほとんどいなくなったニューオリンズは全く事情がことなる。人間からインフラまで全て丸ごとなくなったのだ。
都市生態学からみて、港がインフラとして機能回復するには、その直近の総合インフラが戻ることが必要だ.港インフラは、通信インフラ電気インフラ、水道インフラなどから成り立つ.これらインフラを修復する人の生活インフラが上述した通りまずない。つまり修理自体が極めて困難だ。しかし、苦難を乗り越えて仮に、港湾システムのハードウエア面が回復したとしよう。今度はシステムを支えてきた(荷役作業者含む)マンパワー、つまり11万人が住む住居など総合インフラが回復されなければならない。修理者の生活インフラ建設(第一条件)と、港湾オペレーターの11万人分の総合インフラ(第2条件)が少なくとも満たさなければ、この港がこれまでの機能を回復することはないのだ。
人生とは時間との闘いでもある.1年以内に戻れないなら、ニューオリンズの市民たちは、避難先でのスタートが新しい生活の基礎となり、もはや今後戻ってくることはないだろう。
ヒューストンに避難した被災者が、1ヶ月ならともかく、1年これが続けば、もうニューオリンズに戻ることはないだろうと、以下のインタビューでコメントしている。これが実際的で実感的だろう。現地で生活が根付けば、それはそれで、そこから離れる必要がなくなる。
http://xymphora.blogspot.com/2005/09/ethnic-cleansing-ii.html
冷静に考えて、11万人の生活インフラが1年以内に回復されるとは考えられない。つまりニューオリンズ港を支えて来た11万人分のヒューマンパワーは永遠に戻ってこない可能性がある。つまり、港のシステムが元の住人に支えられる形で正常化するということは、非常に考えにくい(後述するが悪魔たちが海外から安い労働者を数万人分運び込むというのは別の物語だ。)
また市では多くの人々が、低所得者専用住宅に住んでいた。住宅再建のための保険に入っている訳ではないから、市が公共住宅を建てるまでは戻って来れない。それは阪神大震災をみてもわかるように、早くて数年先になるだろう。その時は、もはや、今避難している先々での生活を立てるので精一杯であろう。
つまり、ニューオリンズの人々は港湾関係者を含め、半永久的に戻ってこない可能性が高い。再言するが、根本問題は生活インフラを復旧するために修理する人々そのもの、新規着工する職人さんそのものが生活インフラがないためにそもそも存在できないということだ。つまり結果としてインフラ修復ができず、ゴーストタウン化する可能性が圧倒的に高い。数年かけて港とその周辺のミニマムなインフラが精一杯だろう。
もう一つは、この土地の固有の気候条件、つまりハリケーン銀座であるということ(トム・ベアデン博士によると、銀座化したのはあくまで1976年のソ連に夜貴重攻撃以後だというが).この秋にもいくつも既に、次のハリケーン群が予想されている.現時点で、次のハリケーン候補が3つ、大西洋を移動して、フロリダに向かっている.これを見て欲しい。
http://www.ssd.noaa.gov/PS/TROP/DATA/RT/WATL/IR4/20.jpg
この調子が毎年続くのだ。つまり、もう一度普通の人々、元いた人々に住んでもらう価値があるのか、再建してもまた、ハリケーンに壊されないとは限らない、だったら、もう元のような街に戻しても意味ないんじゃないか.そういうメンタリティーなり価値判断なりが当局や支配層からもたれる可能性がこの点においてもおおいにある。
そうだとすれば、この都市は劇的に相貌を変えてしまう可能性が高い。
大王陣営は、この土地をどうするか。確実にいえることは、彼らが最も利益を得られる方向でこの機会を活用するだろう。回復のためにかかわる企業、便乗値上げの石油企業などが皆政権に近い企業になるだけではない。
考えなければならないのは、この地域の回復行程全体のあまりに長い時間に渡り、現在の、戒厳令ないし、非常事態宣言の発令を継続的に有効とする可能性が高いこと。
その結果、上記Aで示したように市民の財産を金銀の貴金属を含め全ての経済的価値物を、連邦政府が没収することができる。実際、今、市民は軍や警察から、被災地への立ち入りを近禁止され、物を取りに戻る事自体ができない。当局は、上記Aの財務省の宣言により、好きなものを好きなだけ持って行ってなお合法だ.壊す(所有権の処分)のもいまや合法なのだ。
また、自宅を財産として所有する人々は毎年、土地や不動産にかかる税金を支払わなければならない.例えばカリフォルニアの場合、この税金が5年滞納となると、当局が差し押さえ競売にかけ、たいていは不動産業者に二束三文で落札される。ニューオリンズを去って難民生活をしている人々は生活に苦しいはずで、住んでもいない所有の土地にかかる税金など払えない可能性が高い。今後市長に共和党系の人間がなった場合、この財産税をあえて緊急の事情でも控除しない可能性がある。つまりこの方式によっても、市民の財産は当局から取られ企業の手に渡る可能性がある。
あるいは、政府・自治体に、不動産開発業者が、ニューオリンズ再建計画を提出。政府・自治体は、上記@で紹介したように、最高裁判決に従い、これを許可、つまり、政府・自治体が巻き上げた土地を二束三文でこうした不動産業者に払い下げる。あとは、おまえたちビジネスビルでも、ハイテク工場でも好きにせよとなる。
ニューオリンズはコンピュータやバイオあるいはナノテクの新メッカとなるのか。黒人はいなくなり、高度技術と高度知識を持つ金持ち白人や外国人が移り住むニューセンターとなる。ただ飯食いの黒人はきれいに処理できた、避難先で生活苦で死んでくれ。あとは新しい奴隷を入れて、出発だ、と。こんな感じになりかねないのだ。これを法的に訴えようにも、上記Bのような法的環境が、若くて40年は死にそうにない共和党系最高裁長官の訴訟指揮のもとで続くわけで、それは不可能になる。
大王陣営は、既に法的に外堀を埋めてある。ハイエナよろしく、猛然と飛びかかってすべて喰らい尽くす。弱者市民、黒人、何代も住むふるい人々は追い出され、今までこの土地に縁もゆかりもない白人と外国人、そしてメキシコ辺りから越境して来てあるいは数万人単位でそこから運び出して、下働き労働を支える勤勉なラテン系人々(奴隷・カーストで港や各種インフラのオペレーター)の住む新興の街、巨大にして強固な防波堤で要塞のように守られた神聖なビジネス・バイオ・ナノテク基地が新自由主義カースト制度のもとで登場する。
美しい、大王の、ドリームランド。こんな悪夢が私の頭をよぎるのだ。
被災者の方々よ、せめて、しばし新しい土地で体と心を休められ、幸多からんことを!
魂の基盤は、かげろうのような物理的身体を超え、無条件の愛と至福と無限の創造性を本質とし宇宙万物とひとつにつながった、永遠の絶対的絶対性、無窮の光なのだ。この真理を知らない大王陣営が実は最もそして本質的に敗北を喫している漆黒の無知の闇なのだ。
*電磁波で一地域の天候を変える技術の特許が米国で87年に取られている。
http://patft.uspto.gov/netacgi/nph-Parser?Sect1=PTO1&Sect2=HITOFF&d=PALL&p=1&u=/netahtml/srchnum.htm&r=1&f=G&l=50&s1=4,686,605.WKU.&OS=PN/4,686,605&RS=PN/4,686,605
〈長い拙文につきあってくださって感謝!〉
まず港を修復す