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あっしら:【経済主体が保有している生産手段総体の現在価値で、通貨額で表現される。
土地や建物を含む生産設備・雇用労働力・投入原材料などの通貨で評価した総和にそれらを購入するために用意されている現預金を加えたものである。
資本は、土地+労働成果財+労働力+活動継続準備通貨という括りでまとめることができる。
労働成果財には、建物・機械設備・原材料などが含まれる。
発行済み株式の総額や利益の内部留保総額とは無関係の概念で、事業目的で活動するために投入されたものを通貨で評価した現在価値の総和である。
投資に向けられているいわゆる余剰資金は含まれない。余剰資金は、追加の土地・労働成果財・労働力に支出したときに資本となる。】
すみちゃん:「「財やサービスの生産活動による資本増殖を目的とする生産継続手段の束(一般貨幣で価値表示できる)」を資本と呼ぶという理解で良いでしょうか。」
そう考えています。
すみちゃん:「会計で言う資本は、資産マイナス負債ですね。
ここで言う資本は、むしろ会計で言う「負債+資本払い込み額−投資支出」に近いようです。
会計で言う資本はむしろ剰余金に近い。
マル経での「資本」はこういう意味なんでしょうか?」
「負債+資本払い込み額−投資支出」というより、その時点の「負債+資本の部」すなわち「資産」から、事業活動に使われているわけではない有価証券類を控除したものとお考えください。
マル経の「資本」は、産業活動に投入される貨幣総額がベースで、剰余価値を生む労働力を購入するために使われる可変資本と生産手段(生産設備・原材料など物的資材)を購入するための不変資本に分けられているようです。
(私自身は剰余価値学説を否定していますから、このような区分に与しません)
会計で言う資本は、返済や支払いの義務がなく外部に流出しない会社のモノ(払い込み済み資本金+利益の内部留保累積)を指すと理解しています。
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あっしら:【「労働価値」は、資本が単位労働(労働力+時間)で財を生産する際に不可分のかたちで生み出す価値であり、その量は、それが転化したものである財の販売を通じて知ることができる。】
すみちゃん:「実はこれが一番分からないんですが(笑)。 もっとも重要な概念のようですね。
この定義ですと「労働価値」とは、単位労働が生み出した財の販売価格(仕入れ価格、減価償却費をを引く)のことですか?
「価値」という言葉はあいまいな感じがしますが、「価格」ならば理解できます。」
価格理論や資本の論理全体に関わるもので、需給バランスで価格が決定されるわけではなく、財が生産されるために要した活動(労働)の量が価格を決定する主要因という見解を「労働価値」という概念で現したとお考えください。
財もサービスもひとの活動成果であり、その活動の量が交換価格の主たる規定要因です。
そうであっても、市場で交換されるとき、活動の量=「労働価値」がそのまま価格になるとは限りません。
「労働価値」よりも高く売れれば利益を獲得し、「労働価値」よりも安くしか売れなければ損失を被ります。
「労働価値」は、単純再生産レベルであってもその値で価格化しなければ存続できない水準であり、「労働価値」を上回る価格での販売は利潤をもたらすというものです。
引用された私の説明は、マルクス的色彩が強く分かりにくいものだったと反省しています。
あっしら:【「労働価値」の上昇とは、同一の財を生産する別の経済主体(国民経済)と比較して、特定の財が、同一価額の労働力量と同一労働時間でより多く生産されるようになったことの経済論理的な表現である。】
すみちゃん:「これを見ますと、「生産性」に近い概念にも見えますね。
財の価格は問題とはせず、単位労働によって生み出される財の生産数量みたいに見えます。」
ご指摘のように、「労働価値」が「生産性」と違うのは、貨幣表現ではないということです。
「生産性」は、同じ労働量を使ったしても、購入する労働力の価格を下げれば上昇します。
その場合の「労働価値」は、変わらずということになります。
このような理解から、「生産性」という概念を避け、「労働価値」という概念を使っています。
「単位労働によって生み出される財の生産数量」という理解で問題なく、その増加(上昇)は固定資本(生産設備)の質的向上ないし一人当たりの固定資本装備額の増大によって達成されると考えています。
あっしら:【「労働価値」の上昇は、技術革新や生産過程での創意工夫で達成されるものであり、閉鎖的な国民経済であれば、対象財の価格が低下する可能性をもたらす。】
すみちゃん:「これを見ましても、「生産数量」みたいに見えるんですよね。」
現象的には「生産数量」の増加ですが、固定資本形成に投入された労働とそれを使って最終財を生産する労働の関係性の変化がそれを実現することから「労働価値」の上昇と呼んでいます。
あっしら:【「労働価値」は、生産された財に含まれる「労働価値」そのものや生産された財の価格そのものではない。
生産された財1単位には機械設備の磨耗分「労働価値」や使われた原材料の「労働価値」が含まれている。また、財の価格は、「労働価値」に規定されるものだが、「労働価値」のみに規定されるわけではない。】
すみちゃん:「ここがよく分からないわけです。市場における財の実現価格ではないと。すると何なんでしょう?」
ある財を輸出すれば、需要のために支出されるお金は国内にとどまっていますが、国内に供給される財の量は減少します。
国内だけで考えても、供給される量と需要される量が一致するとは限らないので、「労働価値」から乖離した価格で取り引きされることが多いことを考えていただければと思います。
あっしら:【 労働価値」の上昇は、生産された財1単位に転化される「労働価値」の量を少なくするので、財1単位の価格を下げることを可能にする。】
すみちゃん:「これを見ると、最終的に財に実現される単位労働という概念に近いような気もします。」
そのようなご理解でOKです。
あっしら:【財1単位の価格は、財1単位に転化した「労働価値」(労働力価額の量)で論理的には決まる。
財1単位に転化される「労働価値」を減少させるのが、「労働価値」の上昇である。
現実の財価格は、需給バランスやブランド力などに影響されるが、モデル化された経済社会の論理的な財の価格は、財に転化された「労働価値」で規定される。
1単位の「労働価値」が10個の財に転化するか15個の財に転化するかの違いで、財の価格が変動する。論理的には、15個になれば、10個の時より価格が50%下落する。
このような財の価格低下を防ぐ方法は、増加した5個を外部の国民経済に販売(輸出)するか、労働力価額を50%増加させるかである。
「労働価値」の上昇すなわち財価格の下落余地は、資本構成のうち過去の労働成果財である生産設備の比率が高くなればなるほど進むことになる。】
すみちゃん:「これを見ますと、けっきょく労働がラクでたくさんの財を生産できるようになることが労働価値の上昇で、これによって財の下落余地を与えるということになり、それなりに理解できる感じもします。
そうしますと、労働価値が上昇すると、財の価格が低下するのは需給法則から当然のことです。
そうしますと、財の価格が理論的には労働価値で決まるというのはなぜなんでしょう?」
必ずしも「労働がラク」になるわけではありませんが、まとめていただいたように、単位量の財を生産するために必要な労働の量が少なくなることが「労働価値」の上昇です。
輸出入という国民経済間の取り引きがあることが、労働価値上昇=財価格低下ではない経済条件をつくり出します。(労働価値の上昇率以上に輸出を増加できれば、価格は下落せず上昇させることもできます)
労働価値と価格の区分は、利潤=資本増殖を考えたり、財やサービスの本質を考えるときに必要だと考えています。
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あっしら:【財1単位の価格は、財1単位に転化した「労働価値」(労働力価額の量)で論理的には決まる。】
すみちゃん:「労働力価額」というのがまた良く分かりません。
賃金とはことなるということは,この後の説明から理解できます。」
この部分は、「労働価値」を誤って使っています。混乱を招き申し訳ありませんでした。
【財1単位の価格は、財1単位に転化した労働力価額の量で論理的には決まる。】と訂正し、労働力価額は時代性と国民経済条件で算定される論理賃金のようなものとお考えください。
(リアルな賃金とは微妙に異なる経済論理を考えるための仮想賃金)
あっしら:【財1単位に転化される「労働価値」を減少させるのが、「労働価値」の上昇である。】
すみちゃん:「前の「労働価値」と後ろの「労働価値」とが、異なる概念のようにみえます。」
混乱を招く拙い説明で申し訳ありません。
【財1単位に転化される「労働価値」を減少させるのが、「労働価値」の上昇である。】では、デタラメな説明になります。
【財1単位に転化される労働量=労働力価額を減少させるのが、「労働価値」の上昇である。】と訂正させていただきます。
あっしら:【モデル化された経済社会の論理的な財の価格は、財に転化された「労働価値」で規定される。
1単位の「労働価値」が10個の財に転化するか15個の財に転化するかの違いで、財の価格が変動する。論理的には、15個になれば、10個の時より価格が50%下落する。
このような財の価格低下を防ぐ方法は、増加した5個を外部の国民経済に販売(輸出)するか、労働力価額を50%増加させるかである。】
すみちゃん:「この「労働力価額」は,労働力に払われる「賃金」を意味しているようにも見えます。」
上述の訂正に基づき、【モデル化された経済社会の論理的な財の価格は、財に転化された「労働価値」で規定される。】を【モデル化された経済社会の論理的な財の価格は、財に転化された労働量=労働力価額で規定される。】と訂正させていただきます。
引用していただいた書き込みも、今読み返すと、分かりにくかったりブレがあったり概念がこなれていなかったりで赤面ものです。
時期をみて改訂版を書かなければとは思っております。
貴重なご指摘と刺激的な疑問の提示に感謝しております。
説明不足であることを自覚していますので、これをベースにまた質問していただければ幸いです。