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今度の衆議院選挙は最初から小泉首相によって仕組まれたもので、郵政法案はそのだしに使われたに過ぎないという説が、最近浮上している。その当否はさておき、小泉首相が自民党から小泉批判勢力を排除し、党内を粛清し、さらに国会を有名無実化して、首相の強権体制を確立しようとしているのは間違いないようである。これはアメリカのブッシュ陣営のやり方にならったもので、ブッシュ政権は9.11事件を仕組み、それを機にアメリカを更なる強権国家に変えることに半ば成功した。それを可能にしたのは9.11の衝撃の大きさも無論あるが、それ以外に重要な要因がある。一つはアメリカの国力の衰退が明らかで、国民の間にも不安が進行し、独裁者の誕生を受け入れる素地ができていることである。いま一つはマスメディアと軍部など官憲の腐敗で、それがあるためかれらはブッシュ政権の強権姿勢に一体化せざるを得ないものと思われる。アメリカの場合は、私自身がアメリカに住んでいるのでないので、情報等による判断にすぎないが、これを日本に当てはめてみると、状況は明白である。マスメディアや警察の腐敗は、枚挙に暇がないほどあがっており、かれらがそれを隠蔽するためからも後ろめたさからも、小泉体制に積極的あるいは消極的に協力していることは疑いない。また日本の国力の衰退の予感が国民の間に独裁者を許容しやすくしていることは間違いない。それにしても9.11に選挙とはあまりにできすぎた暗合ではないだろうか。 ところで小泉政権のブッシュ・アメリカへのあまりにあからさまな隷属に対する批判に対し、それは陰謀説に過ぎないと一蹴するのが、最近では小泉支持グループの特徴になっている。これも一種のちゃちなイデオロギーではあろう。イデオロギーとは確かベーコンのイドラに淵源する語で、イドラとは何らかの理由で刷り込まれた固定観念をいう。マルクスは「ドイツ・イデオロギー」のなかで、それを己がよって立つ経済的基盤を合理化するための意識的、無意識的観念とした。(学生時代のうろ覚えなので正確でないかもしれません)つまりある人、ある階級の支配的意見は、その経済的基盤を反映、合理化したもので、小は個人的なものから大は時代的なものまで含まれる。 さてブッシュ陣営の策動の背景に、軍需産業や石油、金融資本のあることはよく知られているが、小泉首相の背後には何があるのだろう。私はこれはきわめて個人的な性格や生い立ちに由来するもので、彼を一種のニヒリストと呼んで差し支えないと思う。ニヒリストは現実の諸価値を否定しながら、その一方で現実の力を肯定する。たとえば、弱肉強食こそ現実だ、何が悪い、となるわけである。したがって戦争おたくの若者や、アメリカ仕込みの、自分をエリートと錯覚している人たちが、小泉を支持するのはけっして不思議でない。