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(回答先: 国家と政府は混同しないように注意を喚起しておきます。 投稿者 考察者K 日時 2005 年 5 月 21 日 12:15:30)
憲法学では国家をもって権力機構であると説明する事が多いのですが、このことが戦後の憲法論における国家論の混迷をもたらしてきたといえます。
というのは、常識的に考えて、権力機構とは政府のことであり、我々の考える国家とは異なるものです。
国家とは英語で言えば普通ステイトのことであるとされます。このステイトという言葉はイタリア語のスタトに由来しており、ドイツ語のシュタートやフランス語のエタも同様であるといわれています。
しかしながら、イタリア語のスタトは元々「権力機構としての国家」つまり、君主とその官僚を指し、国民や領土まで含むものではなかったのです。
有名なルイ十四世の「朕は国家なり」という言葉がありますが、そこに言う国家とは、権力機構としての国家を指していたといわれています。
このように考えるならば、一口に国家といっても「権力機構としての国家」=「政府」と国民や領土まで含む「共同体としての国家」=「本来の意味での国家」とは別のものであり、区別して考えなければいけません。
現に「国家からの自由」とか「国を相手に裁判を起こす」などの場合の「国家」や「国」は、明らかに「権力としての国家」つまり「政府」のことであって、「国民共同体としての国家」ではありません。
他方、「国を守る」と言う場合の「国」は「政府」の事ではなく、「国民共同体としての国家」を指します。
戦後の憲法論はもっぱら「政府」の事を問題として「国民共同体としての国家」については、まともに考えられてこなかったように感じます。
それでは「国家(国)を守る(政府ではなく)」という発想そのものが浮んでこないはずであり、戦後憲法論の最大の欠陥があったのではないかと考えています。