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(回答先: 民営化で、官から民に、資金は流れない、というより 投稿者 NJ 日時 2005 年 8 月 24 日 05:36:18)
NJさん、どうもです。
【NJさん】
「郵貯・簡保を民営化することは、(郵貯の資金が民間に逃げるのと、全ての国債を郵貯に引き受けさせることができなくなることで)現行の国債引受手を民間の銀行にまで、広げることであり、その意味で、「官から民へ」の掛け声とは裏腹に、ローリスクな国債で資金を運用することに誘惑される銀行が多く現れることにより、資金の流れは、今まで以上に「民から官へ」と動くことになる。国債購入に銀行が頼っていたのでは、民間における信用創造がなされないことが問題だ、という理解で良いでしょうか。」
[あっしら]
既に、民間銀行も国債を新しく流入したお金の主要な運用手段としています。
預金残高が増えないなかで貸し出し残高が減り、国債(公債)保有高が急激に増加しているということは、貸し出し債権の回収分の運用も国債に振り向けていることを意味します。
郵政民営化で資金の流れが今まで以上に「民から官へ」と動くわけではありません。
● 現在:家計→郵政金融事業(政府部門)→政府部門
● 郵政民営化後:家計→民間金融会社→政府部門
郵政が公有であれば、民間の資金がワンステップ早く“官”に届くという違いだけです。
郵政事業が公有であれば公債から得られる利息のある部分は政府部門に残りますが、郵政事業とりわけ金融事業が民営化されれば利息のある部分は家計や企業へと流出します。
● 現在:政府部門の債務履行→郵政金融事業に利息と元本→口座保有者に郵政金融事業が得た利息の一部と元本
(郵政金融事業の手元に残った受け取り利息は広義の政府部門のお金)
● 郵政民営化後:政府部門の債務履行→民間金融会社に利息と元本→口座保有者に民間金融会社が得た利息の一部と元本
(民間金融会社が得た利息の一部が民間金融会社の株主配当や内部留保にも使われる)
郵政民営化後は国債支払い利息の一部が政府内にとどまらないので、より多くの政府借り入れ(国債増発)が必要となり、財政はさらに悪化することになります。
銀行が国債購入に頼っているのでは民間における「信用創造」がなされないという問題は、銀行が「信用創造」できにくい国民経済条件を放置してきたことが問題です。
デフレ状況下では、貸し出し元(銀行)・貸し出し先(企業・家計)ともリスクが大きいので貸し出しは増加しません。
【NJさん】
「民間の信用創造が増す健全なインフレを持続させるためには、企業は、本来資金借り入れをすべきなのに、現在の成熟した大企業は、内部保留によって、外部からの資金調達を必要としておらず、民間銀行には貸し出していない資金が余ってる。経営上、利潤を出すことを求められる民間銀行は、資金を運用しなければならず、不良債権化がない国債を購入することで運用益を得ようとする。締め付けによって常套化した民間への貸し剥がし、貸し渋りが、これでは減らない。現状では、民間に代わって国が借金をして、信用創造し、何とか家計の貯蓄を増加させ凌いでいるが、このまま、国が借金を膨らまし過ぎれば、利息分も払えなくなるので、この手法にも、限界がある。経済の在るべき姿は、民間銀行から民間企業が資金を借り入れ、その資金が賃金となって家計を潤す。この一部は預金され、また一部は増税の形で国に徴収される。このように資金が循環し始めれば、国の財政が好転し、国債は償還される、というものである。」
[あっしら]
国民経済の連関的論理をよく理解されていると思います。
インフレになるためには、勤労者の可処分所得が増加したり設備投資など固定資本形成が増加したり純輸出が増加したりサービス供給が増大しなければなりません。
輸出企業を中心とした優良大企業は金融資産が純プラスであったり銀行外から低利で資金が手当てできる環境にありますが、多くの企業は銀行からの借り入れに依存しています。
根源的な問題は、整備投資をしてもそれに見合うだけの売上・利益を持続的にあげられる経済条件にないことです。(この部分は設備投資増加もインフレ要因ですからトートロジーになりますが、それを打破するのが国策の力です)
国家財政を少しでも楽にする方策は、緩やかなインフレにしつつ実質金利をゼロに近づけることです。(過去の債務を実質的に目減りさせてくれる)
現段階でもっとも有効で即効性のあるデフレ解消策は、利益を上げている優良企業が先陣を切るかたちでの給与引き上げです。
【NJさん】
「民営化した郵貯、民間銀行から、国債が大量に市場に出回れば、一旦未達が生じれば、市場で国債の価格が暴落し、国債が売られる。この結果、国の管理を離れた資金が外国債などに流れ、キャピタルフライトが起これば、国債に頼っていた国の財政は破綻する。」
(あっしら)
米国支配層や財務省などに協力することになるのであまり書きたくないことですが(笑)、郵政資金が外国債に流れても、それ自体は「国債サイクル」の維持にほとんど影響ありません。
世界単一通貨ではなく国民国家がそれぞれペーパーマネー(管理通貨)を発行している現状では、国際金融取り引きで「通貨倍増現象」が起きます。
郵政資金が米国債を買う流れを考えてみます。
「郵政」は、米国債を買うために保有する円をドルに転換します。
そのドルで米国債を買いますが、ドルを買うために使った円はどうなるでしょう。
1)「郵政」にドルを売ったひとは円を保有することになります。
2) 郵政資金であった円を保有しているひとはその運用先を考えます。
3)ユーロ円などオフショアで運用されたり株式市場に流れる部分もあるでしょうが、めぼしい運用先がないので多くは日本国債を買うことになります。銀行までが国債に走るというのは日本経済及び日本円がそのような状態にあることを意味します。
このような流れを概括的に言えば、日本国民の資産1000兆円で、米国債9兆ドルと日本国債1000兆円が“同時”に買えることを意味します。
そして、米国債に回ったお金が日本や中国からの輸入に使われれば、日本企業も潤うことになります。
(米国に渡ったドルの一部が日本にも戻り、中国に渡ったドルが日本からの輸入資金となりさらに日本に戻ってきます)
郵政公社の円売り・ドル買いが、庶民を相手にしたものであれば消費にも使われてしまいますが、銀行や国際金融家を相手にしたものであれば“奇妙な錬金術現象”を起こすわけです。
(長期的な円高を予測する国際金融家であれば、日本国債が低利であっても、大きな為替差益が得られると判断するので安全確実な日本国債に喜んで投資します。日本円のまま保有し続けても1円の利息も得られません)
キャピタルフライトは、投資した個人や企業は債務不履行や価格下落に怯える必要がありますが、それ以外のひとは怯える必要がありません。
※ 但し、日本円がドルのように米国外で流通する通貨ではないこと、日本が純輸出国であること、日本円の運用が限られる経済条件にあることなどが、この“奇妙な錬金術現象”が有効になるための条件となります。
【NJさん】
「国債はデフォルトできるが、円の大増刷が必要になり、通貨市場で信用を失った円が暴落すれば、ハイパーインフレに陥る。」
(あっしら)
日本政府が国債のデフォルトに動くことはありません。
どんな手段を講じてでも「国債サイクル」を維持します。
敗戦後の占領状態なら別ですが、国債のデフォルトは意図的な“破壊工作”以外で行われることはありません。
ですから、歴史的水準でぎりぎりの生活を強いられている庶民に負担を押し付けるような政策は笑いながら拒否すればいいのです(笑)。
庶民までが国家財政の破綻に怯えているのはマンガの世界です。
低中所得者負担増政策を拒否すれば、財務省官僚は、ちゃんとそれを受け止めたうえで新しい政策を立案し「国債サイクル」を維持します。