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Gentle Thoughts
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ー転載始ー
辺見庸氏の近況などについて
今年春の講演中に、脳出血で倒れた辺見庸氏の近況が伝わってきた。
彼が倒れてから、俺もいろいろと彼の容体などを訊き回っていたのだが、恐らく彼の容体などは仕事で付き合いのあった編集者や彼に近い立場の人の一部しか知らなかったのではないだろうか。
ここに、さる10日に中日新聞の書評欄に載った、彼の近況を伝える、中村信也氏の一文を転載する。
死にぞこないは書き続ける
講演中に脳出血で倒れ半年あまり。奇跡的に回復し、ひとりリハビリに励んでいる。
「世界というものを制覇しつつある側が〈健常〉を僭称し、言いつのり、我々の多くもその幻想の中で生きているが、健常じゃないことの公正さってあるんだね。誰しもが次の瞬間倒れるかもしれないんだから。健常幻想のもつ暴力は恐ろしいとつくづく思った。〈健常〉はほとんど暴力と同義なことがある」
初の小説集は倒れる前からの企画である。米英の非道に対し、時にはデモにも立った作家が、紛うかたなき文芸の人だと分かる。書家石川九楊の作品を表紙に使った『銀糸の記憶』と『闇に学ぶ』の静かな二冊。
「年も年だし、『もの食う人びと』から十年という節目の年でもある。自分のこれまでの乏しい実像と向き合おう魂に触れる文芸の仕事を正視しようと思ったのです」
芥川賞作品の『自動起床装置』、映画になった『赤い橋の下のぬるい水』など小説や幼い日々を送った海辺、戦乱のアフガンを書いたエッセーなど七十五作を収録。
ところで、懸案の長編はどうするのか。
「残された人生はかなり短いと思う。人を殺すこと。個人が人を殺す、あるいは世界が人を殺す。そんなテーマにますます興味がある。書いては消すというのを繰り返してきて、悔しくてしょうがない。未完になるかもしれない。しかし、僕は死にぞこないだから、書きつづけるしかない」
『辺見庸 掌編小説集』白版/黒版
角川書店・各二六二五円。
(中村信也)
これを読んで嬉しかった。
少し泣けた。
ー転載終ー
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