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(回答先: 技官、文官 投稿者 NJ 日時 2005 年 7 月 27 日 04:02:49)
養老孟司著「バカの壁」、“科学の危うさ” p23〜p25
・・ここで勘違いされやすいのが、「科学」についての考え方です。
「そうはいうけど、科学の世界なら絶対があるはずでしょう」と思われるかもしれません。
実際、統計をとったわけではないのですが、科学者のおそらく九割近くは「事実は科学の中に存在する」と信じているのではないかと思います。
一般の人となると、もっと科学を絶対的だと信じているかもしれません。
しかし、そんなことはまったく無い。
例えば、最近では地球温暖化の原因は炭酸ガスの増加だ、というのがあたかも「科学的事実」であるかのように言われています。
この説を科学者はもちろん、官公庁も既に確定した事実のようにして、議論を進めている。
ところが、これは単に一つの説に過ぎない。
温暖化でいえば、事実として言えるのは、近年、地球の平均気温が年々上昇している、ということです。
炭酸ガスの増加云々というのは、あくまでもこの温暖化の原因を説明する一つの推論に過ぎない。
ちなみに、温度が上昇していることも、それ自体は事実ですが、では昔からどんどん右肩上がりで上昇しているかというと確定はできないわけで、もしかすると現在は上下する波の中の上昇の部分にあたっているだけかもしれない。
最近、私は林野庁と環境省の懇談会に出席しました。
そこでは、日本が京都議定書を実行するにあたっての方策、予算を獲得して、林に手を入れていくこと等々が話し合われた。
そこで出された答申の書き出しは、「CO2増加による地球温暖化によって次のようなことが起こる」となっていました。
私は「これは“CO2増加によると推定される”という風に書き直して下さい」と注文をつけた。
するとたちまち官僚から反論があった。
「国際会議で世界の科学者の八割が、炭酸ガスが原因だと認めています」と言う。
しかし、科学は多数決ではないのです。
「あなたがそう考えることが私は心配だ。」と私は言いました。
おそらく、行政がこんなに大規模に一つの科学的推論を採用して、それに基づいて何かをする、というのはこれが初めてではないかと思う。
その際に、後で実はその推論が間違っていたとなった時、非常に問題が起こる可能性があるからです。
特に官庁というのは、一度何かを採択するとそれを頑として性質を持っているところです。
だから簡単に「科学的推論」を真理だと決め付けてしまうのは怖い。
「科学的事実」と「科学的推論」は別物です。
温暖化でいえば、気温が上がっている、というところまでが科学的事実。
その原因が炭酸ガスだ、というのは科学的推論。
複雑系の考え方でいえば、そもそもこんな単純な推論が可能なのかということにも疑問がある。
しかし、この事実と推論とを混同している人が多い。
厳密に言えば、「事実」ですら一つの解釈であることがあるのですが。
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皆さんの議論とはあまり関係の無いことで、横ヤリすいません。(^^;)
読んでてふと、このコラムを思い出しました。
官庁というのは「この程度」というより、こういった硬直した思考パターンをもってしか業務を遂行できない、と考えておいたほうがいいですね。
あいつらが狂牛病問題に対処しているかと思うと、ゾッとします。