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「郵政民営化」法案と財務省キャリア官僚の“思い”
http://www.asyura2.com/0505/dispute21/msg/672.html
投稿者 あっしら 日時 2005 年 8 月 20 日 02:31:13: Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: あっしらさんはどうお考えですか? 投稿者 まさちゃん 日時 2005 年 8 月 19 日 15:59:54)

まさちゃん、どうもです。

半分冗談ですが、「郵政民営化」法案について財務省主流派官僚がどのように考えているのか訊きたいと思っています。


昨年度末で、国債の発行残高が630兆円、借入金を加えると政府債務残高は800兆円という規模に達しています。
地方公共団体を含めると1000兆円を超える膨大な公的債務を支えている大きな柱が郵便貯金や簡易保険に流れ込んできた資金です。

これまでの流れは、郵政関連と年金関連という公的資金が政府及び地方の公的債務を支えてきたと言っても過言ではありません。
商業銀行もこの間急速に国債保有高(資産)を増大させていますが(およそ100兆円)、それは資金(預金)の運用難やBIS規制の影響ですから、経済状況が好転し自己資本が改善されれば、より利の厚い運用先に切り替わるのが「資本の論理」です。

郵政関連の債務残高(貯金・保険料残高)である340兆円の3倍(今の経済状況が続けば、すぐに4倍、5倍になります)もの公的債務があるわけですから、その部分の資金運用が公的借り入れの充当から離れれると金融状況を一変させてしまうことになります。
日銀に間接的であっても引き受けてもらわない限り、他の運用利益よりも高い利益を提供しなければ国債を消化できないのみならず、信用力で政府より劣る民間企業や家計は高い実質金利を支払う借り入れをしなければならなくなります。
国内(内国民)資金では国債がさばけないという状況になれば、国際(外国人)資金に依存した公的借り入れが急増大することになります。

郵政の郵便事業はナショナルミニマムや万国郵便条約といった国際ルールをどう考えるかという問題ですが、郵政の金融事業は、郵便事業を支える“利益源”であるとともに、日本の金融をいかにして円滑に動かしていくかという問題です。

この問題については後日機会があれば詳述したいと思っていますが、遊び半分で、財務省主流派官僚の“思い”を推察してみたいと思っています。

1)小泉首相には無理もいろいろやってもらっているので、あのレベルの内容なら彼の宿願である「郵政民営化」に協力して貸しをつくり今後も自分たちの政策を実現させたほうがいいだろう。

2)米国政権からも郵政民営化を強く要求しているので、かたちだけは郵政民営化に踏み切って圧力を避けたほうが得策かもしれない。そして、小泉首相の強硬策と国会での紛糾は「郵政民営化」法案があたかもドラスティックなものであるかのように見せてくれる効果があるだろう。


3)「郵政民営化」法案が国会で否決されたら、米国政権も少しは日本政府に圧力をかけづらくなるかもしれない。(総務省とともに、財務省も裏で否決されるよう“工作”しているかもしれませんね(笑))

4)財務省理財局が主に貸し付け金として運用している財投資金は貸し出し年限が短く独立性も高いので、焦げ付くと財務省が火の粉を被ることになる。それよりは、郵政公社や民営化会社に「財投債」や国債を購入してもらうかたちにシフトしたほうが、政府債務を一括して管理できて好ましい。(国債なら60年間で償還)

5)郵政関連資金は減少方向に動いているので、どのみち新規政府債務の受け入れ資金としてそれほど期待できない。既に国債や財投貸付金になっている部分は旧勘定として固定化されるので「国債サイクル」の維持に支障をきたすことはないだろう。


6)郵便局には貯金や保険ではなく、今後は個人向け国債の販売拠点になって欲しい。


7)民営化した郵政の金融会社は、財務省官僚のおいしい天下り先として確保し財務省とシンクロした運用を行うことになるはずなので問題は起きないだろう。


8)郵政事業が民営化されるのは2017年でそれまでに見直しも可能なのだから、不都合なら、小泉氏が内閣総理大臣を辞したあとに民営化を潰すこともできる。

9)民主党案のような貯金・簡易保険限度額縮小政策は、郵政に保有国債の売却を強いることになるので絶対に認められない。


国際金融家絡みの話はいろいろ出ていますので、今回は国策のシナリオライターである財務省キャリア官僚絡みの話にしてみました。

4)と5)を詰めていけば、金融問題としての郵政民営化が見えてくるはずです。

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